ブロックチェーンを活用したトラストスコアは、人類に本質的な「信用格差の解消」をもたらすのか? #1

僕が、Orbを売却しようと考えた最大の理由がここにあります。しかし、売却後、色々と考えた結果、これは人類を不幸にするリスクがあると考えて、このプロダクトプランは実行しないことにしました。ただ、このプロダクトプランの背景を話すことが、多くの人に、「信用格差」の原因とその本質的な解消方法について、深く理解するキッカケになると考え、まとめておきます。

インターネットは「情報格差」を解消するためのテクノロジー、ブロックチェーンは「信用格差」を解消するためのテクノロジー

ブロックチェーンのミッションの一つは、世界で銀行口座すらもつことができない貧困層、しかし、スマホをもちインターネットにはアクセスできる彼らに、低コストで利便性の高い金融サービスを提供し、彼らを経済格差の闇から救うことにあります。詳しくは「こちらの記事」を参考にしてください。

具体的に数字で指摘すると、世界で銀行口座を持っていない人々は17億人以上存在していると言われています。地域的には当然の事ながら経済的に貧しい新興国が多い。以下は、マッキンゼーがまとめたデータです。

以前、フェイスブックのリブラのプロダクト分析を話をする際にも説明しましたが、リブラのプロダクト戦略は、Orbのそれととても近いものであると話しました。ブロックチェーン上で発行したステーブルコインを発行し、加盟店を増やし、ユーザーのそのステーブルコインの決済履歴のデータを利用し、トラストスコアを算出し、ユーザーは、このスコアの上下に応じて、受けられるサービスが様々に変化する。当然、スコアの高い人が良いサービスを受けられる。

これは、ある意味、中国で普及しているAliPayやWeChatPayのトラストスコアモデルをブロックチェーンの上で運用するプロダクトの発想です。彼らと同様、スコア算出のための決済データを手に入れるためには、その決済手段を受け入れてくれる加盟店ネットワークが必要です。Orbの場合は、世界最速のパフォーマンスを誇るプライベートブロックチェーンのOrb DLTを開発し、その上に「地域通貨」のソリューションを地銀をメイン顧客に提供する形で、事業展開をしていました。リブラであれば、これに相当するのが、世界に数千万の加盟店網をもつVISAやMasterを巻き込んだり(リブラ協会からは既に脱退しましたが)、評価経済をもつUberやLyftを会員メンバーに招き入れているのも全てはスコアの原資データを手に入れることもすでに説明しました。

しかし、事業を進める中で実感したことは、これが恐ろしく時間がかかることなのですね。まあ、日本の場合は、スタートアップエコシステムの貧弱さに加えて、NTTデータの全銀ネットやCAFISなど、何十年と続いた100万人雇用を生み出している受託開発産業構造に全くメスを入れない「茹でガエル」体質が政財界システムがあるため、余計に時間がかかるというのもあります。なので、SBIホールディングスのようにすでに収益源が十分ある経営体力のある会社がリードした方が現実的に立ち上がっていく事業であると考えました。

ただ同時に、僕は、起業家ですから、もっと時間を短縮できるような「非中央集権的なトラストスコアネットワーク」のB2Cキラーアプリを作れないかとずっと考えていました。

#2につづく。

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