なぜ、僕らは、ビットコインを「信用」することができるのか? #2

ゴールドとの比較から見た場合のビットコインが優れている点

では、次に、ビットコインとゴールドも比較しておこうと思います。実は、僕は、生まれた初めて投資したのは、ゴールドです。2000年に大学を出て、投資顧問に就職し、初めてのボーナスで、70万円ほどのゴールドバーを購入しました。当時の価格は、$260/オンスぐらいでした。下のチャートを見ればわかるように、直近の超最安値圏です。そのあと、$800超えたあたりで売却しました。人生初の投資で、約3倍のリターン、悪くない成果でした。そして、この投資経験を踏まえても、僕は、今はビットコインに投資する方が、ゴールドよりパフォーマンスがいいと判断しています。


僕が、当時、ゴールドに投資した理由は、学生時代から、ポスト資本主義の研究をしており、その背景は、今の資本主義システムは、そのバブル恐慌経済の激化から、そう遠からず崩壊すると予測していたからです。その先には、ラストリゾート(最後の資産)と呼ばれるゴールドにお金が流れるだろうと考えていました。当時、周りの友人に話をしても全く相手にされませんでしたが、ウォーレン・バフェットや、ジョージ・ソロスなど、投資業界の重鎮たちは僕と同じことを言っていました。そして、予想通り、2,000年にナスダックバブルが崩壊し、その翌年にはエンロン・ショックや、アルゼンチン国債のデフォルトなどが発生し、ゴールド市場は一気に長期の上昇トレンドに入りました。今や、時価総額、800兆円に達しています。

しかし、実は、ゴールドは、その資産としての価値で、ビットコインに比べて二つの点で劣るのです。

ゴールドは偽モノを作れるが、ビットコインは不可能

まず、これです。

ゴールドは、写真にあるように偽物を生み出すことができます。または、不純物を混ぜることで、純度を下げることもできます。ゴールドに人気が出れば出るほど、このリスクは上がります。偽物を作ることに対する経済的リターンが大きいからですね。つまり、ゴールドは値段が上がれば上がるおど、正真正銘のゴールドを手に入れること自体が、手間になっていくリスクが内在しています。

しかし、ビットコインは違います。ブロックチェーンというコンピューターテクノロジーによって、真正性が保証されており、最大の武器は、二重支払いという手法が技術的に不可能になっているので、誰も不正ができないのですね。これは、ゴールドに比べて、ものすごい強みです。

携帯性が高くセキュリティコストが低い

もう一つは、これです。僕は、買ったゴールドバーは、家の机の鍵の引き出しに入れていました。当然ですが、旅行先に持っていくことはできません。強盗に会うリスクもありますからね。しかし、どうでしょう。海外の、特に年配の世代の方は、よく金の腕時計や指輪などを身につけていることが多いです。目的は、何か突然、戦争になった際の非常用財産として持ち歩いているのですね。大きな戦争を体験してきた世代からすると、また大きな戦争が起きることへの心配が常にあるため「もしも」のときに備えるわけです。ラストリゾートなのだから当然です。僕のように机の中にしまっていたのでは意味がないのです。

しかし、これは実はかえって自分の身を危険にさらしていることに気づきませんか?なぜなら、犯罪者は、あなたを殺してでも頭の金の腕時計を盗もうとするでしょう。そういうことです。つまり、携帯性も低い上、セキュリティリスクが高いのです。

一方、ビットコインは違います。


あなたの保有しているビットコインは、「デジタルデータ」ですから、上のような暗証番号付きのUSBメモリに秘密鍵と保有アドレスをしまって持ち歩くことがとても楽で、ゴールドを身につけて歩くより、セキュリティレベルははるかに高い。しかも、身につけるゴールドより圧倒的に多くの資産を持ち歩くことができます。

これが、ビットコインが、ゴールドより資産として優る理由です。

ビットコインの主な課題2つ

その上で、ビットコインの無敵という訳ではないので、主な課題について2点話をしておきます。

51%アタック問題

まず、一つ目です。ビットコインの根幹である、マイナーの存在についてです。ビットコインにおけるマイナーの役割は、取引の真正性を承認することです。たとえば、日本円であれば、この役割は日本銀行が責任を負っています。AさんがBさんから本か何かを購入して、その代金を払う場合、その支払いに利用した通貨とその取引に不正や問題がなかったかを承認する役割です。ビットコインが、非中央集権的な通貨システム、ないしは、金融システムと言われる所以は、この認証者の役割が、誰でもできるようにしたことです。これはとんでもないイノベーションです。誰でも日銀の役割を担える訳ですからね。

しかし、そのルールの課題として指摘されるのが、51%アタック問題です。以下は、現在の主要なビットコインマイナーの市場シェアです。

だいたい10社強います。あれ、おかしいですよね?誰でもビットコインのマイナーになれるはずなのに、実質、10社強しかない。なぜか?これは、ビットコインを支えるブロックチェーンのゲームルールからきています。ビットコインのブロックチェーンの運用ルールは、Proof of Workといいます。このルールは、すごく単純で、誰でもマイナーとして参加できるけど、マイナー活動で報酬をえるためには、このゲームルールに従う必要があります。報酬は、二つあります。一つは、AさんがBさんにBTCを送金した際に、Aさんが支払う送金手数料、もう一つは、このような取引を100件から1000件ぐらいを束ねてブロック化し、それを最新のブロックチェーンに紐づける、つまり、ブロックチェーンを更新する作業です。そして、マイナーにとってより報酬が大きいのは後者の方です(また、あとで話に出てくるのでこの点を覚えておいてください)。

ビットコインが、発行体が存在しない理由はここからきているのですが、この更新作業は、特定の悪さが全くできない計算問題をひたすら解いて、ブロックを更新するためのカギを手に入れるというルールで、単純に計算の早いコンピュータと大量に並べて計算したものが確率的に勝利しやすいゲームルールになっています。そして、このカギを手に入れたマイナーは、ビットコイン側であらかじめて決められた報酬を自分宛にゼロから送るという行為が許されています。だから、ゼロからビットコインを生み出せる訳ですね。ですから、ビットコインは、本当に日銀のような発行体が全く存在しない通貨であり資産なのです。だから、僕が以前からいっているようにデジタルゴールドなのです。

しかし、問題があります。先に話をしたように、「計算能力が高いコンピューター」を「大量に並べて計算してるやつ」がマイニングに勝てるルールになっています。誰でも参加できるルールではありますが、そうもいきません。なぜなら、ビットコインは、2週間に1回、この計算問題の難易度を調整してくるからです。計算が終わるまでの時間を約10分とビットコインは決めています。しかし、そのカギを見つける作業は早いもの勝ちなので、マイナーは、10分より早く解こうとします。すると、平均10分より早く解けるマイナーが続出します。これに対抗するため、ビットコインは、計算問題の難易度をあげます。より多くの問題を解かないとカギが手に入らないようにします。すると、またこの10分に時間が戻ります。

想像がつくと思いますが、すると、どんどん計算に必要なコンピューターのレベルと電気代が上がって行く訳です。リリース初期のビットコインは、ノートパソコンでもマイニングできましたが、今現在、結果的に、どうなっているかというと、下の写真がよい例で、世界最大のマイナーであるBitmain社は、自前で、マイニング専用のコンピュータを開発したり、中国の地方、電気代や安い地域に、大規模なデータセンターを構築するレベルの競争になってきています。より高速なコンピュータを開発し、そして、それを大量に並べてマイニングをやった方が儲かるからですね。

ビットコインの人気が上がるにつれ、このマイニング競争も激しくなり、結果的に、現在は十数社程度になってきています。51%アタックというのは、このうちの1社のマイニングシェアが、51%を超えてしまうことを言います。すると、株式会社と同じで、実質的に、このマイナーが、ビットコインを支配することになってしまいます。これが、51%アタックの課題です。しかし、僕は、まず発生しないと考えています。

それは、先にすでに紹介した、この図にあります。そう、ビットコインの信用が「非中央集権性」によるからです。マイナーたちもこのことを自覚しているからですね。

51%アタックが起きたビットコインを信用する人は、ゼロになります。当たり前で、日本円やドルに比べて、根本的に優れている点が失われてしまうからです。すると、ビットコインは暴落しますから、彼らはマイナー事業も破綻することに直結します。そんな愚かなことは、どこのマイナーもやりたがりません。なので、今の10社ぐらいの競争環境を維持することが、一番たちにとって利益になることをわかっている、だから、51%アタックをしかけるマイナーは出てこない、というのが僕の結論です。

電気代問題

もう一つが、電気代問題です。エコでないということですね。マイニングの競争ルールが、どうしてもこの「より計算の早いコンピュータを大量に並べた方が儲かる」という原理に依存しているため、この問題の解決糸口を見いだすのはなかなか難しいと考える人が多いです。しかし、僕は、割と楽観的に考えています。なぜか?それは、ビットコインのマイニングインセンティブの設計にあります。以下の図からそれが見えてきます。


上の図は、ビットコインの供給量の推移をまとめたグラフです。赤いグラフの段階的に下がっていくグラフがポイントです。ビットコインの2100万というのは、先ほど、マイナーのインセンティブのところで話をしたように、全部すでに発行されている訳ではなく、マイナーによって徐々に市場に出回ってきます。そして、この量が、4年に1回、50%カット、減少していきます。

例えば、リリースされた初期のビットコインのマイニングでは、1ブロックが追加されるたびに、20BTCもらえたのが、その四年後には、10BTC、またその四年後には、5BTCという具合に減っていくということです。そして、2100万発行された時点で、この報酬はゼロになるのので、マイナーの報酬は、例の送金手数料のみになります。この報酬は、ブロック更新による報酬に比べると微々たるものです。

ですから、単純に考えると、マイナーの事業というのは、どんどん儲からなくなっていくのです。BTCの価格が、このインセンティブが減少する以上に上昇する傾向にあればよいですが、相場の世界はそう上手くは行きません。必ず、1年を通じて上下します。すると、今までより高速なマイニングコンピュータの開発に当てていた資金もだんだんと捻出できなくなりますから、計算の難易度は一定レベルに達するとあまり上がらなくなっていく傾向にあるということです。マイナーたちは、そうなってくると、ビットコイン以外の仮想通貨のマイナー事業にも進出していくでしょう。

もちろん、ビットコインのマイニングルールを、Proof of WorkからProof of Stakeに変えるという解決策も一つなのですが、僕の予想ではこれは実行に移すのはなかなか難しいと見ています。誰かがかなり強いリーダーシップをはっきしないと実現できない改良案だからですね。ビットコインのソフトウェアガバナンスには、それは期待できないからです。Proof of WorkとProof of Stakeの違いは「こちらの記事」を参考にしてください。

最後に:新興国の中央銀行がビットコインを買い始める時代が近い将来やってくる

以上が、ビットコインの信用に関する話なのですが、最後にもう一つ、近い将来、必ず起きるであろうことについてお話しします。今、新興国の経済は、どんどん混乱してきています。その典型例の一つが、南米のベネゼエラですね。今。彼らの通貨は、暴落しています。なぜ、こんなことが起きるのか?
これは、記事からの写真で、ベネゼエラの道には、彼らの通貨が紙くずのように捨てられています。通貨の価値がほとんどなくなってしまったからですね。これを経済学では、「ハイパーインフレーション」と呼びます。

ハイパーインフレーションとは、今日、スーパーで1本100円で買えたバナナが、翌日に同じスーパーにいくと、1万円になっている、そういう世界です。物価が、急激に上がってしまう現象です。

この原因は、アメリカの経済制裁です。ベネゼエラは、石油産業が、主要な貿易収入源であり、この石油の貿易事業を巡ってアメリカ政府と対立をしたため、アメリカ政府は、ベネゼエラとの貿易を厳しく制限する政策を実行しました。すると、ベネゼエラに、なぜ、ハイパーインフレーションが起きるのか?

そのヒントは、先ほどのニクソン・ショック後の「信用本位制」に隠されています。今、新興国の多くは、自分たちの通貨の信用を担保するために、彼ら中央銀行は、ドルを保有しているのです。つまり、ドルの信用を裏付けにして、自分たちの通貨を信用して欲しいという運用ルールを引いているわけですね。先ほどの金本位制では、自国通貨をいつでもゴールドに変えられることで通貨の信用を担保していたのが、ニクソン・ショックによって、それは効果がなくなってしまったので、今度は、ドルに頼っているわけです。ドルを発行するアメリカは、まだ世界No.1の経済大国であり、世界最強の軍事力をもつ国ですから、ある意味理屈は通っています。しかし、問題は、そのドルの入手方法です。アメリカと貿易するしか入手方法はありません。アメリカに何かを売って、代金としてドルをもらい、そのドルでえた利益の一部を政府が中央銀行に預ける形で、中央銀行が資産として保有して、自国通貨の信用を担保しているのです。ですか、日本の日本銀行も、ドルを保有しています。これは、アメリカのドルが、基軸通貨として、世界共通の決済通貨としての地位を持っているからなんですね。下の図は、中央銀行のお金を発行する基本の仕組みです。企業と同じようにバランスシートがあり、資産をもち、その資産の範囲内で、お金を発行します。昔は、この資産がゴールドだったわけですが、今は、USドルに置き換わっているということです。

しかし、アメリカが、ベネゼエラに経済制裁することで、貿易を停止してしまうとどうなるか?ドルを手に入れる手段がなくなってしまいます。すると、下のグラフあるよう、ベネゼエラの中央銀行のドルの保有高は、みるみる減少して行きます。なぜなら、ドルは世界共通の基軸通貨ですから、アメリカ以外の国と貿易するにも、ドルを持っていないと商売できないからなんですね。世界の他の国もドルが欲しいのです。すると、自国通貨の信用の裏付けとなっているドルの保有量がみるみるなくなって行くわけです。結果、彼らの通貨の信用力はどんどん低下して行きます。ハイパーインフレーションは、その結果なのです。
しかし、もし、このドルの代わりに、ビットコインを彼らが保有し始めたらどうなるでしょうか? ビットコインには供給制限がかかっています。そして、何よりデジタルゴールドである。

仮に、アメリカ経済が、リーマン・ショック以来の景気後退をするような事態になったら、どうなるか?

USドルの価値はかなり低下しますね。これは、ベネゼエラの中央銀行をさらに苦しめます。ただでさえ、ドルの信用にたよって自国通貨を守っていたのに、ドル保有量がすくなくなるだけでなく、そのドル自体の信用が悪化してしまう。と、今よりひどいハイパーインフレーションに見舞われる可能性があります。まさに、アメリカが、かつて経験したニクソン・ショックのような金融危機が世界中の新興国に襲いかかってくるわけです。

しかし、そのときに、「こりゃ、もうドルばかりに頼っていては、ダメだ」と発想を転換し、ビットコインを保有すれば、そのリスクを回避できる可能性が高いわけですね。なぜなら、今まで、話をしてきたように、アメリカのドルという中央集権的な金融システムの信用が悪化するときは、ビットコインという真逆の信用システムに人々の注目が集まることがすでに証明されているからであり、その人気を受けた価格上昇を扱うことで、ベネゼエラは、自国通貨の信用を強化することができるからです。この事実は、世界がビットコインを知るきっかけになった2013年3月のキプロス・ショックが発端であり、詳しく知りたい方は「こちらの記事」を参考にしてください。

僕は、次のビットコインの本格的な上昇は、この「新興国の中央銀行が、ビットコインを保有し始める」というところからやってくると予測しています。そして、それが本格化するタイミングは、アメリカのリーマン・ショック以来の景気後退がきたときです。そのタイミングについては、「こちらの記事」にまとめています。

また、実は、これと同じことを、日本銀行が行うと、日本政府の抱える1,000兆円を超える莫大な負債は、ゼロにすることが可能です。その点については、「こちらの記事」にまとめています。皮肉なもので、日本政府は、政府自ら排除に動いた一人の日本人天才コンピューターサイエンティストによって、救われるということです。日本人のエスタブリッシュメント達は、いつも天才に助けられているのに、いつも殺すんですね。本当に非道い連中です。笑

以上、みなさんの参考になれば幸いです!

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