ノートパソコンでマイニングできる世界を目指すイサーリウムCasperについての分かりやすい話①

僕がブロックチェーンの未来予想図の記事で触れたように、この業界を発展させていく上で、必要なイノベーションの1つに「個人でマイニングできるPoX」の開発があります。詳しくはこちらにまとめているので、こちらを先に読んでから、この記事を読んだ方が今日の話は理解できると思います。

https://lifeforearth.com/?p=3692

今、色々なプロジェクトが、このPoXの研究開発を進めているのですが、中でも、特に有望視されているのが、イーサリウムが開発を進めているCasperです。

以前の投稿で、ビットコインのマイニングアルゴリズムであるプルーフ・オブ・ワークについて、技術を知らない人でも分かるように説明しました。その際、同時に、プルーフ・オブ・ワークの課題についても触れました。プルーフ・オブ・ワークをより詳しく知りたい人は、この記事を読んでください。

https://lifeforearth.com/?p=55

プルーフ・オブ・ワークの最大の課題は「パワーゲーム」にあります。資金力のあるマイナーほど、マイニングマシンの研究開発とマイニングマシンの運用にかかる電気代にお金を投じることができるため、マイニングで勝てる確率が上がります。

その傾向は、今、業界全体にとって、正に問題になってきており、ビットコインの価格が下落傾向にあることで、採算が合わなくなった中小マイナーが撤退をはじめています。ウィークリーニュースでも触れています。

https://lifeforearth.com/?p=1154#600000800000

すると、どうなるかというとマイニングの難易度を表すハッシュレートが下落します。ハッシュレートは、ビットコインのマイニングP2Pネットワークに参加するノード数(=かんたんに言うとマイナーの数と理解してください。より正確には、マイニングマシンの数です。)に比例して上がります。

逆に、参加者が減るとハッシュレートは下がります。実際、ここ最近のビットコインの下落によってハッシュレートは低下しています。

マイニング難易度を示すハッシュレートの推移。

ハッシュレートが下がることは、まだマイニングを続けることができる大手マイナーにとっては、嬉しいニュースです。なぜなら、競争が下がるため、低い電気代でビットコインをマイニングすることができるようになるからです。つまり、「マイニングの独占化」が進んでしまうということですね。

これでは、ビットコインを支えるブロックチェーンが、未来の技術と言われる所以のP2Pシステムの特徴がどんどん失われていってしまいます。ブロックチェーンが、なぜ、革新的なのか?と言う点については、下記の記事にまとめていますので、まだよく理解できていない人は、読んでみてください。

https://lifeforearth.com/?p=36

これは、なんとかしなくてはなりません。2010年ごろのビットコインのマイニングは、みなさんが普通に持っているノートパソコンや、スマートフォンでもマイニングできる難易度のレベルでした。もし、それを再現できる、新しいマイニングアルゴリズムがあれば、それは素晴らしいことですよね?

みんなが、自分のパソコンやスマホでマイニングして、仮想通貨を手に入れることができる、その仮想通貨を使って、物を買ったり、旅行に行けたりする。それこそが、この産業の未来の青写真です。

そして、今、その実現にもっとも近づいているのが、EthereumのCasper(キャスパー)と呼ばれる技術です。

提案者は、Ethereumを作ったクリエーターであるビタリックです。今、開発が鋭意進められており、現在は、2019年秋のリリース予定で動いています。かなり難易度が高いプロジェクトなので、リリース遅延する可能性もありますが、現時点では、Casper以外に、有望なものは出てきていないので、僕も大きな期待を寄せています。

では、ここからは、Casperについて、技術の分からない人でも分かるよう、かんたんに話をして行きます。

プルーフ・オブ・ワークとプルーフ・オブ・ステイクの違い

まず、Casperは、ビットコインのマイニングアルゴリズムであるプルーフオブワークとは異なる、プルーフ・オブ・ステイクをベースにしています。

この二つの違いを理解することが大切です。かんたんに違いを言いますと、

プルーフ・オブ・ワークとは「作業量」で勝率が決まる

プルーフ・オブ・ステイクは「保有量」で勝率が決まる

となります。これをそれぞれわかりやすく話をします。

プルーフ・オブ・ワークとは「作業量」で勝率が決まる、とは?

かんたんに言いますと、プルーフ・オブ・ワークは、子供の頃に習った因数分解に近く、だれでも解けるかんたんな計算問題を一定量こなさなければ、一つの回答が得られないと言う課題が、みんなに与えられていて、その課題を一番はじめに解き終わった人=一つの答えに辿りついた人が、ビットコインを報酬としてもらえる、というものです。

その一つの答えと言うのが、ブロックチェーンに新しいブロックを追加するための「鍵」のことです。この鍵がないと、過去のブロックチェーンに、新しいブロックを追加することができないのですね。映画の「マトリックス」を思い出します。笑

そして、その計算問題は、カンニングは不可能になっているので、だれもサボることができません。バカみたいに真面目に計算し続けるしかありません。なので、超高速に作業するやつが、勝てるルールなのです。

そのような計算問題を人間がやり続けるのは大変ですから、当然、コンピューターにやらせるわけですが、その計算問題(ビットコイン開発者はSHA-256 と呼ぶ)と言うのが、「総当たり戦」のような性質を持っているので、コンピューターを何台も並べて同時に計算させた方が、その一つの回答に行くつくまでのスピードが上がるのですね。

一番早く見つけたマイナーが、報酬のビットコインを手にしますから、みんなマイニング専用のデータセンターを作って、そこにその計算問題を解くことに改造された専用コンピュータをたくさん並べてマイニング活動をするわけです。

マイナー世界最大手Bitmainのデータセンター

世界最大のマイニング業者であるBitmain社が開発しているマイニング専用コンピュータであるANTMINERシリーズ

これでは、個人は到底勝てないわけです。

プルーフ・オブ・ステイクは「保有量」で勝率が決まる、とは?

一方、僕が経営していたOrb Version1.0や、EthereumがCasperに採用しているプルーフ・オブ・ステイクには、このルールはありません。作業量では勝負は決まりません。変わりに「保有量」で勝負を決めます。

マイニングをする際に、自分の保有しているEtherが多いほど、マイニングに勝てるというルールです。

勘のいい人だと、すぐにピンとくると思いますが、その場合、一番Etherを保有している人が勝ってしまうので、また、大量の資金を持っている人がEtherを買い占めてしまえば、独占してしまうじゃん、といいたいと思います。その通りです。僕がCasperに期待しているのは、彼ら作っているアルゴリズムは、その問題を突破しているのですね。

つづく。

https://lifeforearth.com/?p=6354

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