バイナンスリサーチのDAOの市場動向に関するまとめ #4

4.DAOと法律

興味深いことに、現時点では、DAOと司法の世界は、流動的である。初期の時点では、DAO側は、司法を無視していた。つまり、DAOは、いかなる司法システムとも独立した形で存在しようとしたのである。しかし、司法システムを無視したモデルでは成立が難しいことがわかってきている。

基本的に、DAOは、法人格を持たなくてはならない。その法人格によってDAOは、法律とスマートコントラクトを統合することができるのである。現時点で、DAOは二つの戦略が適用されている

  • DAOは、法人格をもつことで、あらゆる法的管轄権から一線をひくことができる。このことはしかしながら、DAOが、オフチェーンのファンドを管理することに影響を与える
  • DAOは、既存の法人格を獲得することで、その法的な存在の構造を十分に結合することができる

第一の戦略については、DAOでは、自分たちを既存の法的管轄権から除外するため、”“Qualified Code Deference” (QDC) ” を実行する。QDCは、 Gabriel Shapiroによって考案されたもので、DAO憲章に合意したメンバーによって記述され、その宣誓によって、スマートコントラクトのオペレーションやその結果に対して法的に抗議する権利が没収されることがある。しかしながら、Shapiroの QDCには、法人格を持たない個人の集団を設定することも含むため、結果、DAOが、法人格をもつことが不可能になるケースもある。その結果、そのDAOは、法的な拘束性を持った合意形成をもつことができないため、結果的に、オフチェーンのリソースを管理できないことになりうる。

第二の戦略については、DAOが法人格を獲得することで、既存の法律概念のフレームワークの中にDAOを存在させるモデルである。法人格の獲得は、様々な手法によって可能であり、これはDAOにオフチェーンアセットの管理を可能にするだけでなく、参加者との間に契約をかわし、それによって賠償責任の保護を与えることもできるのである。それがゆえに、これは、法律とスマートコントラクトを関係づける前提条件となるのである。

たとえば、Maltese ITAS actは、DAOを、 “Innovative Technology Arrangement”として承認し、その結果、法人格を与えることを可能にしている。同様に、ヴァージニア州は、DAOを“elect to be a blockchain-based limited liability company” (BBVA)として定義している。注目すべきは、この定義は、すでに、dOrgなどでも用いられている点である。

一旦、DAOが、法人格を獲得すると、法的な契約(ときに、”wet law”という)とスマートコントラクトを統合することを望むかもしれない。この実現のためには、いくつかのステップを要する。

  • 初期のステップは、スマートコントラクトを書く代わりに、単にテキストとして記述するにとどめて、法的な覚え書きを表現する。
  • 代替的に、”コード”が、合意された契約を記述するかもしれない。代わりに、しかしながら、法的に拘束されたこれらの一義的な行為は、解決策になるよりかは、ハッキングを引き起こすだろう
  • より成熟したアプローチは、自然言語で交わされた合意内容をコンピュータが解読可能な契約オブジェクトに変換することである。OpenLawが、これを今マークアップ言語で試みている

スマートコントラクトを既存の法的フレームワークに組み込む作業は、まだ初歩的な段階と言えるが、同じく現代の法理論体型の考えを反映したより実践的なアプローチと言える。

 

つづく。

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