バイナンスリサーチのDAOの市場動向に関するまとめ #1

バイナンスリサーチがまとめたDAOに関するレポートの翻訳と所感のまとめです。原文は、「こちら」です。参考にしてください。

DAOの理論と実践

キーポイント

  • 現在のDAOの運用モデルは、多種に及ぶ。それらは、ブロックチェーンに止まらず、エコシステム、プロトコル、ナチュラルリソース、もしくは仲介役を介する保険などである
  • DAOは、主に4つのキーから構成される。多段層に基づく合意形成、リソース管理、そして、議論と投票プロセスである。
  • DAOとその法律を構築するには、主に2つのオプションがある
  • 法的人格による法的組織に基づくDAO:つまり、DAOを既存の規制フレームワークに組み込んで運用する形態である。BBVAやITASなどの規制フレームワークの枠内でDAOをオフチェーンで運用することことになる
  • 法的人格によらない法的組織に基づくDAO:これが、既存のDAOモデルとしては、もっとも既存の規制フレームワークから独立した存在である。ひところで言えば、コード=法律であるということだ
  • 既存の理論体系ですでに指摘されている課題である囚人のジレンマの問題や、ビザンチン故障問題を克服した統治モデルを構築していく必要がある
  • 周到にデザインされたインセンティブメカニズムの必要性は、 ガバナンスの意思決定における低い投票率の問題も克服する。DAOが目指しているのはまさにそこである

DAOは、過去には、The DAO事件を引き起こすなどの課題もあったが、徐々に注目を集めてきている。そのノウハウに関しては、まだ黎明期と言える。

1. 非中央集権的な自律的組織=DAO

Bitcoinが人気を得る中で、開発者やアーリー・アダプターの多くは、DAOを夢見るようになった。DAOは、我々の社会経済動物としての行動規範に革命をもたらす存在である。ただ、そのノウハウはまだ極めて未成熟な段階にあるため、探求段階と言える。

では、DAOは我々の社会に何をもたらすのか? その考えは、Bitcoinの精神そのものを起点にしており、大規模で、インセンティブベースのコミュニティでありつつ、参加のハードルは極めて低く設定されており、既存の伝統的社会規範の制約から我々全てを解放するものである。

イーサリウムが、DAOの実現に対して業界のイニシアティブを取る一方で、皮肉にも、彼らのプログラミング言語であるSolidityにひもづくスマートコントラクトの論理的リスクは、DAOの発展に障害となっている。

詳細の話に入る前に、DAOの定義について、述べて置きたい。以下が、バイナンスの考えるDAOである。

“An organizational form that coordinates the efforts and resources of members via an a priori binding, formalized, and transparent set of rules that are agreed upon in a multilateral fashion.”

“透明性を伴う多階層式の意思決定構造によって運用されるルールを通じて、そこに属するメンバーのリソースと努力をコーディネートするある一つの組織形態”

DAOの構成要素は、大きく3つからなる。非中集権性、自律性、そして組織である。

1.1.非中集権性

DAOの核となる定義は、多くの場合、その「非中集権性」という言葉によるところが大きい。色々な議論の場で話に登るが、その理解はまだ曖昧で貧しいものであると言わねばならない。

暗号通貨の世界では、非中央集権性とは、物理的なハードウェア(つまり、バリデータノードやフルノードのこと)が分散化していること、もしくは政治的な影響の分散化を指すのである。この場合では、後者が当てはまると言える。つまり、伝統的な階層組織による意思決定機構を持つ代わりに、P2P型の平等な意思決定やリソースコーディネーションを目指しているからである。これらの要素は、多階層の意思決定プロセスという表現されることが多い。

1.2. 自律性

二番目は、”自律性”である。自らを統治する能力である。この自らを統治する能力とは、スマートコントラクトを通じて定義したゲームルールに基づく自治性である。つまり、DAOはあらかじめコード化されたツール、これは透明性を持って公開されているルールであるが、このルールによって統治されているのである。

つまり、言い換えれば、DAOの自律性は、そのスマートコントラクトのルールによって程度が変わってくるということである。

1.3. 組織

その多階層に基づく自律性の中で、個々がどのように振る舞うかにおいて、結果的に合意形成が必要になってくる。この場合、常に一つの疑問が浮かび上がる。一つのDAOが、何のコンポーネントが管理されるべきかについて、どのように意思決定していくか?である。

この疑問への回答は、いくつかの審議や付随する複数の意思決定が必要になる。審議の内容は、議論を通じて形成されていくべきであり、自発的ないしはルールに基づいてその議論は行われる。最終的な決定は、オンチェーン上における投票で決められる。

一般的に、このDAOのメカニズムを立ち上げる方法は、非中央集権的な分散台帳技術を使って、スマートコントラクトを実行することにある。

つづく。

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