マスター・オブ・スケール – PayPal共同創業者兼元CEO ピーターティールのインタビュー#9

ティール:僕が常に話するこのストーリーは、君たちに人気TV番組のSharKTankを想像させるだろう。彼らが何を話したか?や、資金をえるための魔法の言葉は何なのか?

僕は、答えは、僕ら二人だと、むしろ、僕より君の方かな。僕らの宿題を少なくとも一年やって、その10年前だったかな、投資する準備ができた。そして、実際にそれが実現したわけだ。

ホフマン:君が、そのスピードの世界から逃げ切った状態を想定して欲しい。1日にユーザーの成長は2倍になっている。投資家は、どんどん君を支援したいと言ってきている。君は、自分が作り出したゲームの覇者になったわけだ。そうなってくると、次のプレッシャーは、競争優位性を獲得するだけでなく、その競争の世界から完全に逃げ切ることだ。

巨大資本を手に入ることが確約されると同時に、君に対して、その資金を危険信号が常に点灯するレベルで使うよう強制してくる。君が、君の競合を一気に突き放したいのであれば、資金を燃やすことに備えていくべきだ。

ティール:2000年3月から9月までの間の、毎月のバーンレートは、10億円だったね。あれはかなり不快だったな。

ホフマン:ほら、聞こえただろ。僕らは、1ヶ月に10億円ものお金を使っていたんだ。君は、事業が立ち上がってきたら、まずは、利益を確保することが先だと考えると思う。しかし、君が、激しい競争に晒されている場合、君は、資金をその競争から遠ざかるために使わなければならない。相当の資金をね。

シリコンバレーでは、競争は、致命傷になる。九十年代後半の検索エンジンをみてみよう。AskJeeves、HotBot、Infoseek、Direct Hit、など覚えているかい?そして、Googleがやってきて、”もう、君たちには一切スープは残っていないよ”と。

そして、それが、このゲームの特徴なんだ。この考えは、映画”Glengarry Glen Ross”の中の名台詞に端的にまとめられている。”1位の人には、キャディラック。2位の人には、ステーキナイフのセット。3位の人は、クビに” シリコンバレー以外では、一位になった君には、キャディラックのディーラーシップだが、2位になった君には、歴史の足跡になるのみだ。

そして、その理由の一つが、ピーターが賛同してくれたように、その金のかかる、その不快な実験をやることにある。多くの会社は、広告主にユーザーと接触するためにお金を払う。僕らは、もっと直接的な方法をとった。リファラルプログラムだ。僕らは、ユーザー自身に紹介報酬を支払った。既存のPayPalカスタマーが、僕らのサービスを友達に紹介してくれた場合、$10のオンラインキャッシュを支払った。ピーターは、このアイデアにはそこまで熱心ではなかったが、彼が、なぜ、この不安をよそに、ユーザーにリファラル・プログラムを提供したかの理由がある。

ティール:僕は、できる限り早くスケールする必要があった。もし、僕らが、スケールしなかったなら、他の誰かが僕らを駆逐し、僕らは、そのスピードの世界から逃れる、という目標は達成できなかっただろう。そして、仮に、そのリファラルプログラムをやめたとしても、僕らは、十分と言えるほどの急速なオーガニックグロースがあるか、わからなかった。そして、同様に、僕は、スケールするか、自分たちのビジネスモデルを確定させるか、どちらかしかないと考えていた。つまり、ビジネスモデルが機能することを確認してから、スケールさせるのではなくて、まず、スケールさせてから、次にビジネスモデルが機能するかどうかを確認する。

ホフマン:そう、そして、バーンレートもべき乗で増えていったね。

ティール:ああ、べき乗だったね。そして、収益は全くなかった。

ホフマン:皮肉なのは、この話には裏があって、ポジティブなべき乗の世界と、ネガティブなべき乗の世界があるんだけど、、、

ティール:ああ、両方だったね。ユーザーを幾何級数的に伸ばそうとすると、コストも幾何級数的に伸びるよ。

ホフマン:そう、正にね。

つづく。

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