今、全ての日本人が読むべき書籍は「群衆の知恵」である。なぜか?

https://seekingalpha.com/article/296343-the-wisdom-of-the-crowds-and-sangamos-phase-ii-b-clinical-trial-results

なぜか? それは、今、以前からこのブログで伝えているよう「茹でガエル」状態の日本人にとって、この本ほど、未来の道を示唆してくれている本がないと考えているからです。詳しくお話していきます。

平成の「失われた30年」の根底にある、日本社会における「優れた集合知」の欠如

平成の30年の間に、日本が「茹でガエル」状態になったことに、異論を唱える人はいないでしょう。多くの日本人が言います。「なぜ、iPhoneが日本から出て来なかったのか?」と。「なぜ、シャープのザウルスはiPhoneへと進化することができなかったのか?」と。僕は、その人に明確にこう伝えています。「原因は、あなた自身にある」と。かつて技術大国と言われた日本が、ここまで技術のあらゆる面で、世界の他の国々に比べて劣るようになった背景、特にアメリカに比べて圧倒的に劣るようになった背景、多くの日本人はこの原因を深く自覚していません。

その答えを教えてくれるのが、書籍「群衆の知恵」です。

この本で様々な事例を通じて述べられていることは、「優れた集合知」の形成こそ、人類にとって、未来社会の骨格となる考え方であるということです。

まずは、本に紹介されている中から「優れた集合知」の事例を2つ紹介します。

エピソード①:イギリスの牛の見本市で行われた雄牛の重さを正確に当てた個人投票

1906年、イギリスにある町、プリマスで開かれた牛の見本市で、ある丸々と肥えた雄牛の重さを当てるコンテストが開催された。少額をかけてコンテストに参加し、当たった人が賞品をもらえるというものだった。そして、この予想ゲームに800人が参加した。参加は自由だったので、食肉店など業界関係者もいれば、一般人も入っていた。そして、結果はというと、800人がそれぞれ投票した予測値の平均値は、1,197ポンド。実際の重さは、なんと1,198ポンドだった。1ポンドしか違わなかったのだ。

そして、もう一つ。このブログの読者には投資をやっている人が多いので、株式相場の事例の抜粋を紹介します。

エピソード②:スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発原因を正確に当てた株式相場

1986年1月28日11時38分、スペースシャトル・チャレンジャー号が、フロリダ州ケープカナベラルから発射された。74秒後、チャレンジャー号は、地表から16キロの上空で突如爆発した。

このニュースが流れた直後から、このチャレンジー発射に関わった主要企業四社の株式が下落を開始した。その4社とは、シャトルとメインのエンジンを担当したロックウェルインターナショナル社、地上支援はロッキード社、シャトルの外部燃料タンクは、マーティン・マリエッタ社、固体燃料ブースターは、モートン・サイコオール社という役割分担であった。

爆発から喪に服す間もなく、21分後、ロッキードの株価は5%ダウン、マーティン・マリエッタは3%ダウン、ロックウェルは6%ダウンとなった。その中、最も下落幅が大きかったのは、モートン・サイオコール社だ。モートン・サイオコール社は、その日は、取引停止扱いになるほど投げ売りが入った。結果、下落幅は12%に達した。一方、残り三社は、その後持ち直し、2%ダウンにとどまった。

そして、政府が原因究明のため立ち上げた専門家集団による調査委員会は、6ヶ月後、爆発事故の原因が、固体燃料ブースターであることが発表され、サイオコール社が責任を負うことが明確になった。

素晴らしいですね。少数の専門家が出す答えより、多数の個人の答えを平均化したもの方が精度が高いということです。これが、「集合知」のもつ威力です。

この書籍では、上記2つも含めた様々な事例を集め、データ分析を行い、優れた集合知形成に必要な4つの要素を特定しています。

優れた集合知の形成に重要な「多様性」、「独立性」、「分散性」、「集約性」

まず、「多様性」です。今の日本のように同一民族社会は、200%優れた「集合知」を形成することは不可能です。ものの考え方や価値観がお互いに似通っているため、統計的な偏りが生じてしまうからです。文化、ライフスタイル、職業など、多種多様な人が、集合知l形成に関わることで、その精度が上がるということです。

次に、「独立性」。一人一人が、他者に依存せず、その意思決定を完全に独立した状態で行なっているという条件です。組織という存在は完全にこれを破壊する意思決定行為ですね。わかりますか?なぜなら、お互いに経済的に依存するからです。例えば、選挙における「票田」という概念も完全にこの「独立性」に反する考えです。組織的に投票するからです。個人の独立した意志がそこに反映されていないからですね。先ほどの二つのエピソードは、いずれも個人が、自分の金儲けのために、それぞれの意志で予想ゲームに参加しているため、一切、徒党を組んだ行為が発生していません。つまり、このようなゲームルール設計が、優れた集合知形成で必要ということですね。その点を踏まえると、日本人が好きな「合議制」は最悪な意思決定モデルであるということです。なぜか?お互いがお互いの顔色を伺う現象が伴うからです。つまり、自分で考え、自分で決めるというルールが合議制では全く働かなくなってしまうということです。

そして、「分散性」。地理的な意味も含めて、一箇所に集約された状態で、集合知を形成させるのではなく、なるべく、分散した状態、一言でいえば、世界中の人々がそれぞれ関わって意思決定する形が、優れた集合知を引き出すということです。この点は多様性にも通じることですね。地理的な差異は、文化や価値観の差異を生み出すからです。しかし、分散したままでは、最終的な集合知形成が行われません。

だから、最後の4つ目、「集約性」が重要であるということです。株価を決める行為も、ゲームルール自体が、「集約性」を持っていますね。雄牛の重さを当てる予想コンテストも同じです。選挙も同じです。何を決めるかのアジェンダが明確になっており、そのアジェンダを決める際に投票行為も含めて、各自の答えを集約するゲームルールがそこに組み込まれている必要があるということです。

だから、日本人が大好きな、会議室に集まって、ひたすら合議して、決まったか決まってないかよくわからないけど、時間切れだからなんとなく解散するという行為を繰り返している日本企業の経営スタイルは、優れた集合知形成から考えると、恐ろしく愚かな意思決定方法であるということです。衰退していくのは必然ですね。

Googleの検索エンジン、フェイスブックのSNS、アマゾンのE-コマース、そして、AppleのiPhoneに代表されるアメリカ生まれのプロダクトが、なぜ、こうも世界に通用するのか?その答えこそ、上の4つの要素なのですね。僕は、シリコンバレーでベンチャーを経営した経験があるのでよく理解していますが、シリコンバレーは、多様性と独立性が完璧に充実した社会です。世界中から優秀な人材が集まる。そして、優秀ですから他人の考えに流されることがない。こういう組織や社会から生まれてくるアイデアというのは、「優れた集合知」の中で揉まれているので、自然と世界に通用するプロダクトとして育っていくのです。一方、今の日本社会は真逆ですね。日本人しかいない。更にいうと、日本人男性しかない。このような中から生まれてくるプロダクトが、世界で通用しないのは当たり前であり、ガラパゴス化は必定と言えます。iPhoneなんて夢のまた夢です。日本人は、良識を好む性格なので、尖ったアイデアを嫌います。なので、僕のアイデアは、日本人からは嫌われるのですね。笑

だから、「出る杭は打たれる」のですね。多様性のある社会は、天才を許容するだけの寛容性があります。多様な意見を認めるからです。だから、多様性のあるアメリカ社会には、スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクといった天才的な感性を持った起業家が、常識では考えられないようなプロダクトを世に送り出し、そして、成功させる素地がそこにはあるのです。今の日本社会で、彼らが起業したら、もっと会社が小さい段階で、投資家と取引先に潰されていますからね。笑

結果、今の日本のように多様性と独立性が欠如した社会は、「優れた集合知」とは真逆の「情報カスケード」という現象を頻繁に引き起こします。これが、今の日本を更に不幸にしているのですね。詳しく話をします。

多様性や独立性が欠如した社会で頻繁に起きる「情報カスケード」現象

情報カスケードとは、行動経済学の理論の一つで、ゲーム理論の中で紹介されているのですが、簡単に言えば、社会を構成する多数派の意見に少数派の意見が飲み込まれてしまい、極端な一方向性の行動ベクトルが社会全体に生まれてしまうことです。つまり、社会全体から思考のバランスが失われてしまい、狂ったような行動を多くの人がとりはじめるのですね。恐ろしいのは、本人が自分が狂っていることに気づいていないということ。典型的な事例は「バブル」です。

バブル経済を招く根本的な原因は、資本主義そのもの、さらに厳密に言うと、インフレする通貨にその原因があるのですが、このシステム上のがん細胞を更に強化するのが、「情報カスケード」です。

勘の良い人であれば、わかると思いますが、2017年の仮想通貨バブルは、金融庁の調査レポートでも判明している通り、大半の資金は日本市場から流入したものです。2017年のバブル相場に流れた世界全体の資金の約40%が日本市場によるもの、つまり、日本人のものだったと言うこと。これは、典型的な情報カスケードの現象と言えます。当時の仮想通貨市場は、ビジネスモデルも全く整っていない状況のいい加減なプロジェクトに大量の資金が流れました。この段階で入ってきた個人投資家は、当然、まともな判断力は完全に欠いていたと言えます。でも、当時の本人たちは全くそんな風に考えていなかった。

他にも事例はいくらでもあります。例えば、日本とアメリカの間で起きた太平洋戦争を誘発した原因の一つに、明らかに「情報カスケード」があったと言えます。1:30もの工業力格差のあるアメリカに対して、戦争を挑むなど狂っているとしかいい方がない全く持って戦略的思考の欠如した判断と言えるのですが、当時の一般大衆とメディアは、日露戦争や第一次世界大戦で勝ったことに浮かれて、自分たちの実力を完全に勘違いしたわけですね。それがやがて「神民思想」のような過激な発想を生んでいき、「負けるはずがない」と言う根拠のない考えが多くの日本人の中で生まれ、冷静かつ客観的な判断をしている少数派を潰したり、殺害したりするようになる。これが犬養毅らを陸軍の若手将校らが殺害した2.26事件ですね。これは、完全に「情報カスケード」が引き起こした事件と言えます。2.26事件は、日本を太平洋戦争へと駆り立てた遠因として扱われれることが多い事件です。

From Wikipedia – 二・二六事件(ににろくじけん、にいにいろくじけん)は、1936年(昭和11年)2月26日から2月29日にかけて、皇道派の影響を受けた陸軍青年将校らが1,483名の下士官兵を率いて起こした日本のクーデター未遂事件である。 この事件の結果岡田内閣が総辞職し、後継の廣田内閣が思想犯保護観察法を成立させた。

オウム真理教が引き起こした地下鉄サリン事件も、信者集団の中で起きた「情報カスケード」の一つです。信者は、完全に、社会から隔離され、オウム真理教の上層部が伝える情報だけを頼りに生活をしている。そう言う環境下は、当然、人々は、思考の多様性も独立性もほぼゼロの状態になりますが、教祖の麻原氏が信じている「ハルマゲドン」の予言を、自ら具現化しようとする動きが、信者集団内に生まれたわけですね。

From Wikipedia – 地下鉄サリン事件(ちかてつサリンじけん)は、1995年(平成7年)3月20日に東京都で発生した同時多発テロ事件である。警察庁による正式名称は、地下鉄駅構内毒物使用多数殺人事件(ちかてつえきこうないどくぶつしようたすうさつじんじけん)。日本国外では「英:Tokyo Attack」と呼ばれることがある。世界でも稀に見る大都市圏における化学兵器を利用した無差別テロ事件であった。

宗教団体のオウム真理教によって、帝都高速度交通営団(現在の東京メトロ)で営業運転中の地下鉄車両内で神経ガスのサリンが散布され、乗客及び乗務員、係員、さらには被害者の救助にあたった人々にも死者を含む多数の被害者が出た。1995年当時としては、平時の大都市において無差別に化学兵器が使用されるという世界にも類例のないテロリズムであったため、世界的に大きな衝撃を与えた。毎日新聞では、坂本堤弁護士一家殺害事件、松本サリン事件と並んで『オウム3大事件』と表現されている。

これらの歴史的事実を踏まえた上で、いかに、群衆の知恵より「情報カスケード」を引き起こしやすい社会の特徴について、抜粋しておきます。

“均質な集団は多様な集団よりもはるかにまとまっている。集団のまとまりが強くなるとメンバーの集団への依存度が増し、外部の意見から隔絶されてしまう。その結果、集団の意見は正しいに違いないと思い込むようになる。自分たちが間違えることは絶対にないという幻想、その集団の意見に対して考えられるあらゆる反論を何とか理屈をつけて退けようと躍起になる姿勢、異なる意見は役に立たないという盲信がこうした集団には共通して見られる。”

もう一つ。

“賢い模倣はすばらしいアイディアを広めるのに役立つので集団のためになるが、自ら考えることなく行う模倣は害になる。”

社会の人員構成に均質性を求める教育方針を長らくやってきた文科省の愚かぶりがよくわかりますね。結局、自ら考えて行動するより、全体の方向性に迎合しやすい人材を大量生産し、それが、今の日本社会を「茹でガエル」化させている実態ということです。その日本社会は、日本人ばかりで構成されているわけですから、日本人ばかりの日本社会というのは、今後、ますます没落して行くことは必然であるということです。

ブロックチェーンによって進む組織のDAO化と「優れた集合知」形成の汎用化

更に、今後、ブロックチェーンによって、組織そのものを解体して行く動きがますます加速して行くでしょう。この流れは、日本ではなく、世界で進んでいきます。なぜなら、ブロックチェーン産業の中核で動いている人物は、僕も含めて、書籍「群衆の知恵」に書かれている内容の意味を深く理解しており、これこそが、持続的な経済システム、ないしは社会システムを実現して行く上で、最重要の項目の一つであり、かつ、社会に実装する上で、ブロックチェーンが非常に重要な役割を果たしていることを深く理解しているからです。

その方法論のことを、業界では「DAO」 = Decentralized Autonomy Organization (自律分散型組織)と呼びます。DAOの実装モデルの実験は、ブロックチェーン業界では活発に行われており、僕の仮想通貨プロジェクトへの判断基準の一つも、DAOに対する取り組みが入っています。僕の各アルトコインの投資評価について興味のある方は、こちらのブログ」を参考にしてください。

この取り組みは、いずれ、優れた集合知を形成するためのノウハウとして、ブロックチェーンを活用したDAOの汎用的なモデルが確立されて行くと考えています。しかし、社会の構成員自体に、多様性と独立性がなければ、このDAOは、もぬけの殻です。全く価値のない道具になる。

その点から、現時点で、多様性と独立性に欠く日本社会から、優れたDAOが生まれくる可能性は極めて低いと言えるでしょう。これが、僕が日本のブロックチェーンプロジェクトには一切投資しない理由の一つです。日本人自体に、この自覚が生まれない限り、日本から優れてブロックチェーンを活用したDAOプロジェクトが立ち上がることは、未来永劫、絶対にないことだと明確にわかっているからです。

以上の話は、多くの日本人が全くと言っていいほど自覚していない点なのですが、なぜ、理解が進まないのか?その原因は、社会をリードする既得権益層が、日本人である自分たちの利益を守るために、この現実を頑なに否定し続けているのですね。それこそが、「日本社会の闇」の本質です。その点については「こちらの記事」に詳しくまとめています。

僕が、OISTにいる理由

しかし、そのような「茹でガエル」状態の日本にも、唯一、例外的な存在があります。それが、沖縄にあるOISTです。日本で唯一、英語が公用語の大学院大学であり、構成員の70%以上が非日本人であり(つまり、日本人がマイノリティ)、世界60カ国からトップクラスの研究者が集まっている。OISTという社会は、僕のDAOの希望要件を日本の中で唯一、完璧に満たしているのです。OISTを中核としたコミュニティ経済にブロックチェーンを社会実装することには、持続性の高い経済システムと社会システムと実現する上で、もっとも理想的であるということです。結果は、論より証拠で、2019年にOISTは、Nature Indexで、東大40位を大きく引き離し、世界9位にランクインしました。そのプレスは「こちら」です。

ということで、最後に、もう一度、いいます。「群衆の知恵」は、今、日本人の全てが読むべき書籍と断言できます。

 

最後に

この「群衆の知恵」の中でも、取り分けて注目されている「予測ゲーム」を実際にプロダクト化しているブロックチェーンプロジェクトが、Augurです。僕のAugurのトークンREPの投資評価については、「こちらの記事」にまとめています。参考にしてください。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

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