マスター・オブ・スケール – PayPal共同創業者兼元CEO ピーターティールのインタビュー#7

ホフマン:これまでに、彼女は、差別化ポイントを発見していった。彼女は、そのクロワッサンにドーナッツをクロスさせた新商品以外に、新商品を作る考えはなかった。それは、Dominique Anselに任せておけばいいと。彼女のベーカリーショップは、子供のときあの匂いを嗅いだ親しみのある香りを彷彿とさせることにあった。

アーマッド:私が本当にやりたいのは、親しみの感じるような新しいこと。そのよい例は、ほうれん草とフェータのパイ。それは、Pop-Tartのオリジナルバージョンのようなベーカリーなんだけど、いい香りと味がして、炒めたほうれん草と、ギリシャ・フェータで作られる。そして、za’atarで香りを加える。za’atarは、中東でよく使われるスパイスで、口に入れると、”あれ、これはなんの香り?”という具合になる。でも、この香りのお陰で、食べた人は、自分が期待していなかったようないい驚きと共に、このペストリーの味を楽しむことができるの。私が、お客さんからもらうコメントで一番好きなのは、”おばあちゃんの味を思い出す”、”この味と一緒に育った”、もしくは、”なんかバケーションにいっていて、それをこのパンが思い出させてくれる”といったこと。これが私の夢なの。これが、私とお客さんの間にリンクを作ってくれるのよ。

ホフマン:君にも見えてきたかな。彼女は、自分のビジネスをスケールさせることはできる。彼女にとっては、競争の自由を壊すことがゴールなのではなくて、この小さな独占状態を作り出すために十分に差別化することなんだ。じゃあ、どれだけ差別化すればよいだろう?それは、マーケットのサイズによるし、君が作り出す競争のスピードによるし、君がどれだけ早く成長したいかによる。どれぐらい大きくなりたいのか?

アンバーは、彼女の競合がなんであるかを正確に理解していた。彼女のやるべきことは、彼女の周りにあるベーカリーショップの店頭を見て回ることだった。しかし、PayPalの場合は、そう簡単なものではなかった。

eBayは、我々にとって、真の競合になっていった。スタートアップの創業者として、君は、潜在投資家からよくこの質問を聞くだろう。”大企業が、君と同じことをやってくるのではないかね?”と。大企業がもつ巨大な資金と人材で、君の会社を押しつぶしてしまうのではないかと。しかし、現実には、君の最大の競合は、大企業ではない。大企業は、君の市場に、嵐のように入ってきたり、かき回したりすることは躊躇することが多い。PayPalの場合は、何千というユーザーからの否定的な反応がもっとも大きなリスクだった。

eBayが犯したミスは、何百万というユーザーを怒らせたことであり、政府の規制者に目をつけられたことだ。eBayが、仮にそのようなリスクを取ったとして、なぜ、彼らが、自分たちのその創造的なエネルギーをPayPalと同じcash register事業に費やすのか?考えてみてくれ。彼は、オンライン上にグローバルなマーケットプレイスを作り上げているのだ。だから、PayPalのような小さな会社が、彼らのチェックアウトカウンターをハイジャックしたらどうなるか? だから、僕らは、eBayの新しい支払いシステムに対して、そのBillPointを使ったシステムを一年以上かけてロールアウトすることを見守っていた。

ティール:僕らは、僕らと誰も競争したくないぐらい早く成長する必要があった。とてつもないスピードで成長することができれば、そのハイパーコンペティション状態のブラックホールから抜け出すことができる。

君は、とても競争環境の激しいところから何かを始めることはできるが、徐々に、その競争がないところへと自分の場所を移していくこともできる。アマゾンは、とても競争力がある。しかし、時間をかけて、彼らは、どんどん彼らのリテールビジネスの独占状態を作り出して言っている。だから、人々は、アマゾンの企業価値を高く評価する。なぜなら、将来的に、彼らが、他の全世界のリテール市場を抑えてしまうと考えているからだ。

つづく。

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