マスター・オブ・スケール –元Google VP, Yahoo! CEO マリッサ・メイヤーのインタビュー#2

 

ホフマン:次の瞬間、彼女のパソコンのスクリーンに、新しいメールの通知がきた。見出しは、たったの3つ:”Work at Google”。

メイヤー:金曜の夜遅くだったわ。その”Work at Google”のメールを見たとき、今でも覚えているけど、”このボール山盛りパスタ、ほんとマズイわ。しかしも、金曜の夜に、こんなパスタ食べながら家にいるなんてミジメなの。”

ホフマン:これが、1999年の出来事。ドットコムバブルのピークのときだ。スタンフォードの大学院の学生たちは、テックリクルーターから手に余るほどのオファーをもらっていた。メリッサは、どうせまたスパムメールではないかと、このメールを削除しようかと考えた。

メイヤー:ほんと、偶然にそのメール通知のバーをクリックしたのよ。そして、その送り主は、サラール・カマンガー(初期のGoogleメンバーの一人)だったの。こう書かれていたわ。”スタンフォード大学の何人かの教授と話をしたんだけど、みんな、君の名前をあげたよ”。

ホフマン:サラー・カマンガーは、Googleの9番目の社員で、今は、YoutubeのSVPをやっている。そして、今、マリッサは、別のオファーが新たにきた訳で、計14になった。その中から一つ選ばなくてはならない。これは、大学院を卒業した学生にとっては、よくある課題の一つだ。どうやって、十四の中から一つを選ぶか。メリッサの場合は、同じスタンフォード大の学生でフェローをやっていたアンドレ・バニールに助言を求めた。今は、OathのVPをやっている。

メイヤー:私は、サンフランシスコにある彼のアパートに行って、こう言ったの:”これだけのオファーレターを持ったんだけど。。。”と言って、それぞれのオファー内容から、給与、ストックオプション、どこに会社があるか、キャリア機会のポテンシャル、昇進の可能性、仕事への満足度など。
ホフマン:そして、彼らは、それらの評価を全てグラフ化した。数値化して評価したわけだ。この作業を6時間かけてやったおかげで、もう日の出の時間になっていた。彼女の頭の中は、グルグル状態になっていた。なので、全く、一つに絞り込めるような状態には到達していなかった。

メイヤー:アンドレイは、こういう問題に対応することが好きなのよ。そして、私をみてこう言ったの: ”これは、楽しいね! 僕を巻き込んでくれてありがとね。” そして、私は、”まだ何も決められてないわ。だから、全然、楽しくなんかない。頭の中がパンパンよ。” すると、彼は”心配するな。家に帰って、ベッドに入って、ぐっすり寝なよ。そして、翌朝起きたときに、はじめに思い浮かんだ回答が、それが明瞭なものであろうとなかろうと、正しい判断になると思うよ。” こうして、私はGoogleを選んだのよ。あのとき、翌朝、目が覚めて、Googleで働きたいと思ったのよ。私は、Googleにはたくさんの頭のよい人たちがいると感じたし、まだ会社として発展途上だったから、色々な可能性を感じ、自分がそれに対して何もまだ準備できていない感触を持ったわ。それでいながら、彼らは野心的だった。これらの理由で、私はGoogleを選んだの。

ホフマン:メリッサは、意思決定を行う際に、かなりのデータを使うことでよく知られている。実際、これは、彼女の経営スタイルに対する批判の対象にもなっている。しかし、多くの人が見逃しているのは、彼女は、決してこのデータ分析から得られた内容だけで意思決定していないということ。集めたデータは、彼女にとっては、飛び込み台のようなもので、より高い位置で作るほど、視野は広がり、彼女が飛び込んだときの波しぶきは大きくなる。しかし、最終的に、彼女がそこに飛び込むかどうかを決めるのは何か?それは、引き続き、「直感」によるのだ。

メイヤー:私は、本当にデータドリブンであることが好きなんだけど、人の直感部分は決して無視しないわ。私にとって、その意思決定のプロセスにおけるデータの収集と分析は、対象になっていることをきちんと理解して、最終的に直感で決める。けど、その直感の正しさが得られるのも、それだけデータを集めて分析しているからだと考えているわ。

ホフマン:よく理解した上での直感、これは実際、とてもよい意思決定の方法だと僕も思う。

メイヤー:私も全くその通りだと思う。

 

つづく。

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