バイナンスリサーチのDAOの市場動向に関するまとめ #3

3. タクソノミー

既存のDAOのフレームワークを参考にしながら、多くの新たなDAOが立ち上がってきている。そのため、DAOの分類について的確がフレームワークが求められてきていると言える。当然だが、タクソノミーは、各要素が完全に独立して存在でありながら、全ての要素を抑えているものでなくてはならない。

バイナンス・リサーチでは、DAOの要素を先に指摘した、すなわち、多階層に基づく合意形成、リソース管理、そして、議論と投票プロセスの3つのスコープから分類している。

バイナンス・リサーチでは、以下の3つにDAOの要素を分類している。

Tier1: Core Element

Tier2: Mutually exclusive design choice

Tied3: Non-exclusive implementation variant

3.1 DAOのDNAは何が定義するか?

DAOのゴールは、資産の最配分なのか?それともシステムのデザインなのか?このタクソノミーは、しかしながら、DAOを規定のカテゴリに当てはめることが目的なのではなくて、むしろ、単に不可知論的なフレームワークによって、のちにDAOのクラスターを特定しやすくするためのものである。

3.1.1. 多階層合意のスコープ

DAOにおいて、何を多階層合意の対象にするか、ということである。まず、検討対象となるのは、多階層合意の対象に制限を設けるか否かである。

もし、制限を設ける場合、その対象外となる基準を考えなくてはならない。一般的に、その対象外条件は、自然言語化するか、ソフトウェア化する必要がある。

ソフトウェアの仕様の一部に組み込むことは強制力があり、かつアップデートも可能であるが、自然言語によるモデルは、ソフトウェアほど強制力がない。その点から、憲法のように中核的な価値観についての内容を自然言語化していくことは、ソフトウェアによるモデルに比べる重要性で実は劣るのである。しかしながら、自然言語は、やはり、既存の法的契約において、その微妙なニュアンスなどを伝える上で必要なものである。

一方で、ソフトウェアによるアップグレードモデルは、そのルールに対する拘束力を持たせるだけでなく、DAOの運用がブロックチェーン上で行われている場合は、スマートコントラクトの実装や、そのブロックチェーンプロトコル自体の変更など、中核的なオペレーションなるモデルに関係してくるのである。

-まず、Opt-inモデルは、多階層合意の文脈から外れている。多階層合意は、ヒエラルキーを極力排除して、ピア間で意思決定を行うものである。事前に合意に関するルールを設定していく手法は、協調的な意思決定モデルは許容しない。同様に、Opt-outモデルも、スコープの対象からは外れるが、投票の際に、非直接的に関わる。

-この概念に沿っているのは、水平的なメカニズムと垂直的なメカニズムの一般的な違いである。水平メカニズムは、あらゆるガバナンス上の問題に対して、強制力を持たないエグジット戦略を作り出す。しかし、既存のネットワークが効力をもとい、グループ内での強制力を崩壊させてしまうかもしれない。この理由から、水平モデルのガバナンスメカニズムは、蓄積していくスマートコントラクトに直接ソリューションを当てはめることが実行できる垂直型のガバナンスメカニズムのより詳細な評価モデルに対して、往往にして無視されてしまうことが多い。

3.1.2. リソース管理

オンチェーンリソースを独占的に利用できることは、DAOが直接、そのスマートコントラクトがアップグレード可能かどうかに関わらず、そのリソースのコントロールとそれを利用したアクションを実行可能にする。それぞれのスマートコントラクトの正確な設定条件に依存する形で、多階層の合意と実効性(例:更新性)は、保証することができる。その一方で、カウンターパーティリスクも避けることができる。

逆に、法定通貨に代表されるオフチェーンの資産を使う場合は、自然人や法人格は、それぞれのアセットの管理にアサインされなければならない。

3.2. DNAから脳の前頭葉前部皮質へ

DAOを組織的にどう機能させるか?の観点から、運用モデルの鍵となる二つの点は、「議論」と、そして「投票」である。

DAOにおけるルールは、予め決められ、正式なものであり、かつ透明性を持ったものである必要がある。その倍、DAOにおける「議論」はどうあるべきか?ルールに基づくものであるべきか、それとも各自の自己裁量に委ねられるべきか。

3.2.1 DAOにおける議論について

ルールに基づく議論は、事前の投票に基づき、On-Chainで実行することができる。核となるアイデアは、トークンエコノミーに基づくキュレーションメディアや、もしくはプレディクションマーケットなど、いずれもスマートコントラクトによるものだ。スマートコントラクトによって、それらのルールは、事前に決められ、正当性が認められ、そして透明性も確保される。

また、代替的な方法として、それらの議論は、Off-chainでも実行可能であ理、その場合、スマートコントラクトを実際の法的な契約に紐付けることで実行される。

ルールに基づかない議論は、自己裁量モデルになる。この場合、その議論は、Off-chainで実施される。これらの議論は、法的な契約に基づくものとして実行することもでき、その場合は、DAOのスマートコントラクトと結びつけることもできるが、多くは、SNSのメッセンジャーなどを通じてされるものであろう。

自己裁量的な議論であっても、一定レベルのラフなコンセンサスに到達することは当然あるわけであり、この段階に達したものは、やはり、ルールベースの議論へと統合されていくことになる。

大半のDAOのフレームワーク(例:AragonやMetacartel)などにおいては、ユーザーは、ペンネームなどの匿名性を維持する方法を使って、メンバー間の議論を行う。

3.2.2. 投票メカニズムの構造

DAOにおける投票メカニズムは、大きく二つの方法論によってお理、Liquid Stakeベースから、Meritベースかである。バイナンス・リサーチの見解としては、DAOにおける投票とメンバーシップは、直感的にリンクしている。

Liquid stakeとは、転送可能なステイクモデルのトークンと共に実行される投票プロセスである。そのトークンが、ネーティブのものか、もしくは外部のものかをより丁寧に判別した上で、Dedicated Votingメカニズムの手法に従う。

このモデルにおいては、DAOが、常にトークンを活用した投票権で運用されることを想定している。結果的に、トークンに基づく投票権が、何を代表しているのかについて見極める必要性が出てくる。ネーティブトークンはDAO自体から発行されたトークンを意味し、外部トークンは、外部で資金を投じて手に入れたトークンになるので、資金面でのコミットメントを代表していると言える。

これらの話を踏まえると、DAOにおける、あるユーザーが参加したり離脱したりすることができるかは、そのトークンの流動性に大きくなインパクトを齎すものであり、そのユーザーがもつトークンは、ネーティブトークンとなるであろう。プライマリーやセカンダリ市場に需要も供給も存在しないトークンは、そもそも欠陥と言える存在である。

Liquid stakeを活用した投票モデルには、投票者の重み付けが与えられる。一つのトークン保有者に一投票が与えられるかどうかである。例えばは、ビタリックが考案したQuoadoratic Votingでは、投票に対するコストが、二次関数的に増えていく。別のやり方では、トークン保有数Nに対して、M数の投票権が与えられるなどである。

もう一つのモデルは、ステイクではなく、Meritである。この場合も、やはり、トークンが関わってくる。しかし、この場合のトークンは、送信は不可の設計になっており、あくまで投票権のオーナーを明らかにするためのものである。

これらのトークンは、その名の通り、個人の功績や活動に対して発行されるものである。

そして、これらのトークンのオーナーは、そのアイデンティティについて検討がなされる。いわゆるKYCの問題である。例えば、SNSのアカウントや政府発行のIDなどが活用される場合もある。

3.3 DAOに関する他の要素は何か?

上記で触れたDAOのデザインは、以下のような点についても影響を及ぼす。

-複雑なスマートコントラクトに伴うリスク:DAOは、まだスマートコントラクトの履行に失敗するリスクを伴っている。より複雑なスマートコントラクトの条件を適用するほど、その履行失敗のリスクは高まる。スマートコントラクトのコード認証方法や保険によって、これらのリスクが緩和ないしは管理可能になるかもしれない。

-機能的な付加価値:例えば、ステイキングやメリットモデルに基づくID情報を元に投票者の拡張を計るなど。その場合に、既存のメンバーからの推薦によって新たな参加者を決定するなど。

-社会的結束:DAOのメンバーシップにおける活動において、重要になってくる要素の一つは、DAOに参加することと去ることの手続きの容易さである。興味深い事例としてあげられる話は、結婚である。事実婚関係の男女の方が、法的に婚姻関係にある男女に比べて、そのパートナーシップが長続きしているのである。この点は、DAOのメンバーシップの考え方にも当てはまるのではないか。

-トラブル解決の能力:この点は、議論や投票のデザインの仕方次第で回避可能である。

-自律性の度合い:これは、DAOの様々な要素から影響を受ける。模範的な質問は、そのDAOが、予め決められたブロックチェーン上で運用されているケースもあれば、外部のブロックチェーンで運用されているケースもあり、または、いわゆる監査機能にかかるコストがどの程度のものかなどにもよる。

つづく。

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