BTC急落時のアルトの値動きの違いから見えてくるDEXの「理想のかたち」

さて、2019年9月の最終週におきたBTCの急落、1週間で約20%強下落するというかなり厳しい展開だったわけですが、そこから見えてくる「ある事実」について、僕の考えをまとめておきます。

まず、以下が、BinanceのBTC/USDTの日足チャートです。現在は、$8,000強のところで少し落ち着きつつあります。一般的なチャート分析の視点から考えると、6月26日にマークした$13,970から、上げ幅も切り下げつつ、下げ幅もそれよりは弱めに少しずつ切り上げつつある傾向にあったため、いわゆる「ライジングフラッグ」を形成する可能性があったわけですが、そのタイミングになる可能性のあった9月最終週で、9月23日に予定通り開始したBakktの現物先物取引もスロースタートになった背景も影響してか、ダラダラとした相場展開になり、結果的に上昇展開を起こすだけのモメンタムが得られず、20%も急落する結果に終わっています。

ここで、ライジングフラッグを形成して入れば、年内の$20,000ドル突破も十分視野に入っていた相場展開でしたらか、なかなか辛いものがあります。一般的なチャート分析がほとんど通用しないのが、今の仮想通貨市場の特徴でもあります。原因の1つは、売上も利益もないスタートアップに投資する世界だからですね。株式投資におけるファンダメンタル分析がほとんど通用しない世界です。その点については「こちらの記事」にまとめています。ただ、同時に、僕がみていたのは、アルトの動きです。

BTCが下がるとアルトも下がるという現状の法則性は、この市場で一年ぐらい投資している人であれば、誰でもだいたい気付くことですね。現に今回もほとんどのアルトがそうでした。

以下は、Coinmarketcapからのキャプチャです。USDTなどステーブルコイン以外は、ほぼ全てが20%以上下落しています。

ただ、Coinmarketcapには、2,000近いプロジェクトが登録されているため、この急落展開の影響を受けていない銘柄を探しました。以下は、主なその8つです。

 

  • DigiByte – 時価総額93億円 – 過去1週間の価格変動: マイナス7.51%
  • BitCapitalVendor – 時価総額43億円 – 過去1週間の価格変動: プラス29.17%
  • Factom – 時価総額31億円 – 過去1週間の価格変動:プラス0.23%
  • Loopring – 時価総額31億円 – 過去1週間の価格変動: マイナス5.77%
  • Seele – 時価総額25億円 – 過去1週間の価格変動: プラス8.05%
  • DxChain Token – 時価総額21億円 – 過去1週間の価格変動: プラス0.34%
  • Tierion – 時価総額18億円 – 過去1週間の価格変動: プラス7.71%
  • Aladdin – 時価総額17億円 – 過去1週間の価格変動:マイナス9.70%

そして、この8つの銘柄に共通していることは、「BinanceやHuobiなど大型取引所に全く上場されていない銘柄」ということ。大手の取引所以外は、空売りや先物取引の機能などもなく現物売買のみです。この点も重要です。

今の株式市場と比較して考えてもわかるのですが、なぜ、ナスダックバブルが崩壊したときや、リーマンショックが起きた際に、いわゆる「世界同時株安」が起きるのか?という話とこの現象が関係しています。

世界同時株安が起きる原因は、アメリカが過去30年牽引してきたグローバル経済にあります。各国の経済圏同士が、密度濃く依存し合っている。そして、世界のGDPトップはアメリカである。この2点が原因となって、「アメリカの景気が落ち込むと、世界も不景気になる」という現象が発生するわけです。具体的には、アメリカの株式市場を中心に運用しているヘッジファンドなどが、アメリカ市場が好調なときは、リスクオン(好景気を受けて、余剰資金をハイリスク商品に投資する動き)の状態になるため、アメリカ以外の市場に資金が流れていくのですが、アメリカ市場の景気が悪くなると、リスクオフ(不況を受けて、ハイリスク商品に投資していた資金を回収し、控える)が起きる。この点については、「こちらの記事」を読むと理解が深まると思います。

仮想通貨の市場は、国家経済を裏付けにしている世界の株式市場に比べればまだまだ小さいですが、起きている現象自体は、同質に見えます。ビットコインが悪化するとみんな悪化する。本来、ブロックチェーンが目指していることは、自律分散型の経済システム、つまり、今のグローバル化した国家経済システムの動きとは逆の世界を目指しているわけであり、それからすると、今のように最大の仮想通貨であるビットコイン(=言うなれば、国家経済システムにおけるアメリカ経済と言っていい)に、影響されすぎている市場というのは、あまり理想的な状態とは言えないわけですね。本来は、お互いが、自律的に経済システムを持っているため、他が悪化しても、あまり影響がない状態が望ましいのです。地球上の自然秩序が持っているホメオスタシスは、まさにその設計思想で作られています。日本の森の生態系とアマゾンの森の生態系は全く違います。そのように進化することで、一部がダメになっても全体がダメにならない、お互いに過剰に影響し合わないようにシステムがデザインされている。この辺りは、僕が書いたOrbのホワイトペーパーを読めば、きちんと理解できます。

しかしながら、今の仮想通貨市場はそうはなっていない。特に、大型取引所に上場されている銘柄は、この市場のメインストリームの動きに飲み込まれ安く、BTC安→アルト安にすぐに巻き込まれてしまう。一方、上の8つの銘柄は、かなりニッチな取引所に上場されているので、あまり影響を受けていない。なぜなら、「リスクオン・オフ」の動きを取る投資家が、その取引所を使っていないからですね。とても興味深いですね。

そして、これは、僕は、ブロックチェーンにおけるDEXの概念のヒントになると考えています。今の多くのDEXが考えているような、中央集権的な取引所の裏方のインフラをブロックチェーンに置き換える発想のDEXは、上の問題は解決できないからですね。以前から述べているように、ユーザー体験そのものが、今の中央集権型の取引所モデルとは全く異なる世界観になります。ユーザーのトランザクション自体が、中央で処理する効率的な世界観のシステムではなく、ユーザー体験も含めて、より分散的なインフラになっている必要があるということです。

最後に、このもっとも理想的なDEXインフラを構築しているプロジェクトが、0xプロトコルですね。僕もしっかりと投資しています。詳しくは、「こちらの記事」を参考にしてください。

以上、みなさんの参考になれば幸いです!

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