なぜ、僕らは、ビットコインを「信用」することができるのか? #1

とても、基本的な話をしようと思います。なぜ、僕らはビットコインのことを信用することができるのでしょうか?単なる盛り上がりではない本質的な話がここにあります。この話が理解できた人は、ぜひ、周りのみんなに教えてあげてください。

また、こちらの動画は、同じ内容をYoutubeにもまとめています。こらも合わせてご覧ください。

1972年のニクソンショックから始まった「信用本位制」の時代

ビットコインを支える「信用」のカギは、まずここの話から始まります。

この1972年に、国際金融システムを根本的に変える大きな出来事がおきました。それは、「ニクション・ショック」です。

From Wikipedia – ニクソン・ショック(ドル・ショック)とは、1971年8月15日(日本標準時1971年(昭和46年)8月16日)にアメリカ合衆国連邦政府が、それまでの固定比率(1オンス=35ドル)による米ドル紙幣と金の交換を一時停止したことによる、世界経済の枠組みの大幅な変化を指す。当時のリチャード・ニクソン大統領がこの政策転換を発表したことにより、ニクソンの名を冠する。ショックと呼ぶのは、それまで金と交換できる唯一の通貨がドルであり、それ故にドルが基軸通貨としてIMF(国際通貨基金)を支えてきたのがブレトン・ウッズ体制であったが、ドルの金交換に応じられないほど米国の金保有量が減ったことにより、戦後の金とドルを中心とした通貨体制を維持することが困難になったこと、そしてこの兌換一時停止は諸外国にも事前に知らされておらず、突然の発表で極めて大きな驚きとともに、その後世界経済に大きな影響を与えたことによる。

ここに出てくる「ブレトン・ウッズ体制」とは?これも知っておいた方がよい話です。

From Wikipedia  – ブレトン・ウッズ体制とは、国際通貨基金(IMF)、国際復興開発銀行(IBRD)の設立を決定したこれらの組織を中心とする体制である。この協定は1929年の世界大恐慌により1930年代に各国がブロック経済圏をつくって二度目の世界大戦をまねいた反省によっているだけでなく、第二次世界大戦で疲弊・混乱した世界経済を安定化させる目的があった。そのため具体的には国際的協力による通貨価値の安定、貿易振興、開発途上国の開発を行い自由で多角的な世界貿易体制をつくるため為替相場の安定が計られた。IMFについては、イギリスのケインズ案とアメリカのハリー・ホワイト案が英米両国の間で討議され、ホワイト案に近いものとなった。その際、ドルを世界の基軸通貨として、金1オンスを35USドルと定め、そのドルに対し各国通貨の交換比率を定めた(金本位制)。

そう、全ての始まりは、世界恐慌にあったのです。世界恐慌への対応策として、各国が今のトランプ政権が実施している保護貿易政策同様に、厳しい保護政策を行った「ブロック経済圏」政策が原因で、各国は協調よりも、自分たちのブロック経済圏の拡大を優先し、第2次世界大戦が起きてしまいました。約9,000万もの人命を失い、長崎と広島に原爆が落ちるという人類の歴史上、最大の不幸とも呼べる戦争です。

その未然防止策として、色々な解決案が出る中、最終的に採用されたのが、ブレトン・ウッズ体制でした。アメリカのドルと他の世界の通貨を固定相場で交換し、そして、世界で唯一ドルのみが、金との交換を可能にすると言う世界金融システムの仕組みです。通称「金本位制」といいます。ブレトン・ウッズ体制の案自体が、アメリカから提案されたものだったのですが、狙いの1つは、アメリカが、当時、ソ連との冷戦体制に入っていたため、西側諸国のリーダーとしての地位と、そして西側諸国の結束を保ちたかったがためです。まあ、現実的に、第二次世界大戦後の荒廃した当時の西側でリーダーシップを取れるだけの経済力と軍事力を持っていたのがアメリカだけだったということもあります。

第2次世界大戦後の金融システム・ブレトンウッズ体制。アメリカのドルのみを金と交換可能にし、それ以外の通貨とドルの間を固定相場にすることで、ヨーロッパとアジアの急速な経済回復を可能にした

参考までに、実は、このブレトンウッズ体制の戦略は、僕が経営していたOrbで採用したステーブルコイン戦略でも応用したものであり、その他、フェイスブックのLibraや、バイナンスが進めているステーブルコインプロジェクトであるVenusでも採用されています。参考にしてください。

ですから、戦後の世界の通貨システムというのは、「ゴールド」の信用を裏付けに機能していたということです。同時に、アメリカの中央銀行であるFRBは、保有しているゴールドの量以上のドルは発行できないという厳格なルールを敷くことで、金融市場が、1920年代に発生したような急激なバブル状態になることを防いでいました

なので、このアメリカのドルが金の裏付けによって、信用を担保し、そして、ドル以外の通貨と固定相場システムで、通貨システムを運用するというのは、かんたんに言えば、全通貨の価値=信用が、完全に、ゴールドに縛られた状態であったということです。

そして、これが、ニクソン・ショックによって終わりを迎えます。なぜか? 理由は二つあります。一つは、「アメリカの不況」です。アメリカは、第2次世界対戦が終わった時点では、世界のGDPの約40%以上をもつ最強国家であり、かつ、戦地となったヨーロッパと日本に、経済復興のためのお金を貸し、かつアメリカ企業も復興事業に関わることで、ものすごい好景気となりました。しかし、先のブレトン・ウッズ体制が大変な効果をあげたことで、ヨーロッパと日本は、急速に経済回復を実現します。すると、それまでアメリカに頼りきりだった彼らが、自立的に経済活動を行うようになり、アメリカの企業たちは、それらのビジネスを失ってしまい、結果、アメリカが深刻な不況に入ります。これを60年代不況と呼びます。

もう一つが、「ベトナム戦争」です。冷戦において、アメリカ軍以外の西側諸国は、軍隊を派遣するほどは回復していませんでしたから、当然、東側との戦争となれば、真っ先に、西側で軍隊を派遣するのはアメリカです。しかし、ベトナム側の巧みなゲリラ戦で、アメリカにとって、ベトナム戦争は完全、泥沼化してしまい、最終的にアメリカは、対外戦争ではありますが敗北します。不況と敗戦、このダブルパンチによって、アメリカの国際政治経済における信用は、揺らぎはじめ、世界の投機家たちが、ドル売り金買いを始めるのですね。これは、アメリカの金融システムにとって、大変な打撃です。なぜなら、FRBは、保有している金の量しか通貨を発行できませんから、投機家がFRBに殺到し、「ドルと金を交換してくれ」という自体が加速すると、FRBは、ドルの通貨政策をまともに維持できなってしまい、アメリカの西側諸国に超えるリーダー的地位も失われるリスクのみならず、東西冷戦に負けるリスクが上がります。しかし、投機家たちはそんなことはおかまいなしに、自分たちの利益をあげるため、ドル売り金買いをやり続け、ドルの価値は急落し、金の値段が高騰していく。

そこで、当時のニクソン大統領が取った最終判断が、「ドルと金との交換停止措置、および固定相場制の放棄と変動相場制の導入」を実行しました。これがニクソン・ショックです。

この結果、世界の金融システムは、根本的に変わってしまいます。どうのように変わったのか?その国の通貨の信用をその国の経済力が担保するという、通称「信用本位制」に変わったのですね。多くの人は、この信用本位制の意味が理解できていません。ここに、ビットコインに信用が集まるヒントが隠されているからです。

ニクソンショック後、アメリカのドルの信用の裏付けは、金ではなく、アメリカの国力になった

 

すると、通貨の世界の信用は、それまで金という絶対の存在に守られていた状態が消えて、お互いの国の景気によって、絶えず、通貨の信用(=通貨の価値)が変動する世界に変わったわけです。例えば、下の図にあるように、日本の景気が、アメリカや中国、ユーロよりもよい状態であれば、日本円の信用=価値が上がり、中国の景気がよいときは、中国元の信用=価値が、他の通貨よりも高くなる、という世界です。つまり、お金の信用が、ゴールドという絶対的なものではなく(本質的にはゴールドも、人類全体が信用するから価値があるのであって絶対とは言えない)、それぞれの国の景気という「相対的なもの」に変わってしまったということです。

 

ニクソンショック後の通貨の信用は、それぞれの国の景気によって各通貨の信用が変動する、相対的なものに変わった。

そして、実は、これが、ビットコインの信用を考える上で、非常に重要な役割を果たすのです。金本位制のままでは、ビットコインに信用が集まることは起きにくいのです。ゴールドの方が絶対的信用を得る上での長い歴史のアドバンテッジがあるからですね。しかし、このニクソン・ショックが起きたことで、それから約40年後の世界の金融システムで、ビットコインが、世界の人々から価値を認められる素地ができ上がって行くのですね。

なぜか?

それは、各通貨システムの信用は、その国の景気=国力が支配しており、これは、中央政府が運用しているものになります。つまり、中央政府の景気政策が失敗すれば、通貨の信用は低下します。わかりますね。現に、今の日本であれば、「失われた30年」によって、日本の国力は随分低下してしまい、その間、経済成長してきた今は中国元の方が、日本円より価値があります。ただ、日本の不景気などはまだ軽いレベルで、東南アジアや南米の金融システムの混乱などは、凄まじいレベルになります。ポイントは、全て共通していて、今の通貨システムは、「中央集権的」に価値=信用が管理されているということ

ここに、「デジタルゴールド」としてのビットコインに価値が見えてくるのです。


ビットコインの信用の裏付けが、中央集権とは逆の「非中央集権」、簡単に言えば、ニクソン・ショック前のゴールドと同じようなものだからです。ビットコインには、自然界にあるゴールドと同じように、中央銀行のような発行体は全く存在しません。だから、中央銀行や中央政府の政策の失敗にビットコインの信用が左右されることは、絶対にないということです。

これは、コンピューターシステムの観点から考えても、同じことが言えます。以下は、左が、現在のインターネットで主流のクライアント・サーバーモデルという中央集権型のコンピューターシステムであり、右が、ビットコインの中核技術であるブロックチェーンのP2Pシステムです。

現在のインターネットも、通称「GAFA」に代表される大企業が、中央集権的に支配してしまっていることがよく批判されるわけですが、それは、通貨における中央銀行や中央政府に批判が集まるのと似ています。彼らが、何か失策すると、批判が殺到するわけです。しかし、ビットコインは、ゴールドのように、まるで自然のもののように明確な管理者が全くおらず、そこに関わるものは、みな自発的に自由に関わり、関わりたくなければ去ることもできるシステムなので、今の中央銀行や中央政府のシステムとは真逆のシステムなのですね。だから、信用が集まる。

かんたんにいえば、中央集権型の経済システムの調子が悪くなると、「こりゃ、ダメだ」ということになって、ビットコインのような非中央集権型の経済システムに信用が集まるというシンプルなメカニズムがそこに働いているということです。

また、補足して、過去のP2Pテクノロジーは、ビットコインほど優れたものではありませんでした。最大の課題は、サイバーセキュリティ対策でした。簡単に言えば、悪さし放題なのですね。NapsterやWinnyなどのP2P共有ソフトは、まさにそうでした。本来は、個人が中央のシステムに頼らず、お互いにファイルを共有したり楽しんだりできるものだったのですが、悪意的なユーザーが、違法ダウンロードしたコンテンツを流通させてお金もうけしたり、またはウィルスファイルを流したりするなど、完全に「無法地帯」でした。ここに、P2Pシステムであることはそのままに「秩序」をもたらしたのが、ブロックチェーンです。簡単に言えば、中の人も外の人も一切悪さできない仕組みとしてデザインされているのですね。これは、コンピューターサイエンスにおける、とんでもないイノベーションです。この点を詳しく知りたい人は「こちらの記事」を参考にしてください。

ブロックチェーンによって、非中央集権な仕組みで、通貨の信用を生み出すことに成功したのがビットコインということです。これによって、中央集権的なメカニズムで動いている既存の通貨がトラブルを起こすと、自然とビットコインに信用が集まるわけです。

供給制限モデルがもたらす、サルでも分かるビットコインの値打ち

そして、二つ目の信用を生み出す仕掛けが「供給制限」です。ビットコインは、2100万以上は発行されません。一方、僕らの既存の金融システムは、毎年、必ずお金の量が増えていきます。世界の全ての中央銀行が、「毎年、最低2%、お金の供給量を増やす=インフレさせる」という目標で運営されています。通称、「インフレ目標」と呼びます。経済ニュース番組をみて入れば必ず出てくる単語です。身近な言い方になおせば、「物価を毎年2%ずつ上げていく」という目標です。つまり、あなたの収入が、去年より今年2%以上上がっていないと、あなたはどんどん貧乏になる、そういうルールで動いているのが、今の既存の通貨システムです。「ふざけんな!」と思う人もいるでしょうが、では、そもそもなぜ、中央銀行は、お金の発行量を増やし続けるのか?


それは、僕らの国の経済成長力が、GDP(国内総生産)という経済指標で計測しており、これが一言で言えば、お金の量で計算しているからなんですね。日本のGDPが、400兆円とかよく話を聞くと思いますが、その数字です。こいつが増えないと、経済が成長したと見なさないのが僕らの今の世の中の仕組みです(ハッキリいって、最悪ですね)。だから、中央銀行は、当然、お金の供給量を増やし続けることを考えます。ただ、急激にインフレさせると逆に景気が悪くなりますから、2%という穏やかな目標を設定しています。しかし、これは、僕から言わせれば、貧乏人が「茹でガエル」になる仕組みですね。気づかないうちに、なぜか、生活がどんどん苦しくなって、自転車創業状態の生活になっている。詳しくは、「こちらの記事」にまとめています。

しかし、ビットコインは、一切増えません。すると、簡単な算数の問題になります。一つ目で話をしたように、既存の通貨システムがなんか失敗をやらかして、ビットコインに信用が集まると、ビットコインは増えることがないので、単純にビットコインを持っていれば、その既存の中央銀行が進める2%のインフレがつづく限り、価値が上がり続けることになるわけです。このルールをわかっている人は、当然、ビットコインを買い続けるわけですね。これが二つ目です。

リーダーが存在しないオープンソースソフトウェアのシステム

そして、3つ目。ビットコインが、真のデジタルゴールドである所以がここにあります。それは、リーダーが全く存在しないソフトウェア・プロジェクトということです。ビットコインの発明者である「サトシナカモト」がビットコインの開発と発展に一切関わっていないこと、ここが、ビットコインが完全なる「デジタル・ゴールド」になることができている所以なのですね。これも、多くの人が気づいていない点です。理由を説明します。

ビットコインは、オープンソースプロジェクトといって、ソースコードが全て公開されているソフトウェアです。念の為、ソースが公開されていることで、ハッカーが悪さできるわけではないので、その点は心配しないでください。

そして、このオープンソースプロジェクトの開発コミュニティに意思決定の課題というのが長年問題になっています。オープンソースだから、誰でも自由に参加できて、勝手にソースコードを改修していい、というわけではありません。開発コミュニティの中には、必ず、改善提案とそれを承認するプロセスがあります。

改善提案は、極めて自由に行われていることが一般的ですが、課題は、承認プロセスです。かなり揉めることが多いのですね。その結果、多くのオープンソースプロジェクトが、一番初めに作った創業者とも言えるプログラマが、最終的な意思決定者になることが多いです。実際の例の話しましょう。世界有数のOSソフトであるリナックスを開発したリーナス・トーバルズがそうです。


リナックスは、マイクロソフトやアップルのOSに匹敵するほど、利用されているOSです。企業向けのサーバーのOSとして使われることが多いため、あまり、一般人には知られていないOSですが、IT業界の人であれば誰でも知っているOSソフトです。これもオープンソースで開発コミュニティがあるのですが、リーナスは通称「独裁者」と呼ばれることが多いです。つまり、リナックスの様々な改善意思決定に絶対的な権力を発揮しているのですね。別に、法律で担保された権利でもないですが、創業者だからこそ、隅々までそのソフトウェアを理解していることもあり、また開発コミュニティに参加する多くの人の尊敬もあり、必然的にそうなってしまうということです。リナックスの場合は、ビットコインのようにソフトウェア自体が、資産や通貨のような価値をもっていないので、これは深刻な問題にはなっていません。

しかし、仮装通貨の場合は、どうなるか? 仮想通貨のソフトウェアにおいて、このようにそのソフトウェアの創業者が絶対的な立場を持ち続けることは、実は、ソフトウェアの永続性にとってはリスクになってしまいます。そして、これは現にイーサリウムで起きました。


2017年に、イーサリウムの創業者であるビタリック・ブリテンが「自動車事故で亡くなる」というフェイクニュースが、海外の2チャンネルに相当する「4Chan」に悪意的なユーザーによって投稿され、イーサリウムの価値が1日で15%以上暴落するという事件が発生したのですね。結果的に、ビタリックが、自身の公式Twitterのアカウントで、自分とイーサリウムの最新ブロックのハッシュ値をメモに書いた物をセルフィーでとって投稿したことで、この事件は収束しましたが、創業者である彼のイーサリウムというソフトウェアに対する影響力が大きいため、このような実態が発生するわけです。

しかし、ビットコインは、サトシナカモトがもはや開発コミュニティに一切関わっていないため、全くこのようなリスクを持っていないのですね。本当に、自然界にあるゴールドのような存在になっているのです。ちなみに、僕は、誰がサトシナカモトであるかは、明確な答えを持っており、この点は「こちらの記事」にまとめています。

つづく。

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