Decentralized Internet(非中央集権的なインターネット)を実現する上で重要なBAT, DENT, NKN, THETAの役割について

今日は、僕が、ブロックチェーン産業の中で、最大の市場規模に成長すると予測しているDecentralized Internetについて詳しくお話しようと思います。

Decentralized Internet(非中央集権的なインターネット)とは?

ブロックチェーン産業が達成しようとしている最大のミッションの一つが、Decentralized Internetです。インターネットを非中央集権化することです。この表現は、少しトリッキーです。なぜなら、インターネットの中心的な設計者ティム・バーナーズ=リーらは、本来は、非中央集権的にインターネットのアーキテクチャを設計していました。1980年代から1990年初頭にかけての大学のイントラネット同士をつなぐコンピューターネットワークがインターネットの始まりだったのですが、そこに接続するコンピュータの所有者は、自らの論文などのコンテンツを発信する側でもあり、他の論文を閲覧もする、つまり、今のインターネットのように、サービスを提供する側と、サービスを受け取る側と言う大きな二つの役割分担は存在していませんでした。言い換えれば、初期のインターネットは、純粋なP2Pのインフラだったと言うことです。

左がインターネットのクライアント・サーバーモデル、右がブロックチェーンのP2Pモデル

しかし、1994年からインターネットの商業化が進む過程の中で、このブログによく出てくる、左側のクライアント・サーバーモデルが主流になっていきます。これが、今のいわゆる「GAFA問題」を生み出すキッカケになります。Google、Apple、Facebook、Amazonなどシリコンバレーを中心とするIT企業が、世界のインターネットのインフラを支配してしまっていると言う問題です。つまるところ、インターネットが、本来の設計思想である非中央集権的な存在から、GAFAが中心となって支配する中央集権的な存在になってしまったと言うことです。詳しくは「こちらの記事」にまとめています。

なぜ、こうなってしまったのか?最大の原因は、ユーザー側にあります。大学という世界は、基本、真面目な人々の集まりであり、論文を共有し合うネットワークにおいても、他人の論文のデータを改ざんしたりするなどの悪質な行為をするユーザーはほとんど存在しなかった訳ですが、商業化が進む過程の中で、個人の身分証明データや、銀行口座情報などの大量の個人情報がインターネットに入ってくる流れの中で、一般ユーザーの中に、このデータに対して悪意的な行為を働くハッカーやクラッカーの存在が、大きな脅威になり、企業(サービスや製品を提供する側)と個人(それらを利用する側)の関係を土台にしながら、サービスを提供する側の企業が様々なセキュリティ技術を自分達のサイトに施し、ユーザーを招く運用スタイル、すまり、今日のインターネットの主流であるクライアント・サーバーモデルが確立していきました。

その流れの中で、インターネットの初期には、着目されていたP2Pテクノロジーは廃れていきます。原因は、先ほどのセキュリティ技術によるもので、当時のP2Pテクノロジーは、ほぼセキュリティの概念がゼロでした。P2Pで作られたインターネットサービスは、悪さがし放題だったと言うことです。相手のアカウントをハッキングするや、データを改ざんするなど容易でした。NapsterやWinnyで起きた出来事がその事例です。僕がサトシナカモトであると考えている金子勇氏が作成したP2PファイルシェアソフトのWinnyを使って、悪意的なユーザーがWinnyのネットワークにウィルスファイルを流し、大量のパソコンがハッキング被害を受けたことです。僕は、彼はその教訓を元に、ビットコインを支えるブロックチェーンの着想を得たと見ています。

そして、そのブロックチェーンが登場したことで、インターネットを本来の非中央集権的なインフラへと蘇らせることがようやく技術的に可能になりました。それは、一言でいえば、ブロックチェーンのセキュリティ技術が非常に強力なものだからです。その点は、別途、まとめている「こちらの記事」を参考にしてください。

つまり、ブロックチェーン産業で、Decentralized Webという概念が活発に議論される背景は上の話によるものです。そして、北米調査会社ガートナーが毎年発表するテックハイブサイクルでも、この「Decentralized Web」は、注目カテゴリーの一つとして取り上げられています。詳しくは、「こちらの記事」になります。

インターネットの影の巨人「Akamai」(アカマイ)を知る

インターネットの非中集権化を実現する上で、この存在なしにその青写真を描くことができないと言うほど重要なプレイヤーが存在します。このブログでもなんども登場している、インターネットの影の巨人「Akamai」です。僕が経営していたOrbのソフトウェアであるOrb DLTも、プロダクト戦略は、ブロックチェーン技術を使いフィンテック市場のAkamaiになることに設定していました。従って、僕は、Akamaiのことを深く研究していました。

From Wikipedia – アカマイ・テクノロジーズ(英: Akamai Technologies, Inc., NASDAQ: AKAM)は、コンテンツデリバリネットワーク(CDN)事業、クラウドセキュリティー事業を提供する、アメリカ合衆国の企業。数学(グラフ理論等)を武器にして戦ってきた。マサチューセッツ州ケンブリッジ、マサチューセッツ工科大学(MIT)の目の前に本社がある。MIT の応用数学教授トム・レイトン(英語版)らが中心になって1998年に設立。世界最大手のコンテンツデリバリネットワーク(CDN)事業者であり、世界130カ国以上に分散するサーバ群によって、地球規模の負荷分散サービスとクラウドセキュリティーサービスを事業者に提供している。会社名は「知性」を意味するハワイ語に由来する。報告書「インターネットの現状」を四半期ごとに発表しており、各国の通信状況などについて統計を取っている。

2017年の時点で、MITの応用数学の教授としての顔を持つトム・レイトンの大学院生で窮乏からMIT「起業懸賞金競争」に思いがけずもって共同創設者の一人になったダニエル・ルウィン(英語版)(1970年〜2001年)は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件によりハイジャックされたアメリカン航空11便の乗客として命を落とした。当時レイトンは大学に戻ろうとしていたが、同事件により戻れなくなった。トム・レイトン教授は、2012年のNHK出版による「知の逆転」として出版された本の中で、世界の7人の賢人のうちの1人として紹介されている。

アカマイの特徴は、世界随一とも言われる高速ネットワークを有していることで「誰も知らないインターネット上最大の会社」と呼ばれる。アカマイは毎日10億件を超えるヒットに対して配信を実施しており、インターネット通信量の15〜30%を取り仕切っているとされており、その要求を適切に処理するために、自社のサーバを世界中に設置している。各サーバは高速ネットワークで接続されている。サーバは130か国以上に渡り、約230,000台以上設置されている。

また、この高速ネットワークとキャッシュサーバを組み合わせて、ユーザーからのアクセス要求には最も適切なサーバを自動で判別して、目的のコンテンツを高速に提供するダイナミック・サイト・デリバリーなどの独自システムを有している。技術的には、アカマイのDNSサーバが、ユーザーの使っているIPアドレスから判断して、ユーザーが利用しているISP内などのユーザーに近い位置にあるアカマイサーバを割り当てるようにしたもので、ユーザーは遠隔地のサーバまでアクセスすることがなく、効率が良い。これらの技術によって、アカマイ社は国内外でコンテンツデリバリネットワーク(CDN)最大手企業としての地位を不動のものとしている。

アカマイは、その成長過程で、現状のインターネットそのものであるクライアントサーバーモデルに従い、世界中にデータセンターを設置していきました。今、Youtubeなど動画サービスの人気がどんどん増えてきていますが、このアカマイなしにその運用はほぼ実現不可能と言われています。

アカマイのシステムは、その地域にいるインターネットユーザー達がよく閲覧しているテキストページ、写真、動画などのファイルを一時保存(キャッシング)しておき、ユーザーが再び閲覧しにくる際に、サービス提供者側が、自分のところのデータセンターにそのデータがない場合、アカマイのシステムに問い合わせてそのファイルをもらいます。代わりにアカマイは、その問い合わせ数に応じて課金します。これがアカマイのビジネスモデルです。

現在は、AWSや、Googleなどの中央集権型クラウドが普及してきているため、多くのインターネットサービス企業は、AWSなどとの併用でAkamaiを利用することが増えています。

BAT、DENT、NKNを用いたDecentralized CDNの構築方法について

つまり、インターネットを本来のP2Pのカタチに戻す言うことは、このアカマイのシステムを完全にP2P型で実現するということです。アカマイは、データセンターを自前で構築しましたが、ブロックチェーンを使ったP2P型のアカマイを作り上げる場合は、各ユーザーが、アカマイのサーバーでありネットワーク提供者になる必要があります。

そして、これは、僕が投資しているBATのBraveBrowserDENTTHETA、そして、NKNの4つを中核的な役割に置くことで可能になります。それぞれ、どのようなサービスを提供しているか詳しく知りたい人はリンク先を参照してください。図にすると以下のようになります。

図の内容を説明していきます。

まず、P2P型のアカマイを実現するには、大きく3つの仕組みが必要です。

  • ①ユーザーの閲覧しているウェブページ、写真、動画などのコンテンツ情報を近くにいるユーザーの閲覧履歴を参考にしながら最適なファイルを一時保存(キャッシングと言う)しておく仕組み
  • ②そのファイルに他のユーザーから閲覧リクエストがきた場合、近くの別のユーザーがネットワーク帯域を提供することで、中央のデータセンターに問い合わせずに、そのファイルを閲覧するユーザーに届ける仕組み
  • ③上の二つを組み合わせて、トークン同士の売買を行いながら、キャッシングファイルとネットワーク帯域の最適なリソース配分を常にダイナミックに行う仕組み

上の4つのサービスを組み合わせることで、これは実現可能になります。

まず、BraveBrowserは、ウェブブラウザですから、そのユーザーが使うウェブページの閲覧情報のデータは、全てキャッシングしておくことが可能です。つまり、①の問題を解決しています。端的に言えば、BraveBrowserのユーザー数が増えるほど、このファイル数は増加していくため、精度の高いCDNが提供可能になっていきます。

そして、DENTは、ユーザーが使っているスマホの余っているデータ通信量を売買できる仕組みを提供しているため、スマホのネットワーク帯域をP2Pモデルで提供することができます。さらに、NKNは、ホームインターネットの通信インラフを解放し、AWSやGoogle Cloudのストレージ機能を使うことで、個人が小さいアカマイのデータセンターを構築可能なソフトウェアを提供しています。この二つが組み合わさることで②の問題を解決しています。DENTのユーザー数とNKNに参加するノード数が増加するほど、世界的なP2P型のCDNが可能になっていきます。

ただ、この3つでもまだ不足しているのは、③のリソースの最適化を行うソフトウェアの存在です。これはAkamaiの心臓部とも呼べるもので、Akamaiのリソース最適化のアルゴリズムが最強と言われている所以でもあります。もっとも無駄のないリソース配分を実現するアルゴリズムを持っているということです。

今、ブロックチェーン産業に存在しているプレイヤーの中で、そのソフトウェアを持っているのはTHETAです。チーム構成を見ればわかりますが、元Akamaiのシニアエンジニアなども引き入れており、文字通りP2P型のCDNを構築可能なソフトウェアを作っていっています。

DLiveもTHETAの利用を開始していますから、THETAをハブにしながら、リソースを提供する側とリソースを利用する側がお互い垣根なく、常にどちらの役割も演じているような状態が、実現されていくと見ています。

ただ、今の話を踏まえるいと、ここには、すでに5つのトークンエコノミー が関わっていますから、このトークン同士を跨ぐ取引の仕組みを構築しないとこれは最終的には実現できません。現状、Dlive(独自のブロックチェーンをもちCOSMOS HUBに接続)を除く4つのトークンともイーサリウム上で稼働していますが、正直、将来アカマイが保持している全世界のインターネットの30%近いトラフィックをこの仕組みで裁こうとした場合、僕のOrb DLTの開発経験を踏まえると、技術的に考えて、イーサリウムのインフラでは未来永劫支え続けるのは現実的ではないと考えています。なので、各トークンともブロックチェーンを独自にもつシナリオを想定しています。

そして、利用者であるDappsも含めて、リアルタイムに上のリソースを売買し合う仕組みが必要になります。この実現方法は、大きく2つあります。

COSMOSを使う方法

一つ目は、ブロックチェーンインターオペラビリティのソフトウェアである、COSMOSを使う手法です。上の各ブロックチェーンがCOSMOSに接続することで、トークン同士の売買が可能になります。価格は、COSMOSに既に接続しているBinanceChainのDEXで運用されている価格を参照すればよいでしょう。

0xを使う方法

もう一つは、DEXテクノロジーの0xを使うことです。0xは、DEXプロトコルとして非常に精巧なアーキテクチャを持っており、ここに、上の全てのトークンを扱うRelayer達が、世界的に分散した状態で複数存在する状態を実現すれば、ユーザーは遅延なくインターネットをP2P環境で楽しむことができます。0x自体が取引所システムですから、価格は、全Relayerのデータを元に形成することが可能です。この場合、地域ごとにその売買の価格差も出るでしょう。なぜなら、物価水準などが異なるからですね。こちらの方が、より世界の現状に即した仕組みになると言えます。

ということで、僕は、非中央集権型インターネットを実現する上で重要なプレイヤーである上記の銘柄には全て投資しています。詳しくは、各リンク先を参考にしてください。

一般ユーザーを巻き込んだトークンエコノミー のエコシステム全体像

そして、最後は、これらをユーザーがどのような形で恩恵を受け実際に利用するか、ということについてお話します。まず、 BraveBrowserの利用を通じて自分のウェブ閲覧履歴のキャッシュファイルを提供することで、まずBATが稼げる。さらに、自分のスマホのデータ通信契約の余っている一部を定期的にDENTのエクスチェンジに提供することで、DENTが稼げる。イメージは、20GB/月パックなどを契約して、5GBは常にDENTエクスチェンジに流通させるような感じがよいと考えています。そして、家のインターネット回線を持っているユーザーは、そこにNASなどのストレージマシンを1台ぐらい家において、それらのネットワークリソースとストレージ容量をNKNを通じて、提供し、NKNを稼ぐ。これらのトランザクションをTHETAのトークンが仲介するイメージなので、ユーザーがTHETAのトークンを直接目にすることはないことを想定しています。

次に、これらはいずれも供給制限型のトークンエコノミー ですから、売らずに長期的の保有して投資リターンを得た方がよいので、MakerDAOを利用して、これらのトークンを担保に、DAIを借りて、そして、Crypto.comが開拓している加盟店で、DAIを使って日常生活を送る。そのようなイメージです。

そして、もう一つこのモデルに該当するプロダクト戦略を取っているプロジェクトが、TRONとその傘下にあるBitTorrentです。前者が、水平戦略に対して、後者は、垂直統合戦略です。その点については、「こちらの記事」にまとめています。

以上、みなさんの参考になれば幸いです!

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