僕がなぜ、KyberNetwork のトークンKNCに投資するのか?#1

DEXプロトコルの一つであるKyberNetworkのトークンKNCについてまとめたものです。投資検討の参考にしてください。

ペインポイントの定義

Kyberは、中央集権型の仮想通貨取引所の問題を解決しようとしているDEXプロトコルの1つです。中央集権型取引所の最大の問題の1つは、カストディの問題です。中央集権型取引所で取引する場合、ユーザーは、自分の仮想通貨をその取引所に預ける必要があります。この預かるサービスがカストディであり、その結果、取引所には大量の仮想通貨資産が保持されることにつながり、これがハッカー達に取引所をハッキングする動機を与えます。現に仮想通貨取引所は、過去10年で1500億円近いハッキングを受けています。

また細かい点でいえば、中央集権取引所は、そのサービス内にアカウントを持っているもの同士ではないと取引することが不可能なシステムになっています。つまり、分散的なインフラにはなっていないわけです。しかし、上の図の左側のように、DEXのコンセプト通りに、各ウォレットが分散的にネットワーク化されている状態を作り出すことができれば、まず、中央に集中的に仮想通貨を持っているプレイヤーが存在しなくなるため、ハッカーが攻撃するコストが一気に増大し、彼らのハッキング意欲を削ぐ、また、ウォレットもユーザーが自由に選ぶことができるため、特定の銘柄を取引するのに、特定の取引所のアカウントを開くという手間がなくなります。

プロダクト分析

プロダクトの全体評価

競合である0xとの比較を踏まえて、話をしていきます。アーキテクチャの設計方針でいうと、0xに対してKyberはより垂直統合型のプロダクトになっていると言えます。

下記の図をみてください。


Kyberの場合は、ETHとEOS間などのクロスチェーン取引(Uniswapと呼ぶ)を行う際に、各ブロックチェーン上に、Kyber側が売買を行うためのスマートコントラクトのエンジンを上で稼働させ、それらをネットワーク化しています。

下記の図にあるように、各ブロックチェーン間のブリッジ機能をKyberのエンジンが果たすわけです。このエンジンの肝は、各ブロックチェーンごとに当然、色々とパフォーマンスのばらつきがあります。たとえば、ブロックの生成スピードが異なったり、スマートコントラクトの実行条件の設定などが異なったりと。このあたりは、下のRelay Bridgeに相当するKyberのDEXエンジンが、吸収して、処理を可能にするわけですね。


0xのDEXプロトコルの場合は、この領域は、彼らは直接は面倒はみません。リレイヤーと呼ばれるP2Pトレーディングを行う仕組みを運用している0xのパートナー企業が対応します。0x側はそのためのライブラリやモジュールを提供することで、リレイヤーの開発負荷を下げていく、そういうプロダクト戦略です。同時にこのアーキテクチャをとることで、オフチェーン処理(ブロックチェーン処理)に依存する領域を減らすことで、スケーラビリティをあげています。パブリックブロックチェーン自体が高速化することは現実的に考えてほぼないからです。

一方、Kyberの場合は、各ブロックチェーン毎にスマートコントラクトを使ってエンジンを運用していますから、オンチェーン処理になります。この点からもある意味垂直統合型と言えますが、この場合、どの程度スケーラビリティが得られるのか、課題は大きいと言えます。Kyber のエンジン自体が、セカンドレイヤーとしての性能をもつことが肝になってくるわけです。

また、ビットコインのようなスマートコントラクトの機能を持たないブロックチェーンの場合に、どのようにUniswapを実現するかという課題があります。この場合、Kyberでは、SYNTHETIX Networkなどが採用しているいわゆる完全ペッグした先物商品のようなもの(WBTC = Wrapped BTC)のソリューションを活用することで、DEX取引の対象として可能にしようとしています。SYNTHETIX Networkについては、「こちらの記事」にまとめています。実際、SYNTHETIXを使うのがよいとは思います。

ということで、総じて言えるプロダクト評価は、Kyberの方がより垂直統合性の高いプロダクトなので、この方が事業の立ち上がりは早くできると思います。以前から伝えているソフトウェア事業の基本ですね。詳しくは「こちらの記事」にまとめています。

なぜなら、顧客にも相当するパートナー企業側の開発負荷が下がるからです。その代わりにKyber側のエンジンの負荷が上がります。なので、中長期で、Kyberのエンジンの拡張性に課題が生じてくる可能性はあります。0xに比べると拡張性で課題を抱えるアーキテクチャを初めからとっているためです。現時点では、DEX市場は、まだ小さく、中央集権型取引所が主流を占めている状態なので、拡張性の問題は顕在化して来ませんが、いずれ、DEXに主流が移ってくるタイミングは確実にくるので、そのタイミングで勝敗の答えが出てくるように思います。

流動性を確保するための仕組み

まだ、0xのマーケットメーカーステイキングに相当する仕組みも提供しています。


上の図におけるMaintainerと呼ばれる存在がそうです。Kyber上で売買されている各種トークンを一定量保有し、流動性供給に貢献します。その仕組みも3階層で定義されています。以下の図がそのまとめです。

自ら自前のトークン在庫を抱えて、Kyberの流動性改善に貢献するプレイヤーや、Kyberがもつ0xのMarketMakerStakingに近いユーザーから集めたトークンをベースに流動性を供給するプレイヤー、そして、そのリザーブにトークンを供給する事による貢献などです。しかし、この辺りあとでトークンエコノミー のところでも話すのですが、0xに比べるとトークンエコノミー への組み込み方がまだちょっと甘いように思います。

つづく。

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