新型コロナウィルスが明らかにした「国家型信用社会システム」の功罪

新型コロナウィルスが、パンデミックとなる中で、僕らに改めてブロックチェーンを活用した社会システムの重要性を裏付ける事件がおきました。元の記事はこちらです。

【新型コロナウイルス】中国籍の妻と娘はチャーター機に乗れず、家族は引き裂かれた@クーリエ・ジャポン

新型コロナウィルスによって、国家社会が作り出している信用システムの問題が浮き彫りになる事件が起きています。これもブロックチェーンと関係していることです。ワシントンポストの取材によると、中国に在住していたカナダ人男性、彼の妻と娘は、中国籍で、カナダの永住権は持っていますが、市民権(=国籍)は持っていません。その結果、カナダ政府が、中国に派遣したカナダ人を本国に連れ戻すためのチャーター機に、なんと、彼だけが乗れて、妻と娘は乗れないという事件が発生しました。家族は引き裂かれた訳です。なぜ、このようなことが起きるのか?

それは、「国民」という単位で、信用が定義されているからですね。以前、DAOに関するカルロス・ゴーン氏の問題で触れた国家のもつ「排他性」の話がまさにこれです。詳しくは「こちら」です。

国家社会における信用システムとは、その国で生まれ、その国で育った人は、自然とその国家の信用経済を最大限に受ける。そして、その中でも当然、細分化があり、その国家社会が決める信用の定義によって、また、優遇される対象が決まっていく。日本であれば、偏差値の高い大学を卒業し、歴史があり時価総額の大きい大企業や中央政府に勤めている人ほど、信用度が高い。つまり、優遇される。細かい誤差があるにせよ、このようなモデルは、世界中の国々で等しく暗黙の条件が決められているのが常識です。

だから、今回の新型コロナウィルスで起きたように、チャーター機という乗れる人数に制限のある「限られた選択肢」の問題が発生すると、何かしらの振り分け条件が決められ、その条件に沿わない人は、「除外対象」となる。以前、「2012」という世紀末映画で、地球が大洪水を起こし、そこから生き残るために作られた現代版ノアの箱舟に乗るためのチケットが、実質、富裕層が買っているというエピソードが描かれていたのですが、資本主義=金をもつものが有利という視点で、似たようなものですね。

ブロックチェーン型のトラストスコアの世界でも必ず同じことが起きる。なぜか?

以前、ブログで、僕が、AliPayやWeChatPayのトラストスコアのみならず、リブラや、VALUやタイムバンクなどよりはるかに優れたトラストスコアのプロダクト「MoAI」を考えていたことをお話しました。そして、そのプロダクトを実行に移さない理由も話をしました。詳しくは「こちら」です。

勘の良い人であればわかると思いますが、今回、新型コロナウィルスのこの1件は、国家社会に変わって、僕が考え出したような「MoAI」によるブロックチェーンによるトラストスコアの世界が生み出された場合でも、同質の問題が発生します。

要するに、同じチャーター機があったとして、一定以上「トラストスコア」がないと、そのチャーター機に乗れないということ。今回のケースは、その分断する判断材料が、「パスポート」があるかないかだったわけですが、トラストスコアの場合は、スコアが4.0以上ないと乗れないという類の話です。

つまり、仮に、このカナダ人の家族のケースであれば、奥さんがスコアが4.21で、旦那さんが3.99だった場合、旦那さんが今度は足切りを食らうことになる。娘さんは、例えば、このスコアシステム自体が、18才未満は利用できないルールの場合、自動免除されて救われるかもしれない。

いずれにしても、定量的に「信用」を測る社会を作り上げると、その判断材料がなんにせよ、似たような問題が発生する。

全ての原因は、それぞれの社会に「排他性」を与えることに原因があるのです。

ビットコインを起点とするパブリックブロックチェーンがもたらしたイノベーションは、テクノロジーによって、社会からこの「排他性」をゼロにすることを可能にしているということ。ここが今回の話において最重要なことなのです。

人類は、過去、自分たちの身を守ると称してこの「排他性」を社会に如何に実装するかを必死にやってきたことで、行き詰まっていると言えます。僕が、DeepTechIslandのコンセプトとして、“Culturally Connected, but, Economically Independent”と言っている本質はここになります。文化的な多様性を受け入れ、お互いに排他性を与えない。しかし、経済的には自立していることで、自然社会への過度な侵食も含めて、違いの極度の依存度をなくすことで、無益な資源戦争や貿易戦争を未然に防ぐ。これが、今回の新型コロナウィルスで、引き裂かれた家族を救うための処方箋ということです。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

 

 

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