僕のFileCoinのトークンFILの投資評価についてのまとめ

Filecoinとは?

ブロックチェーンを利用したP2P型ファイルストレージと、そのデータの検索システムを提供するプロジェクトです。2014年から立ち上がっており、2017年に約250億円強のICOを実施しました。まだ、メインネットは立ち上がっていないこともあり、トークンは、仮想通貨取引所には上場されていません。

提供しようとしているプロダクトは、BitTorrentなどで、P2P型のストレージ機能と検索機能を提供しようとしているプロトコルレイヤーのテクノロジーであり、僕のポートフォリオカテゴリの中では、BaaSの一部に相当します。

多くの人は、AWSやGoogle CloudとイーサリウムなどのBaaSが果たしている役割は、クラウドシステムとしては同じと考えていると思います。しかし、実際は違います。下の図は、二つを比較したものです。実は、BaaSというのは、AWSとの比較で行くと、トランザクションシステムの領域しかカバーできていないソフトウェアです。


上の図に、あるStorage(ストレージ)領域は、トランザクションで処理したデータで、すぐに使わないものを格納しておく倉庫のような存在です。そして、トランザクションシステムの横にあるAnalytics(アナラティクス)とは、そのデータを分析したり、加工したりして、再利用したりします。Filecoinでいうことろの検索サービスがそれに該当します。例えば、検索エンジンやEコマースのリコメンドエンジンの機能などは、このアナラティクスに該当します。いわゆるビックデータ活用の領域ですね。

今のAWSやGoogle Cloudは、この3つの機能を全て持っています。一方、BaaSはまだその3つのうちの一つの役割しか持っていません。細かくいえば、この領域も、現在、BaaSを使ってDappsを提供しているベンチャーは、ウェブサーバーなどの領域はAWSを部分的に使ったりもしています。

この点を考えると、僕が、なぜ、BaaSが過大評価されすぎていると言っているのか、わかると思います。詳しくは、「こちらの記事」にまとめています。中長期では、BaaSも徐々にこの二つの領域を拡張していき、やがて3つともカバーできるようになるでしょう。

ストレージ技術の世界では、すでに成熟しており、IPFSのストレージ共有テクノロジーを使うことで、P2P型の非中央集権的なストレージネットワーク、および検索サービスを構築することが可能です。ただ、長年の課題は、BitTorrentなどがそうであったように、ストレージデータを悪意あるユーザーが簡単に改ざんできてしまうことでした。しかし、ここにブロックチェーンが登場したことで、問題解決の目処がつきます。

ブロックチェーンそのものに全てのストレージデータを格納するだけのキャパはありません。全て格納してしまうと重厚長大なブロックチェーンになってしまうため、ほとんどパフォーマンスは出ません。しかし、ブロックチェーンに採用されているハッシュ関数の技術を使うことで、ストレージデータをハッシュ値化し、そのハッシュ値をブロックチェーンに格納することで、P2Pストレージネットワークに改ざん耐性を与えることができます。これが、基本的な発想です。

そして、Filecoinのシステムは、大きく4つの要素から構成されています。

1. 非中央集権的なストレージネットワーク(DSN): Fileopinは、個人の独立したストレージプロバイダーと、検索サービスを抽象化したネットワークを提供していいます。イーサリウムなどに参加するノードと同じくインセンティブをもらう形で、ノードになる参加者は、Filecoinネットワーク上にある、ストレージデータの真正性を維持するための認証作業を行います。

2.Proof of Storage: Proof of Storageは、2つの構成要素からなります。1つは、Proof of Replicationとして、ストレージプロバイダーが、自前の個別の物理的なストレージにデータを複製したことを証明する仕組みです。これによって、認証者は、そのデータが、同じストレージ内で複数コピーが作成・保存されているのではなく、別のストレージに複製されていることでデータの可用性が上がっていることを確認することができます。二つ目は、Proof of Spacetimeと呼び、ストレージプロバイダーが、一定の時間、データを保存していたことを証明する仕組みです。つまり、保存期間に対するノードへの報酬も発生するということです。

3. 認証可能なマーケットプレイス:我々は、データの保管リクエストや検索リクエストをFilecoinネットワークが運用する二つの非中央集権的な認証マーケットプレイスによって管理する。このマーケットプレイスは、プロバイダー側の正常な行為に対して適切な支払いが実行されることを保証します。Storage MarketとRerieval Marketの二つのマーケットプレイスを提供しており、それぞれ別に売買取引が行われます。

4. 改良版Proof of Workの利用:我々は、Proof of Spacetimeのコンセンサスモデルとして、ビットコインのProof of Workを改良したモデルを採用しています。マイナーは、ブロック更新のために無駄な計算機資源を消費する必要はなく、データをネットワーク内に保管することが可能になります。

トークンエコノミー

ストレージや検索サービスを利用したいユーザーは、FILを購入し、これをマイナーに払うことで、マイナーは仕事をしてくれます。その点から、供給制限型のトークンエコノミーが構築可能です。しかし、まだメインネットが公開されていないのでわかりませんが、Proof of Stakeのモデルを採用する場合には、COSMOSなどと同じく、DPoS型にすることで、個人投資家が、トークンのデリゲーションに対してトークンの報酬を受け取ることで、ネットワークが乗っ取られるリスクを下げる、そして、トークンが投機よりも長期保有を促す仕組みを提供する可能性もありますので、まだ様子見と言えます。また、市場開拓が始まっていないので、ターゲット市場でネットワーク効果を生み出すためのトークンエコノミー の設計も必要になることから、まだ様子見と言えます。

戦略

こちらもまだメインネットがローンチされてから、ようやく彼らの市場参入戦略がクリアに見えてくると思います。ただし、次に話をするメンバー構成を見ていると、BitTorrentやTHETAなど同じ、P2P型CDNを提供してくる可能性があると見ています。イーサリウムなど既存のBaaSと差別化するためですね。BaaSはもうレッドオーシャン市場ですから、まだプレイヤーが少なく、かつ、イーサリウムのような強力な競合がいないP2P型CDNの方向性でプロダクトを発展させて行くことは、現実的な戦略になると考えています。

チーム

人材の大半は、シリコンバレー中心で、非常に優秀なチーム構成になっています。

Juan Benet – Founder&CEO – Linkedin

スタンフォード大のコンピューターサイエンスの修士号を取得しており、在学中に位置情報系ゲームのベンチャーをCTOとして創業したり、その後、は、スタンフォード大のインキュベータープログラムであるStartXでEIRをやっていた経験もあるシリアルアントレプレナーです。以下の人材レベルを見ると、リクルーティング力も高いCEOだと評価しています。

Raúl Kripalani – Technical Lead – Linkedin

スペインベースで活動しているエンジニアで、直前は、世界最大のウェブサーバーのオープンソースソフトウェアであるApatchプロジェクトのコアテクノロジーであるカーネルとイグナイトのコミッターを長年やっていたエンジニアです。インターネット技術全般に相当精通しているエンジニアです。また、Cencensysでも10ヶ月ほどプロトコルレイヤーのエンジニアをやっていたので、ブロックチェーンに対する知見もしっかり持っていると見ています。

Luca Nizzardo – Cryptography Research Scientist – Linkedin

スペインにあるマドリード大学で、コンピューターサイエンスの博士号を取得したのち、COSMOSを手がけるTindermint Labでリサーチャーもやっていた人物です。

Dietrich Ayala – IPFS Ecosystem Growth Engineer – Linkedin

直前は、Firefoxを提供するMozilla財団で、まず、ウェブ型のスマホOSであるFirefox OSを開発した経験があり、その後、そのプロジェクトの閉鎖に伴って、テクニカルエバンジェリストとして活動していました。彼以外にはプロダクトがわかるエンジニアも少ないと見ているので、Filecoinのユーザー開拓におけるキーパースンの一人になると見ています。

Jessica Schilling – User Experience Lead – Linkedin

ハーバード大学の修士課程で、僕も得意とする戦略的なユーザー体験デザインについて学んだのち、企業向けのUX設計するコンサル会社でアナリストをやっていた人物です。P2P型CDNをどのような形でテイクオフさせるかは、彼女のUXデザイン次第ですね。注目しています。

Chris Brocoum – Head of Finance – Linkedin

UCバークレーのビジネススクールでMBAをとったのち、VISAに買収されたPlaySpanという企業の監査事業を手がけるディープテックベンチャーにファイナンシャルディレクターとして参加し、のちにPlaykSpan社がVISAに買収された後、P2Pレンディング大手のLending ClubでVP of Financeをやっていた人物です。

事業の進捗

現在は、2019年12月にテストネットの公開、2020年3月にメインネットのローンチでプロジェクトが進められています。

競合の動向

Filecoinのコピー競合として、中国市場で立ち上げているLamdaがありますが、チームのレベルは、Filecoinの方が圧倒的に上ですね。ただ、北米ベンチャーは、中国市場の開拓は、国際政治的に難しいので、その点からLamdaが中国市場から出てこない限りは、本格的な競合になる可能性は出てきません。

また、P2P CDNの路線を想定するのであれば、先に述べた、BItTorrent、THETAなどが競合になってきますし、また、Algorandも、チーム構成を踏まえると、僕は、BaaS市場を避けて立ち上げてくるとみており、P2P CDNの市場をB2B市場からの開拓で狙っているとみています。BitTorrentやTHETAなどは、5G時代を見据えて、ライブストリーミングサービスを自ら立ち上げることを市場参入戦略に置いています。この辺りの差別化をFilecoinはどう構築してくるかが注目です。

長期の課題

まずは、メインネットのローンチが最重要です。

現時点での投資評価

また、どこの仮想通貨取引所にも上場されていないので、投資していません。

関連記事