沖縄が次に目指すべき、21世紀型の”シリコンバレー、”Deep Tech Island” とは何か? #3

Deep Tech Islandのカギとなる3つの国家戦略特区の要件

さて、Deep Tech Island構想の全容はお話したので、話を冒頭のテーマに戻す。このDeep Tech Island実現のカギをを握るのが、まさに次回、2022年に予定されている沖縄振興特別措置法の更新で、我々が日本政府と「何を合意するか?」なのだ。

私の考えを述べると、端的には沖縄を「国家戦略特区」にすることだが、その要件は、今まで一般的に議論されてきた「国家戦略特区」とは全く異なる。主な要件は3つだ。まず、沖縄の地を、シリコンバレーと同じく文化的に多様化するための「①外国人起業制度」。人材に関する点である。スタートアップ・ビザは当たり前のことで、それ以外のロジスティック問題(リロケーション、ドライバーズライセンス、銀行口座解説や法人クレジットカードなど)も、全て中央省庁の管轄から切り離し、沖縄県と地元民間企業が主体的かつ自主的に解決する。

そして、「②ベンチャー投資へのキャピタルゲインタックス非課税+寄付金の利用用途一切の自由+仮想通貨による資金調達の自由と税優遇措置」。資本に関わる点である。Deep Tech Islandの構想には大量の資本が必要だ。それらを今のOISTのように税金に頼る考えは一切ない。プラスとなるベンチャー投資に対しては、その投資家はキャピタルゲイン税をゼロにする。Deep Tech Island構想に必要な資本は、ウォール街にある拝金主義者たちのDirty Moneyではない。ソーシャルインパクトを与えることを使命としている資本、すなわち、Smart Moneyである。SDGsの考えに刺激を受けたESG投資が発展することで、これらの資本が沖縄にあつまる土台は整っている。であるから、次は、彼らに十分な経済的なインセンティブを与えることが必要なのである。また、Deep Techの研究開発に必要な寄付金も同じで、既存の税控除は当たり前で、個人・法人問わず、利用用途に関しても全て沖縄県が自主的かつ主体的に決める。ここに既存の法規制のフレームワークは一切当てはめない。また、仮想通貨による資金調達においても同様であり、ICOやSTO、IEOなど最新の資金調達手法を自由に活用可能な基盤を整え、Deep Techベンチャーの資金問題のリスクを最小化し、かつ税優遇措置を与えることで調達側と投資家のインセンティブを高める。以前から金融庁の幹部には伝えていることだが、日本とシリコンバレーの間に存在する1:30という巨大なベンチャーマネー格差を埋めるには、仮想通貨を利用した資金調達を活用するしか方法は残されていない。そして、最終的には、イノーベーション・ハブの長期的な最大障害となるインフレを引き起こさぬようゲゼルマネーの概念を取り入れた新たな通貨システムも導入する。インフレの問題を解決しなければ、今のシリコンバレーが苦しんでいるように、沖縄の地が、持続的なイノベーション・ハブとしてあり続ける可能性はゼロである。

最後に「③レギュラトリーサンドボックス」。新しい秩序作りに関する点である。OISTの新竹教授が開発した波力発電するための非常に優れた装置の実証実験、中央政府が定めた電力事業法が原因で、沖縄で実験できないことが判明した。結局、モルジブで実験したのだ。相変わらず、中央官庁の度が過ぎた過保護によって、国内のイノベーションの種が潰されている典型的な愚かな事例と言える。従い、沖縄全土に対して、レギュラトリーサンドボックスを適用し、既存の中央官庁の法規制が一切及ばないようにする。これによって、Deep Tech Island実現のためのあらゆる実証実験を可能にするし、新しいテクノロジーが初期市場にアダプテーション(事業が立ち上げる)までを視野に入れたパイオニア市場を沖縄に作り出す。この点は、私のシリコンバレーの複数の友人などとも議論して既に明確にわかっていることだが、このレギュラトリーサンドボックスを沖縄の地に持ってくるだけで、世界中の先進的なテック企業が、沖縄に人材と資本を投下することに興味を持っている。彼らは、イノベーションの阻害要因になっているこの政府の過度な規制に対して、辟易しているからだ。このために、イノベーションに過剰な労力と資金が必要になってしまっていることを彼らは、何百回と経験しているのである。しかし、レギュラリーサンドボックスを適用する以上は、当事者が、全て「自らケツをふく」覚悟と実際の対応が求められる。つまり、これも、沖縄に住む人々が自主的かつ主体的にDeep Tech Islandを実現するための法規制を自らの頭脳で考え、実装し、運用していくということである。そのための頭脳部隊の編成にも私は動いている。

また、これ以外にも、沖縄の地をDeep Techのテクノロジーイノベーションの世界に最適化させる上、諸々の障害となる規制項目に関しても、沖縄県をその対象から外す。日本でのテックベンチャーの経営経験から障害規制は大半身に染みて理解している。

そして、最後に重要なことはこの成功の計測方法である。何をもって、この「国家戦略特区」の成功指標とするか?感の良い人であれば気づいていると思うが、答えは「自給自足率=SSR」である。沖縄経済の自給自足率が上がるテクノロジーベンチャーや起業家を世界中から招き入れる、もしくはOISTも含めた県内で育成し、リスクゼロで起業してもらう。そのためのスタートアップスクールも私は既にOIST内に立ち上げている。当然、OIST Startup Schoolは、スタンフォードやハーバード、MITを凌ぐ世界最高峰を目指す。今、琉球フロッグスとも提携し、このOIST Startup SchoolのOIST外への展開も準備している。このようにして沖縄で立ち上がる新たなDeep Tech のスタートアップは、自給自足率への貢献度に応じてより多くの資金を提供する。つまり、未だ世界が追い続ける自滅に向かうGDPとも沖縄経済を切り離す。

この結果、30年後には、沖縄は、世界でも稀に見る、シリコンバレーを超えた「世界のイノベーション・ハブ」に成長していると確信している。シリコンバレーも、スティーブ・ジョブズがアップルを創業した5-年前の1970年代後半は、アメリカのど田舎だったからである。Deep Tech Islandは、今のシンガポールにも実現できない、今のシリコンバレーにも実現できない、「OISTをもつ島経済の沖縄」だからこそ実現できる世界のイノベーション・ハブ構想なのである。

そして、その結果、高い自給自足率を獲得した沖縄は、国連が掲げるSDGsの数少ない成功のロールモデルとして、世界から注目を集めることになるだろう。沖縄県知事が、国連でスピーチする日が楽しみである。

笑

そして、この成功例を起点に、Deep Island Network という形で、高い自給自足型の経済システムを構築するためのノウハウを世界に共有していく。既に、「TED x Deep Tech Island」というイベント構想を考えている。

沖縄戦の苦しみを乗り越え、100年後の人類と世界平和のことを考えて、「今を生きる」ことの大切さ

我々は、今、現に生きている。その境遇がどうあれ、過去がどうあれ、この地球に生を受けて、今を生きているのである。50年にも及ぶ苦渋を乗り越えてきた今の沖縄の人々に問いたい。単なる自己満足のために生きるのか、それとも、自分の子供や孫に心から感謝される、これから100年後の人類の未来のことを考えて、「今を生きるのか」と。さかのぼること太平洋戦争で、唯一、日本の地で、老若男女を巻き込んだ凄惨極まりない総力戦を体験した沖縄の人々が成し遂げるからこそ、この世界平和への希望の道を人類に示すことの意義がある。

この沖縄の地で、多くの同志に出会えることを心から祈っています。

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