日本ではBraveBrowserの広告報酬のBATがBAPというポイント扱いになっている背景と対策

さて、日本でも広告事業が開始したBraveBrowser、僕が投資しているアルトコインの中でも、とても有望な銘柄の一つですが、一つ課題が出てきているので、その背景と僕の見解についてまとめておきます。

これですね。


現時点では、広告閲覧者のユーザーは、本来であればもらえるBraveBrowserの仮想通貨BATは、閲覧報酬としてはもらえず、かわりにBAPというポイントでもらうことになります。BAPは、価値はBATとは連動していますが、現時点では、仮想通貨取引所で売買できるわけではありません。

うーん、これでは、BATの本来のトークンエコノミー が発揮できません。なぜ、このような着地点になっているのか?

Brave側の考え

まず、BATは、日本の改正資金決済法上は、仮想通貨の扱いになるとみてよいです。つまり、焦点は、BATを使ってAdExchangeシステムを運用するBrave側が、仮想通貨交換業のライセンスが必要かどうかです。その点踏まえると、Brave側としては、まだ小さい日本市場のために、わざわざ仮想通貨交換業のライセンスを取得するという発想はナンセンスです。金も時間もかかる。日本の仮想通貨取引所と組んで、そこに委託するモデルも一つありますが、正直、取引所の自主規制団体である日本仮想通貨交換業協会内の業界政治に明け暮れている今の業界プレイヤーの中で、Braveの大きな可能性を認識し、Brave側の意向を汲み取って、アクティブに動いてくれる取引所がいるのか?といえば、それも怪しい。その背景は、詳しくは「こちらの記事」にまとめています。

また、Braveの広告モデルの特徴の一つは、広告閲覧したユーザーが、得た報酬のBATを自分で好きなコンテンツ・パブリッシャーに配分できることにあります。僕が以前からこのブログで伝えている「奉仕経済」の実践的な仕組みの一つとして、高い可能性を感じています。奉仕経済については「こちらの記事」を参考にしてください。

この特徴によって、Braveの広告モデルは、彼らのレポートにあるように既存のGoogleが作り上げた個人情報を大量に利用したターゲティングバナー広告に対して7倍近いCTR(クリック率)を叩き出している。これはすごいことですね。なので、なんとか、現状の仕組みを維持しつつ(その方が開発コストもかからない)、日本の仮想通貨交換業のライセンシは取らず、Braveの広告モデルを日本にローカライズしたいと考えます。

金融庁の規制運用チーム側の考え

そして、もう一つは、改正資金決済法の監督官庁である金融庁側の規制運用チームの体質です。これも実際に関わったのでよく理解しています。まず、知っておくべきは、金融庁内には、「規制を作るチーム」と「運用するチーム」、二つあるということ。今回、関わっているのは後者の「運用するチーム」です。

彼らの性格は、常にグレーゾーンを嫌がり「既存の規制フレームワークに当てはめたい」と考える人々です。その心は? 管理しやすいから、ですね。グレーゾーンの存在は、規制対象にならないので、何か問題が発生した場合、省庁側は対策を講じることができません。野放しになるということです。しかし、イノベーションの世界では当たり前のことです。イノベーションの担い手ではない政府が、この点で後手に回るのは当然ですね。直接民主主義と自治権が発達しているアメリカでは、このようなグレーゾーンに対しては、色々と委員会を立ち上げ、直接民主主義による解決策を講じていく慣習がありますが、日本にはほぼ全くない。なので、中央政府のこの運用チームは、なんとか、既存の規制フレームワークに当てはめて、管理しようとしてくる。

この二つの視点を元に、現在のBAPモデルの着地点の背景について説明します。

BAPモデルというポイントになっている背景について

まず、Braveの広告モデルを簡単に説明します。

広告主は、Braveへの広告予算を現金で用意し、その現金で、BATを購入します。そして、そのBATは、BraveのAdEx側のアルゴリズムに応じて、広告を閲覧したユーザーに配分され、また、自動的にユーザーの閲覧状況に応じて、パブリッシャーにも配分されます。広告閲覧者のユーザーも、パブリッシャーもBATで広告主側が投下した広告予算を受け取ります。

その上で、現時点で、彼らが講じている解決策は、広告閲覧者にBATではなくBAPという「ポイント」を付与し、そのポイントを閲覧者はパブリッシャーに配布するという解決策です。おそらく、Brave側は、BAPの交換先を増やしていく考えでしょう。現金とも変えられるモッピーなどもその候補でしょう。モッピーなどセルフアフィリエイトのポイントプログラムは「こちらの記事」にまとめています。モッピーのポイントは、現時点では何の規制対象にもなっていません。この点は、後でまた話をします。

ポイント扱いになっている背景の一つは、この広告閲覧者が、BATをパブリッシャーに報酬として配布する場合、仮想通貨法で規定している仮想通貨の交換行為に相当するかどうかの判断がグレーだからです。

というのは、日本において、報酬支払いを日本円であることを義務付けている労働基準法の第24条にあるように、まず、給与支払いは、通貨であることが必須ですが、日本円であることを義務付けている条文はなく、かつ、臨時賃金については、日本円である義務も課されていません。つまり、外部委託の仕事に対する報酬を仮想通貨で払うことを禁止する法律は一切ありません。仕事の依頼者と引受者が任意合意すれば、経済取引として成立します。日本の国税局が定義している仮想通貨の税務処理ルールに基づき、税金さえきちんと収めれば何も問題ない。労働基準法の第24条については、「こちらの記事」を参考にしてください。

広告費とは、企業側のマーケティング活動をアウトソース費のようなもので、Braveの広告システムの場合は、パブリッシャーも、そして、広告閲覧者も、そのアウトソース先です。ですから、仕事の委託を仮想通貨の報酬で受けているわけですね。

この経済取引は、改正資金決済法の規制対象外で、グレーです。だから、金融庁の規制運用チームは嫌がる。イノベーションとはこういうものですが、とかく、規制運用チームは嫌がる。BraveとBraveの顧問弁護士チームが、彼らを説得仕切れない場合は、彼らが提案してくる日本の既存の規制フレームワークに着地するしかない。妥結案がBAPというポイント扱いということですね。ポイントは法律による規制があるわけではないですが、会計処理上のルールも含めてガイドラインが整備されているので、金融庁からすると管理しやすい対象です。

しかし、ここで僕は、疑問が湧いてくる。それなら、なぜ、BAPポイントは現金にできない? ここでモッピーのビジネスモデルに登場してもらいましょう。

モッピーの運営企業セレス社より – https://ceres-inc.jp/business/mobile/

 

モッピーは、いわゆるアフィリエイト広告におけるセルフアフィリエイトをビジネスモデルにおいた広告システムの運営企業です。広告主は、セルフアフィリエイトの広告をモッピー のサイトに掲載し、ユーザーは、そこからアフィリエイト案件を自分で処理することで、アフィリエイト報酬がもらえます。

この際、報酬は、モッピー ポイントというポイントで、これは1P=1円で現金交換も可能です。

Braveの広告システムと似ていますよね? Braveの広告閲覧者や、パブリッシャーが得られえる報酬は、モッピー ポイントに近いが仮想通貨ということです。そして、モッピー の事業は一切規制されていません。なぜなら、広告施策の報酬を現金で受け取るか、ポイントで受け取るかは、日本の労働基準法に基づき、依頼主と業務者側の任意合意によるものなので、省庁側は一切介入しないからです。わかりやすい話、野菜とか米でも別にいいんですよ。お互いが合意していれば。ただ、国税局からすると、税金納めてもらたいので現金勘定しにくい野菜や米は困りますが。笑

ですから、仮想通貨でも当然構わない。受け取る側がそれでよいと言っているのではあればいい。これは、単にBraveの広告システムにユーザーとパブリッシャーが参加する場合に、「合意書」をOKしてもらえれば良いということです。

なので、僕がBrave側であれば、このロジックで、省庁側を説得します。改正資金決済法を使うのではなく、労働基準法を使うということです。グレーなままで攻めるのもありですが、すると、日本の広告代理店が、広告主に積極的に販売に動いてくれないリスクもあるので、法的根拠を明確にした方がいいでしょう。

ただ、これ以外にも、いくつか解決案があるので、参考までにまとめておきます。おそらく、以下のアイデアも検討過程の中で、対象には入っていたとみています。

新たな解決モデル① – 100%自動配分

要するに、今のBraveの広告モデルにおけるユーザーが閲覧に応じてBATを報酬としてもらい、それを自由に好きなパブリッシャーに配分できるというルールは採用せず、Brave側がユーザーのサイト閲覧履歴に応じて100%自動で最適配分するというやり方です。現時点でも、この自動配分の仕組みはBrave AdExには組み込まれていますが、その率を100%まで引き上げるということです。この場合、ユーザーは一切経済取引に関わっていません。広告主とコンテンツパブリッシャーの2者間の経済取引をBraveのシステムが仲介する形で、その目的は売買ではなくマーケティング活動です。既存のAdExにおける取引通貨が、法定通貨ではなくBATという仮想通貨ということですね。なので、日本の労働基準法に沿って、仕事を引き受ける側が、「BATで欲しい」という合意があれば、一切規制なく、対応可能なアイデアです。

ただし、このアイデアは、トレードオフがあって、Braveの強みである既存のターゲティングバナー広告の7倍のCTRが出ない可能性がある。奉仕経済のメカニズムが効いているので、Braveの広告は、圧倒的な高いCTRを実現できているとみていますが、こいつを自動配分にすると下がるリスクはありますね。テストして、結果検証する必要があります。

新たな解決モデル② – セルフアフィリエイト+仮想通貨の寄付

Braveの広告閲覧ユーザーが受け取るBAT報酬は、丁寧に見れば見えてくる法的根拠ですが、「セルフアフィリエイト+用途を限定した仮想通貨による寄付」と言えます。まず、広告閲覧ユーザーが受け取るBAT報酬は、彼らは現時点では仮想通貨取引所で売却することはできません。パブリッシャーに配分するという「用途の限定」が入っています。しかも、その用途は、パブリッシャーに対する任意の寄付行為と言えます。

これであれば、寄付したユーザーも受け取ったパブリッシャーも寄付による税額控除が受けられます。僕は、この法的根拠の方が事業としてスケールすると考えています。

結論:BATで報酬をもらえるか、金融庁を説得する鍵は、ユーザー側の努力

ただ、結論は、ユーザー側の努力です。これが、直接民主主義こそ、中央政府を極小化し、非中央集権化を進めるブロックチェーン・プロジェクトの本質だからです。BraveBrowserを普及させるために、消費庁に、上のようなより普及させるための案をクレームとしてあげるぐらいの行動力が必要ということですね。ややこしい仕事は、Braveや省庁に任せていると、結局、損するのは自分たちということです。

僕のBraveBrowserの投資評価については、「こちらの記事」にまとめています。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

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