なぜ、LINEの日本のBitMaxにLINKが上場されず、日本の仮想通貨取引所はUSDTを扱わないのか?

僕が、2018年2月にOrbを売却し、東京を離れてから、ますますダメになっていく日本の仮想通貨・ブロックチェーン産業について、日本の個人投資家がきちんと理解しておくべき事態が起きているので、事の次第を伝えておきます。

LINEのBitMaxにLINKが上場されないのは、なぜか?

まず、この記事を書こうと思ったのは、LINEの仮想通貨取引所であるBITMAXが日本でサービスを開始したので、使ってみようと思って、「がっかり」したからです。なぜなら、LINEのトークンであるLINK(リンク)が上場されていない。下が画面のキャプチャです。

以前、ブログにまとめていますが、LINKが考えている仮想通貨事業の戦略の肝の一つは、彼らのトークンLINKにあるわけであり、これをバイナンスのBNBのように投資も可能であり、かつ、イーサリウムのETHのようにBaaSのトークンとしても使えることが、彼らのトークンエコノミー の骨子になります。詳しくは、「こちらの記事」にまとめています。

ですから、LINKの売買ができないBITMAXは、単なる今までの日本の仮想通貨取引所となんら変わりがありません。また、台湾など海外のLINEの取引所では、LINKの売買が可能なのですが、こちらも日本でのBITMAXのサービス開始に期待を寄せていることが大で先行値上がりしていました。理由は、シンプルで、先のLINEの記事にまとめているように、LINEのSNS事業の牙城は、人口の80%以上、かつ8,000万という最大のアクティブユーザーベースをもつ日本市場だからです。だから、そこでサービスが開始されることで、LINKのトークン価値も一気に引き上がることを海外投資家は期待していました。

が、ふたを開けてみたら、LINKのないBITMAXとしてサービス開始している。なぜなのか?

僕は、日本の仮想通貨・ブロックチェーン産業を2014年からゼロから立ち上げてきた起業家なので、業界で活動している人々の性格も深く理解しているので、なぜ、このような事態に陥っているのか手に取るようにわかります。原因は、「日本仮想通貨交換業協会」の運営ルールそのものにある。

日本仮想通貨交換業協会には、金融庁が発行する日本の仮想通貨取引所の免許をもつ企業が全て参加すること義務になっている自主規制団体です。それ事態は、別に問題はありません。そもそも僕が、2014年から金融庁の幹部にしつこく「仮想通貨・ブロックチェーン産業は、民間手動の自主規制型で立ち上げなければ、インターネット産業同様、海外プレイヤーに敗北する事態になるだろう」と言ってきたからです。なので、金融庁が色々と細かく規制するのではなく、自主規制で運営するための着想として、JBAもまた、それらが母体になってできた、日本仮想通貨交換業協会も存在しています。

問題は、内部の運営ルールです。僕がOrbを売却してより、この団体の設立は本格化し、そのプロセスの中で運営ルールが決まっていったのですが、最悪なルールの一つが、「日本の仮想通貨取引所に上場する銘柄は、当該業界団体の認可が必要」という、全くわけのわからんものです。当然ですが、法的な拘束力はありません。団体としての自主規制ルールですから。フランスもアメリカも、ドイツにもこんなルールはありません。日本だけです。このルールがあるから、LINKはBITMAXに上場されないのです。

なぜなら、他の取引所連中が、LINKのBITMAXへの上場を色々と非論理的な理由を色々とこじつけて阻止できる最高に都合のいいルールだからですね。他の取引所からすれば、BITMAXがLINKを上場させたら、日本国内におけるバイナンスのようなポジショニングをBITMAXが確立できていまいますから、全く太刀打ちできないのは容易に想像がつきます。さらに、LINEのアプリからワンストップでアクセスできて、しかもマーケティングに投じる資金力でも国内の取引所の中では、最大規模です。8,000万のユーザーベースにほとんどマーケティングコストをかけずにユーザー獲得できてしまうのが、BITMAXなのです。既存の仮想通貨取引所でこれとまともに戦えるプレイヤーがいないのは容易に想像がつきます。

僕は、日本の取引所連中とは長く関わっていたので、彼らの頭の中が手に取るようにわかります。情けないのは、金融庁の官僚で、彼らのこのような姑息な政治的行為に対して、容易に迎合してしまうことです。LINEは、日本のブロックチェーンプロジェクトの中では、かなり有望な取り組みをしているにも関わらず、業界内のルールを逆手にとった政治活動によって、そのイノベーションの種を潰してしまっているわけです。

そして、多くの日本人が理解していないのは、これがやがて、自分たちの身に苦しみとなって返ってくるということ。傍観者ほど、そのような危機感がない。言い方を変えれば、このブログでよくいっている「事なかれ主義」です。

そして、もう一つの大きな功罪は、USDTをはじめとする世界的に普及しているステーブルコインを上場させないことです。

日本の仮想通貨取引所に、USDTなどのステーブルコインが上場されないのは、なぜか?

答えは、シンプルで、バイナンスなどの海外取引所にユーザーが流れてしまうからです。過去の実績でわかっていることですが、仮想通貨の市場が立ち上がってから、世界でもっともハッキング被害が大きいのは、日本の仮想通貨取引所です。Mt.Gox、Coincheck、Zaif、BitPoint、合計で1,000億円を超えるハッキング被害が出ており、世界全体では、1500億円程度ですから、2/3が日本の取引所で起きています。その原因は、日本は戦後の平和ボケで、世界に通用するセキュリティエンジニアが全く育っていないこと。

Orbを経営している際に、Orb DLTの開発のため、セキュリティエンジニアを探していた際に、国内市場にほぼ皆無であることに唖然としました。まず、肩書きとしてセキュリティエンジニアという存在を日本では話に登ってこないのですね。社会全体が、平和ボケしているので、企業側に大して需要がないからです。平均的なレベルの人材もいません。イスラエルや東欧は世界でもトップクラスで、そこに探しに行っていました。その結果、仮想通貨市場が登場することで、見事にそこを世界のハッカーからつけねらわれているわけです。

それを踏まえたら、日本の仮想通貨取引所が、USDTなどのステーブルコインを上場したらどういう自体が起きるか? ほとんどの日本ユーザーは、バイナンスをはじめとする海外の取引所に流れていくでしょう。当然ですね。扱っている仮想通貨の種類も豊富だし、セキュリティも彼らの方が上である。

彼らは、それを阻止したいから、ステーブルコインを上場させないのです。リブラについても同様の措置をとるでしょう。こじつける理由は別に探すわけです。USDTは、スキャンダルを抱えているからダメだ。Libraは、発行体の問題が云々など。同じ発行体問題を抱えているRippleは、なぜか問題視されない。とまあ、論理的に完全に破綻しているコジツケ理由を列挙しながら、本音は、自分たちの身を守りたいがゆえ、結果的に、世界で起きている仮想通貨・ブロックチェーンのイノベーションのトレンドから日本の市場を引き離すことをひたすらやっているわけですね。大企業内で起きているくだらん社内政治に組織的なイノベーションの抹殺と同じということです。そうやって、社会的にイノベーションの種を自ら潰していき、その中で、生きている日本人は、どんどん「茹でガエル」になっていく。情弱ビジネスの極みとも言える現象です。

例えば、日本で、僕も投資している、0xのようなDEXテクノロジー銘柄を上場させる取引所は、間違いなくゼロでしょう。なぜか? 0xのネットワークが普及する=一般個人レベルにまでOTC市場が拡大するので、日本のバリバリ中央集権的な仮想通貨取引所の事業は、斜陽産業化するからですね。0xは、Binanceには上場されています。日本の取引所には、Binanceのように産業全体の発展のためにも、自分たちを破壊するかもしれないテクノロジー銘柄を上場させるだけの胆力を持った経営陣のいる取引所はゼロです。

過剰な規制と下らない政治によって自滅していく日本の仮想通貨・ブロックチェーン市場

仮想通貨・ブロックチェーンに限ったことではないですが、「平成の失われた30年」というのは、結局、この繰り返しでした。己の出世のための点数稼ぎのため、規制を乱発する官僚によって、日本市場のいたるところで、がんじがらめのルールが出来上がってしまい、それが原因で、イノベーションを起こそうとする若いベンチャーの市場参入ハードルがますます高くなっており、資金のある大企業しか参入できなく、産業構造の新陳代謝が一向に進まない。結果、規制の少ないアメリカ、シリコンバレーから育ってくる強力なベンチャーに日本の鈍重な大企業は全く太刀打ちできず、若者は、意味のない長時間・週末残業ばかりさせられ、台風のときでも出社させられて、場合によっては、過労が原因で自殺に追い込まれていく。まさに、ディストピア=「生き地獄」です。

2018年8月20日のダイヤモンドからの抜粋

なお、正社員になれている若者は、まだ幸運といえる存在で、日本の人口ピラミッドが、団塊の世代がもっとも人口構成上有利になるため、彼らの利権を保護するための政治が行われ、結果的に、派遣労働法が成立し、正規雇用につける若者がますます減少し、そのような中から、いよいよ社会的に経済的に追い込まれた若者が、秋葉原の通り魔事件に代表されるような、狂気的な無差別殺人を引き起こしていく。

唯一の希望の光が、第3のIT革命である仮想通貨・ブロックチェーンにあったわけです。僕はそれが見えていたので、2014年からこの業界をゼロから立ち上げてきたわけです。例えば、今の年金システムには、僕らは全く未来の期待をもてない。しかしながら、日本の株式を買っても、アメリカや中国の株を買うのに比べて対してリターンは得られないそのような中で、今度は、若い世代を含む業界の関係者が、自らの権益を守るために、自らインベーションを起こす能力がないことを言い訳に、Twitterなどで口先だけのキレイゴトを言いながら、結果的には、他のイノベーションを起こせる能力を持った起業家やベンチャーの可能性を政治的に潰していく。つまり、彼らもポピュリストということです。ほとんどの日本人が、こういうことが起きているということを自覚していないし、問題視していない。事なかれ主義の極みです。

こういう社会がいきつく先が、「ディストピア」(=生き地獄)ということです。言い換えるならば、結果的には、事なかれ主義と自己犠牲精神のない人間ばかりの社会というのは、お互いに足を引っ張り合い、奪い合うことで、結果的に社会がディストピアに至るのです。全ては、因果応報ということ。

僕が、「天気の子」で描かれた世界は、将来、東京で間違いなく起きると伝えた真意は、そういうことです。どうも、まだわかっている日本人がほとんどいないようです。とかく、日本人は、自分で自分にメスを入れる度胸がない。事なかれ主義にすぐに迎合する。

もし、あなたが真剣に、このような負のスパイラルに巻き込まれたくないのであれば、それを脱するための必死の努力が必要です。その内容については、「こちらの記事」にまとめています。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

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