僕のWazirXのトークンWRXの投資評価について

WazirXのトークンWRXの投資評価について、まとめました。参考にしてください。

ペインポイント分析

WazirXは、中央集権型の仮想通貨取引所の問題を解決しようとしているDEXプロトコルの1つです。僕のポートフォリオ戦略におけるレイヤー4に該当します。詳しくは「こちらの記事」を参考にしてください。

以下は、同じDEXプロジェクトの0xからの抜粋です。0xについては「こちらの記事」を参考にしてください。

中央集権型取引所の最大の問題の1つは、カストディの問題です。中央集権型取引所で取引する場合、ユーザーは、自分の仮想通貨をその取引所に預ける必要があります。この預かるサービスがカストディであり、その結果、取引所には大量の仮想通貨資産が保持されることにつながり、これがハッカー達に取引所をハッキングする動機を与えます。現に仮想通貨取引所は、過去10年で1500億円近いハッキングを受けています。

0xのホワイトペーパーより、CEX(中央集権型取引所)とDEXの概念の違い

また細かい点でいえば、中央集権取引所は、そのサービス内にアカウントを持っているもの同士ではないと取引することが不可能なシステムになっています。つまり、分散的なインフラにはなっていないわけです。しかし、上の図の左側のように、DEXのコンセプト通りに、各ウォレットが分散的にネットワーク化されている状態を作り出すことができれば、まず、中央に集中的に仮想通貨を持っているプレイヤーが存在しなくなるため、ハッカーが攻撃するコストが一気に増大し、彼らのハッキング意欲を削ぐ、また、ウォレットもユーザーが自由に選ぶことができるため、特定の銘柄を取引するのに、特定の取引所のアカウントを開くという手間がなくなります。

プロダクト分析

現時点で、扱っている銘柄は、80+になります。ペアリングの通貨はUSDTです。かつ、後ほどチームで話をしますが、人材はインド人になるため、初期のターゲット市場もインド、そして、USDTからインドの現地通貨であるインドルピー(INR)との交換も行なっています。その点から、インド市場にローカライズされているDEXと言えます。WRXのトークンの利用方法として、”トレードマイニング”という形で、流動性を供給しているトレーダーほど、WRXをインセンティブとしてもらうことができます。また、WRXのトークンは、Binanceが運用しているDEXシステムであるBinance Chain上で発行・運用されています。WRXは、BinanceのBNB同様に、取引手数料としても機能しています。

これらの点を踏まえると、プロダクトとして、他のDEXプロジェクトに比べた差別化ポイントは、インドのINRに対応している点、つまり、ローカライズされている点ですね。そうなってくると、事業リスクとして、インド政府の仮想通貨に対しる規制が新たなリスクになります。

現時点で、インド政府(正確には、インド中央銀行)は、2018年4月より、仮想通貨に厳しい規制を敷いています。たとえば、金融機関は一切仮想通貨事業を行うこと、ないしは仮想通貨事業者を支援することを禁じられています。友人のインド人に教えってもらったのですが、2018年がターニングポイントになった背景は、日本市場におけるCoincheckやZaifのハッキング事件があるようです。「日本市場で、この結果に終わるということは、インド市場でも難しい。よって厳しく対応すべき」との政府内部でのコンセンサスが形成されたようです。この辺りは、僕が業界を立ち上げた一人として常々言っていることですが、それほど、2014年のMt.Gox事件の逆風からに2017年に世界が日本をCrypto Heavenと言うまで育てあげた後の、この2件のハッキング事件が引き起こした日本市場の凋落は、世界市場にも大きな打撃を与えていると言うことです。詳しくは「こちら」にまとめています。

DEXなので、OTC取引の顧客を探すように草の根運動的にユーザー開拓はできると思いますが、その場合のユーザーベースのポテンシャルがインド市場の場合、どの程度あるのか、知りたいところです。

また、もう一つ「World 1st P2P Matching Engine」と、つまり、DEXプラットフォームとしてオーダーマッチングのアルゴリズムをもつことをアピールポイントにしているのですが、これはブロックチェーンのプロである僕の目から見ると違和感を覚えます。なぜなら、P2P取引にマッチングアルゴリズムを与えるということは、これらの取引には、明示的でないにせよ「オーダーブック」が存在することになり、そのオーダーブック上で売買のオーダーをマッチングするそのアルゴリズムは、一部の専門家しか理解ができない。つまり、その専門家がそのDEXを支配できてしまうことを意味するので、ブロックチェーンのPoWのコンセンサスアルゴリズムとは全く異なる意味が出てきます。わかりやすく別の例で言えば、Googleが検索エンジンのアルゴリズムを支配していることと同じです。この時点で、本質的に意味でDEXではなくなってしまうのですね。コンピューターサイエンスを論理的にきちんと理解している人であればわかる話です。ですから、0xなどでは、オーダーブックそのものを否定している本質的なDEXプロトコルになるため、オーダーマッチングのアルゴリズムなども提供せず、流動性の供給は、MarketMakerに委ねることで、本質的に分散的なDEXプロトコルを構築しているわけです。

チーム力の分析

基本インドベースで、元はCrowdFireと言うIT系ベンチャーの創業チームが母体になっています。

Nischal Shetty- Co-founder & CEO  –  Linkedin

連続起業家で、直前は、ソーシャルメディアを使ったユーザーグロースをしていくためのSaaSプロダクトであるCrowdFireの創業者でありCEOだった人物です。CrowdFireの組織サイズは30名ほどです。HubSpotなどの競合ですね。アドテク市場に該当するプロダクトの一つと言えます。現在も、CrowdFireの経営も見ています。インドのVisvesvaraya Technological Universityでコンピューターサイエンスの学位を取り、その後、ベンチャー業界を渡り歩いている人物です。

Sameer Mhatre – Co-founder & CTO – Linkedin

彼も、直前はCrowdFireでCTOだった人物です。現在も兼務しています。インドのムンバイにあるCenter for Development of advanced Computingと言うラボの研究員をやったので、なかなかのコンピューターエキスパートですね。

Siddharth Menon – Co-founder & COO – Linkedin

彼も、直前はCrowdFireで、プロダクトとデザインのヘッドをやっていた人物で、今も兼務しています。その前も複数のベンチャーを起業した経験があり、彼もまた連続起業家です。

Aniket Divekar – Technical Architect – Linkedin

彼も直前は、CrowdFireでバックエンドエンジニアをやっていた人物で、その前は、JPモルガンの社内IT部門でアプリ開発などを8ヶ月やっていました。CrowdFireを出てWazirXにフルコミットしています。Veermata Jijabai Technological Instituteでコンピュターサイエンスの学位を取得しています。JPモルガン時代のキャリアは短いため、ある程度、金融業界の業務システムに対するリテラシーがある人材と言えます。

Anvay Kshatriya – Senior Software Engineer – Linkedin

彼も、直前はCrowdFireで、CTOのSameerと同じCenter for Development of advanced Computingの研究員出身です。コンピュターサイエンスにはとても精通した人材と言えます。

Tanmay Shukla – Trader – Linkedin

DEXプロジェクトなので、流動性供給のために、トレーダーに協力してもらう必要があります。フルタイムかどうかは不明です。彼は、Manipal Institute of Technologyでコミュニケーションエンジニアリングの学位をとり、シンガポール大学やHPで主にAI関連のプロジェクトにインターンとして関わりつつ、仮想通貨の大手マイナーの1社であるGenesis Miningで、契約マイナーとして電気代の安いインドでマイニングをやっていた人物です。自動売買によるり流動性供給で協力していると見ています。

チームの実行力

Twitterで随時、DEXの売買高ランキングを発表してくれているDEX 24 Hour Volume Botにはまだランクインしてきていないですね。なので、2020年3月時点ではまだ実績はそれほど上がってきていないと言えます。「こちら」がそのTwitterアカウントです。

トークンエコノミーの分析

0xと同じタイプのプロダクトになるので、以下の0xのトークンエコノミー を参考に話をします。最重要のネットワーク効果の図です。

0xのトークンエコノミー 図

取引所を作るほどの実力はない人々が、OTC取引(こちらの記事にまとめています)で仮想通貨売買の収益を得ようとします。この市場のパイは、巨大人口をもつインドにもたくさんいるでしょう。彼らに、セキュリティレベルの高いOTC取引システムを提供するのがWazirXの存在価値になります。そして、0xと同様に、リレイヤーと呼ぶOTC取引を仲介するプレイヤーが増えるほど、参加ユーザーが増えるため、WazirXの全体の流動性が上がり、また扱う仮想通貨の種類も増えるため、事業がスケールしていきます。これが基本のグロースメカニズム(上の図の青色の円)ですね。

しかし、0xやKyberは、ここにさらにステーキングサービスを組み入れることで、二つ目(緑の円)のグローススパイラルを作り上げています。自分たちのトークンであるZRXやKNCを購入した個人投資家が、それらを彼らのネットワーク内にいるトレーダー(マーケットメイカーと定義している)に貸し出すことで、トレーダーは流動性にさらに貢献でき、トレーディングであげた収益は、個人投資家にリベニューシェアされる、こうすることで、WRXの保有者には長期投資家が増えることで、資産価値が向上しつつ、トレーダーの流動性供給力が上がるため、WazirXのDEXはより大きく成長していくことができます。

ハイプサイクル分析

最後にハイプサイクル分析ですね。


DEXは、上のACH(Automated Clearing House)をブロックチェーンで運用するカテゴリが該当します。2020年3月時点ではまだ黎明期で、ようやく盛り上がってきている感じです。

総合評価

まず、WazirXは、2019年11月にBinanceに買収されています。その点を踏まえて総合評価すると、BInanceが進めるDEX戦略の中に組み込まれている銘柄と言えます。BInanceが、WazirXの買収に踏み切った背景は、間違いなく「潜在市場規模」でしょう。本来なら、創業メンバーのルーツである中国市場を狙いたいと考えていると思いますが、政府の規制が厳しく、中国市場で商売できない。となると、次の巨大市場と言われるインドにターゲットするのは自然と言えます。

その点を踏まえて、WazirXは他のDEXに比べると、インド市場にフォーカスし、かつ法定通貨への交換サービスも提供している点が差別化ポイントです。ただ、投資するか否かでいえば、BinanceのDEX戦略に乗っかるかどうかなので、母体のBinanceに投資する方が、投資戦略としてはメイクセンスします。僕の予想では、バイナンスは、WazirXのDEXモデルで成功した場合、このモデルのグローバル展開を考えるでしょうが、その場合は、WazirXはあくまでインド市場のプレイヤーであり、他の市場は、現地プレイヤーと組む(買収も含めて)可能性が高いです。すると、結果的に、最も価値が上がるのは、BinanceのBNBトークンになります。

Binanceの投資評価については「こちらの記事」にまとめています。

また、WXTは、バイナンス・リサーチでもまとめられています。記事は英語になりますが、今日のある方は、「こちらのリンク」より参照してください。僕は、最新の関連ニュースのチェックなどでたまに使っています。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

注記:最終的な投資判断は、全て自己責任です。

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