バイナンス・リサーチレポート:ステイキング市場の動向の要点まとめ

Binanceの仮想通貨のリサーチ機関であるBinance Researchが、最近、採用するプロジェクトが増えてきている「ステイキング」について、市場動向をまとめてくれています。気になった点に絞って要点をまとめましたので、参考にしてください。原文(英語)はこちらです。

ステイキングとは何か?

ビットコインのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)ではなく、ここ最近、ほぼ主流になりつつあるプルーフ・オブ・ステイク(PoS)をベースにしたコンセンサスアルゴリズムにおいて、使われる仕組みの一つです。PoWとPoSの違いについて、イーサリウムのPoSであるキャスパーについてまとめた、「こちらの記事」を参考にしてください。

日本で、人気のステイキング銘柄と言えば、おそらく、COSMOSのATOMになると思います。僕も、初めてステイキングをしたのは、COSMOSのATOMです。ATOMをステイキングすることで、定期的に、ステイキングの報酬をもらうことができます。実際にどのようなもの中については、ATOMのステイキングについてまとめた「こちらの記事」を参考にしてください。他の銘柄のステイキングも基本的には同じ考えです。

トークンの運営側のステイキングサービスを提供する目的は、主に二つあります。

1. トークンが、悪意的なユーザーに渡りにくくすること

まず、PoSの場合は、トークンの保有量が、コンセンサスへの影響力に直結するため、取引所などに全体発行量の50%以上のトークンが出回っており、それらのトークンが悪意的ユーザーに何かしらの形で買い占められてしまった場合、そのトークンのガバナンスは、その悪意的なユーザーが支配してしまうことになるため、運営側はこれを避けなくてはなりません。ステイキングサービスに報酬を提供することで、ユーザーは、そのトークンを運営側のシステムにロックする行為をすることになる、言い方を変えると動かせなくなるので、取引所などに出回らない状態を作り出すことで、悪意的なユーザーがそのような行為をすることを未然に防ぐことができます

2. トークンの価格安定性を実現する

株価の価格と同じですが、よく企業などは、自社の株価の価格変動率を下げて、長期的に安定的上昇を実現できるように、自社株買いという行為を行いますが、ステイキングは、その発想をより発展させたものです。なぜなら、ユーザーは、そのトークンを短期的な投機目的の売買せずに、運営システム側に預けることで、金利のような形で報酬が手に入るので、運営側は自社株買いのような行為をせずに、同じ目的を実現することができます。同時に、運営側の主導権も特にないので、非中央集権制を常に追い求めるブロックチェーン産業ならではのソリューションと言えます。

ステイキングサービスを提供している主要プロジェクト

この2点を踏まえて、現在、以下のプロジェクトが、ステイキングサービスを提供しています。どのプロジェクトも、先に話をしたPoS側であり、Expected Yield(APR)が金利手数料、Staiking Requirementというのは、ステイキングに必要な最低保有量のことです。この図ですと、僕も利用しているATOMのステイキングのリターンがもっとも高いですね。


しかし、ここに上がっていないものですと、Algorandの15%という数値や、Synthetixの61.9%というものすごい数値もあります。Synthetixは、ちとやり過ぎかと。。。

ステイキングとDeFi、どちらが人気があるか?

そして、同じトークンを預けて金利収入をえるというパターンは、日本でも盛り上がりつつあるDeFiがあります。この二つサービスの市場規模を比較したのが以下の図です。ステイキング市場は、6,368億円、DeFi市場は982億円。圧倒的にステイキング市場の方が成長していますね。

僕は、DeFi系のプロジェクトは、MakerDAOのMKRに投資しているのみですが、MakerDAO以外のDeFiは、ステイキングと比較すると、あまりこの市場の発展に貢献できるものが出てきていないというのが評価です。なぜなら、大半のDeFiは、ユーザーから預かったトークンをトレーダーやヘッジファンドに貸しているので、先に説明したステイキングの2の目的:価格の安定性に全く貢献できていないからですね。

BlockFiのように中小企業に低金利融資するタイプのものもあるのですが、稀で、大半は投機行為へのレンタルですから、この数値の市場規模の差がでることは、僕の視点では全く違和感がありません。必然的なものです。

その点、MakerDAOは、ステイキングの2の目的と同じ効果が得られるようにプロダクトが設計されています。例えば、BraveBrowserのBATであれば、パブリッシャーとして稼いだBATを、現金が必要なときにMakerDAOに預けることで、ステーブルコインのDAIを手に入れて使うことで、BAT自体を売らずにすみますから、BATが投機家の手に流れることを防ぐことができます。

市場全体におけるステイキング率はどうなっているか?

以下は、ステイキング機能を持っているプロジェクトのトークンの全体発行量に対するステイキング率をまとめたものです。全体平均は、57%を超えています。


これが、先にお話したPoSにおけるステイキングの目的1: ネットワークを悪意的なユーザーに乗っ取られないため、に直結するデータです。50%以上がステイキングされて入れば、悪意的なユーザーが乗っ取ることはできないので、市場全体としては、ステイキング市場は健全な発展を遂げていると言えます。

次に、これを各プロジェクトごとにブレイクダウンした図をみて見ましょう。

各プロジェクトごとのステイキング率ではバラツキが多い

以下が、そのグラフで黄色の棒線のプロジェクトが、特にステイキング率の高いプロジェクトです。COSMOSのATOMは、金利10%程度で、ステイキング率73.4%&を実現している一方、Synthetix Netは、金利60%以上で、ステイキング率81.7%ですから、コスパがいいのは、ATOMの方ですね。なぜなら、金利の高さは、トークンのインフレ率そのものであり、インフレ率が高いほど、そのトークン価格は上がりにくくなるので、インフレ率を抑えた方が、価格の上昇力は高まる、トークンに投資している個人投資家のリターンはより大きくなります。

運営側からのステイキングサービスの目的は、全体流通量のうち50%以上をステイキングしてもらうことなので、大きなプロジェクトのTRONなどからすると、今後、この数値を上げていくことが優先度の高い課題の一つになってくるということです。

以上になります。皆さんの参考になれば幸いです!

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