マスター・オブ・スケール – PayPal共同創業者兼元CEO ピーターティールのインタビュー#3

ホフマン:だから、ピーターには、常にこの競争心を垣間見ることができる。しかし、同時に君たちは、彼がかなりの逆張り思想の持ち主であることも知るべきだ。そして、この二つの気質は、なかなか相入れることがない。一方で、彼は、同僚とも常に競争したがる。一方で、彼は、彼らとも完璧に一線をひく。彼の幼少期において、この彼の競争心を獲得していった。

彼は、チェスのチャンピョンであり、彼は、彼の同僚をクラスのランキングやLSATのスコアでコテンパンにしていた。そして、ついに彼は、その競争の局地とも言える場所に辿りついた、そうロースクールだ。それで?

ティール:僕がロースクールに魅了されたのは、とても的確にランクづけされた世界だったからだと思う。大学をでた後に進むべき通としてはある意味理想だったのかもしれない。ただ、同時に矛盾している点は、君が、激しい競争環境にいるさい、君は、とても競争の中で上手く切り抜けることに上手になっていく。しかし、同時に、その競争環境の中で取り組んでいることについて、本当に価値のあることか自分に問わなくなっていくんだ。

ホフマン:いい質問だ。ピーターは、答えを持っていなかった。だから、彼は競争することを続けた。彼は、クラスのトップになる道を歩み続けた。そうやって、彼は、ローファームの仕事に辿りついたんだ。

そして、その間も、この質問が頭の中をよぎった。”これって意味あるのか?”と。まだ彼はその点にさいなまれていた。そして、彼のキャリアが新たな高みに到達したときに、彼は、沈んだ気分になった。つまり、自分は勝ってなんかいない、ワナにハマっているだけだと。

ティール:ローファームというのは、奇妙なところだよ。周りから見れば、みんな入りたいと考える場所に見られているけど、中の連中は、常に外に出たいと考えている。だから、僕がローファームに入って、7ヶ月と3日で出た後、同僚の一人が僕に、「こんなに早く出られるものなのか?」と言ってきたんだ。つまり、アルカトラス刑務所からは脱獄が可能なんだってことさ。

ホフマン:勝つことが全ての世界という考え方が、ピーター自身を、彼が作ったその牢獄の中に閉じ込めてしまったんだ。そして、収監された誰もそうであるように、彼自身、彼の人生の選択について疑問をもつようになった。そして、彼の問題の起点は、その勝つことに対する執着だった。彼の同僚が彼をどう評価するかなんて、誰がきにするか?彼が決めた、競争という世界は、敗者のためのものだったんだ。

僕、彼のこの考え方を誇張はしない。彼は、本当にこの通りのことを言ったんだ。Googleで、”competition is for losers”って検索してごらん。検索結果のトップに、この文字通りのピーター・ティールの言葉が出てくるから。Wall Stree Journalのop-edのタイトル”competition is for losers”と出てくるはず。彼は、文字通りのことを僕にも言った。

ティール:Sullivan and Cromwell(彼が勤めていたNYにあるローファーム)のころ、PayPalを始める前の5年間、僕は、この伝統的な競争の世界に疑問を持っていた。多くの人が、この伝統的な方法で、お互いに競争し合っていて、この競争のダイナミズムの中で人生を終えていく。仮に勝ったとしても、大して価値もない。単に、君は、他人よりも少し良い給料をもらうぐらいで、そこに魂を売ってしまうわけだ。経済的なものとモラルとのトレードオフにおいては、あまり理想的なものとは言えない。しかし、これが、伝統的な競争の中で起きていることだ。PayPalを始める前、僕は、どうやったらやっとうてきに有利に競争することができるか?ひょっとしたら、競争を全て避けることができんじゃないか?と考えていた。

つづく。

関連記事