コロナショックとリーマンショックの本質的な違いとは何か?

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コロナショックは、近代国家の時代が到来してから定期的に発生している経済恐慌とはわけが違う点について、多くの人がまだ理解していないのできちんと話をしておこうと思います。

実態経済(肉体)と金融経済(血液)の関係性について


まず、ここからはじめて行きましょう。

実態経済とは、僕らの衣食住、つまり、生活の基本を支える経済のことです。家を借りて住む、食材を買ってご飯を食べる、服を購入するなどですね。一方、金融経済とは、お金を借りたり貸したり、投資したりなど、いわゆる株式や債権などの売り買いで成り立つ経済です。

人類の経済システムは、大きくこの二つから成り立っています。この二つの役割を整理する上で最もわかりやすいのは、肉体と血液の関係です。「肉体=実態経済」、「血液=金融経済」です。

肉体には血液が必要です。なぜか?とてもシンプルなことですが、ここをよく理解しておかないと、後にくる話は理解できないと思います。

人間や動物の肉体においては、血液は、「エネルギー」を運ぶ役割をになっています。内臓や筋肉が動くにはエネルギーが必要です。そのエネルギーとは何か?例えば、よく健康食品などで、タンパク質、鉄分、カルシウムなどのタブレットが売られていますが。それらが血液が運ぶエネルギーです。ここで忘れてはいけないのは、エネルギーとしての「脂質」です。現代人は取りすぎと言われていますが、人間の体には適度な脂質も必要で、脂質もエネルギーとして血液によって運ばれています。

しかし、この血液と金融経済は、決定的に違う点があります。それは、血液は循環性があるのに対して、金融経済、一言で言えば「お金」に循環性はありません。ここも、今回の話とつながってくるポイントです。人類が生み出したお金は無尽蔵に増え続けるように設計されています。しかし、血液は逆です。血液も古い新しいがあり、古くなった血液は、発汗作用や排泄作用によってゴミとして肉体の外に捨てられるメカニズムが人間や動物の体には備わっています。このお金という資源の不自然さが、人類が生み出した最大のがん細胞なのですが、その点について詳しく理解したい人は「こちらの記事」をご覧ください。

リーマンショックは、金融経済の暴走が引き金


直近で起きた世界大不況は、2008年9月に起きたリーマンショックです。時系列で振り返ると、サトシナカモトは、この事件をきっかけにビットコインの着想を得たことがわかっています。その辺りは「こちらの記事」にまとめています。

リーマンショックの原因は、金融経済の暴走にありました。最大の原因は、サブプライムローンという住宅ローン商品の過剰な販売活動が原因です。この辺りは、ハリウッド映画の「マネー・ショート」を見るとなかなかわかりやすく描かれています。

From Wikipedia – 『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(マネー・ショート かれいなるだいぎゃくてん、原題: The Big Short)は、2015年にアメリカ合衆国で公開されたドラマ映画である。監督はアダム・マッケイ、主演はクリスチャン・ベールが務める。本作はマイケル・ルイスのノンフィクション『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』(2010年刊行)を原作としている。


アメリカで、十分な経済所得のない人々に住宅ローンを組んで家を購入させ、今度、その家を担保にその人が金を借りて、株式などを買ったり享楽に金を使うなどの行為が、2008年のバブル崩壊直前に横行していました。なぜこうような事態になったか?といえば、商売ですから、初めは返済能力の十分ある人に住宅ローンを売っていたが、その顧客を取り尽くしてしまったので、今度は、返済能力の低い人にもローンを売り始めた。そして、この住宅ローンを証券化して株式取引所で売買していた。要するに飽くなき利益を追求する資本主義自体が引き起こした金融恐慌でもあります。

この証券を大量に保有していたのが、米国の投資銀行リーマンブラザーズであり、このサブプライムローンで、もともと返済能力の低い人にも無理やりローンを組ませていたことで、返済不能になる個人が増加し始めた、つまり「返済の焦げ付き」が大量発生したことでバブルが崩壊、つまるところ、このサブプライムの証券価値が暴落します。その結果、大量保有していたリーマンは経営破綻し、この事件をキッカケに起きた世界大不況がリーマンショックです。いち早くバブルに気づき空売りを仕掛けていた投資家は巨額の利益を得ました。この点は、映画にも克明に描かれています。

この金融恐慌による世界大不況を、先ほどの肉体と血液の関係に例えると、どういうことなのか?

一言で言えば、実態経済に金融経済が過剰にエネルギーを送り込み、肉体をぶくぶくと太らせ過ぎた結果、肉体がこれ以上エネルギーは要らないと、お金を吐き出してしまって、金融経済側が大混乱したという具合です。無尽蔵にエネルギーを送り混んだ結果、いわゆる「痛風」の状態になって、エネルギーを受けつけなくなってしまったわけですね。証券=株式は、買い手>売り手であれば、値段は上がり、売り手>買い手であれば値段が下がる。ですから、証券価値を支えている住宅ローン自体に新たな買い手もいなくなり、売り手も返済不能なお客さんばかりになってしまってはこれ以上住宅ローンを売るわけにも行かない。その結果、ビジネスモデルが全く機能しなくなった。となれば、その住宅ローン商品を証券として売り買いしていましたから、その証券自体に買い手がいなくなるのは当然で、となると暴落するのは当たり前です。

先ほどいったように、脂質など大した要らないエネルギーを、血液側が肉体に大量に送り込んだということが、まず理解しなければいけないポイントです。実態経済(肉体)が超肥満状態になるまでエネルギーを送ったので、臨界点を超えて拒否されるようになったということですね。

そして、金融恐慌に端を発する世界不況はどのようにして起きるか?というと、大きく二つの流れが起きます。まず、金融業界の連中が大量に失業します。ウォール街は特に金遣いが荒い人が大量にいるので、彼ら失業することで、彼らの金が向かう旅行産業、外食産業、娯楽産業が冷え込む。しかし、こんなものは、実体経済へのインパクトとして大したレベルではありません。一番、大きな影響を受けるのは、株価の暴落による大企業のバランスシートの悪化による事業規模の縮小、そしてこれによる取引先中小企業の連鎖破綻による実態経済不況です。投資や会社をやっている人であれば、バランスシートは理解できると思いますが、株式は、下のバランスシートの右側にある「純資産」に該当します。企業経営の基本は、バランスシートの右側で資金を調達し、その資金を既存や新規事業に投資して左側にある「資産」を増やしていくことで、企業価値をあげていくというのが基本の考え方です。株式を発行し、それを投資家に売ることで、純資産にある資本金が増える。そして、この株式の価格が高いほど、資本金の額は、当然、大きくなりますね。


しかし、金融恐慌で株価が暴落するとどうなるか?この資本金が小さくなる。すると、それまでこの株価を担保に銀行からお金を借りたりして、事業が成長するように投資していたのができなくなります。担保の評価額が下がれば、融資の枠が小さくなるのは当たり前です。結果、左側の資産の部の一部を売却整理するなど圧縮することになり、企業活動は縮小します。複数の大規模な収入源をもつ大企業はこの状況でも持ち耐えることができるのですが、収入源の種類も規模も小さい大企業の取引先の中小企業はこのときに倒産することが多いのですね。大企業との取引を縮小・カットされると一気に経営が悪化するのがB2Bビジネスをやっている中小企業の特徴です。すると失業者が生まれる。失業した人は、消費者でもあるから、給与は入らなくなれば、生活を切り詰めるしかないから、消費も細る、こうして実態経済も不況になっていく。これが、金融恐慌が原因となる世界不況のパターンです。

そして、19世紀に近代国家が成立して以来、1929年に発生した第2次世界大戦の原因となった世界恐慌も含めて、我々は様々な世界大不況を経験してきていますが、大半はいずれもこの金融経済(血液)側の暴走によるものが原因です。つまり、人為的なものであったということ。この点をきちんと理解して起きましょう。これがコロナショックとの決定的な違いだからです。これは、根本的には、お金自体が無制限に発行されることが原因なのですが、大事なことは、原因は、人間の文明社会の設計そのものが原因による世界不況であったということ。この点について理解を深めたい人は「こちらの記事」に詳しくまとめています。

しかし、今回のコロナショックは全く異なります。その点をまだ多くの人が理解していない。

コロナショックは、実態経済そのものの不況である

コロナショックは、実体経済不況であって、今までの世界不況のように金融恐慌に端を発してないということ。よく経済関係のコロナショックに関する解説のところに繰り返し「金融経済はおかしくなっていない/健全である」という表現が出てきていますが、このことに関係しています。

アメリカ経済は、オバマ政権時代に、このリーマンショックの反省から、金融経済側が暴走しないように様々な規制を作りました。様々な金融商品を使ってハイリスク・ハイリターンを追求するヘッジファンドのビジネスがやりづらくなったことは業界ではよく知られていることですが、これが原因ですね。サブプライムローンなどはヘッジファンドの格好の投資対象でしたから。これは、オバマ政権前のブッシュ政権時代に、米財務長官に、元ゴールドマンサックスなどウォール街出身者ばかりを選び、彼らがウォール街の利益を追求するために行った施策が原因でした。

仮想通貨業界にも、日本も含めてこのウォール街系の連中が入り込んできて市場を荒し回ってますね。その点は詳しくは「こちらの記事」にまとめています。「こちらの記事」もその理解の助けになるでしょう。

実は、これはオバマ政権の政策の影響で、彼らに厳しい規制を課したことで商売がしずらくなったため、彼らが仮想通貨に生存機会(=金儲けの機会)を求めて流れてきているという背景があります。彼らはそんなことは微塵も口に出していいませんが、僕は、学生時代からポスト資本主義を研究し、かつこの業界の2014年の立ち上げから関わっているので、彼らの言動の裏が手に取るようにわかります。

いずれにしても、このオバマ政権時代の政策によって、金融市場はまだ健全さを保っていました。実体経済に無尽蔵に血液を送り込もうとする行為を未然に防ぐ施策を複数展開することで、アメリカ経済は、2008年のリーマンショック以来、10年以上もの好景気を維持していました。

しかし、そこに起きたのが、新型コロナウィルスによるパンデミックです。一言で言えば、コロナショックとは、実体経済、つまり肉体が「冬眠」状態になっている状況と言えます。動物の冬眠と同じように、強制的に人間の経済活動が抑えられている状態ですね。ヨーロッパでは、近代に入る雨の中世時代に横行した感染症「黒死病」(=ペスト)によって、ヨーロッパ人口の30-60%が死に、実質的にヨーロッパ経済が冬眠状態になる事態が起きましたが、それが今、まさに世界規模で起きているのがコロナショックです。これは地球と人類との関係性を考えるととても良いことなのですが、この点は詳しくは「こちらの記事」にまとめています。下記の絵は、その点を端的に表現している素晴らしい写真です。



なぜなら、実態経済自体が、ほとんど活動停止状態に追い込まれているわけですね。新型コロナウィルスの世界的拡大を抑えるためには、まず、過去30年以上グローバル経済を拡張させてきたことによる人の移動を抑えるため、国境封鎖を行う。口密度の高い都市経済は、集団感染リスクが高いからロックアウトし、全員リモートワークにする。

ですから、今までそのグローバル経済の恩恵を受けてきた航空産業、ホテル業、観光業は、軒並み莫大なダメージを受け、また各国ともあらゆる感染源を止めるため、工場の製造活動や国際物流網もかなりスローダウンしている。先ほどの経営理論でいうと、彼らの業態のPL自体から一気に悪化しているということ。

しかし、注意しなくてはならないのは、インターネットやブロックチェーン業界のような物理的な活動に経済をほとんど依存しない業界は、マイナス影響どころかむしろ利用が一気に拡大しているということ。面白いのが、出会い系サイトなどの利用が活発化している。物理的に会えないからですね。つまり、この「ライフスタイル変化」について、まだ投資家達はきちんと反応が進んでいないわけですね。このようなことは、リーマンショックや過去の金融危機では起きていません。全ての業界で景気は冷え込んだのです。その点は「こちらの記事」にまとめています。

ところが、我々の経済システムは「お金の量」で成長を図っているため、中央政府と中央銀行は、全体の景気が悪くなるということで、焦って血液からエネルギーを送り込み続けなければならないと必死になっている。

実態経済が冬眠状態なのに、血液を送り続ければどうなるか。大量の不要なお金が市場に溜まることになりますね。お金は血液のように捨てられることがないからです。この余ったお金はどうなるか。もちろん、実態経済で、倒産が起きないようにと政府から支給されるお金は、生活資金に回る、つまり、実態経済の中で消費されるので問題はありません。問題は、それ以上に資金が供給されている状態になっている場合です。米国FRBも実質ゼロ金利状態に入り、さらに日銀同様に、量的緩和を実行してきている。ここに最大の過ちがあると見ている。

本来は、実態経済の冬眠状態を緩和するように、実態経済に必要な分のエネルギーを流す、これは本来、中央政府が、今回のコロナショックで経済ダメージを受けている人々に対して経済救済活動などが適切な対処法と言えます。しかしながら、国会に法案を通すなどの手間がかかってしまうがため、結果的に、中央銀行の方が、今までの金融恐慌に対する対策と同じように、そのダメージを受けている人々などを対象にはせず、無差別に血液を大量に送りこむこと=無制限の量的緩和を先行させてしまっている。

ここがポイントです。つまり、法定通貨の経済は、自らの通貨価値を過剰に低下させる=インフレを起こさせる方に動いてしまった。当然ですが、その余ったお金は、この「ライフスタイルの変化」を敏感に感じ取っている投資家やユーザーによって、新たなライフスタイルを支えていくインフラやサービスに流れていくことになります。

となると、今後のシナリオは大きく二つ見えてきます。

 

  • 1.新型コロナのパンデミックが長期化しない結果、コロナショックも一定期間の不況を経て国家経済は復活し、リスクオン状態になることで、過剰に供給された資金の一部が仮想通貨市場に流れこむことで仮想通貨市場が過去以上の成長モードに入る
  • 2.新型コロナのパンデミックが長期化する結果、コロナショックも長期化し、国家経済のリスクオン状態は復活しない。しかし、リモートワークの普及がP2P型CDNの需要を増加させ、更にライブストリーミングによるイベント観戦などによる動画サイトの需要が増大し、やがて、それらの延長線上にあるブロックチェーンに基づくDAO型の新たな経済システムの可能性に対する認識が個人投資家で普及していくことで、仮想通貨に資金が流れてくる。

僕は、確率的には2の方が可能性が高いと見ています。新型コロナウィルスが長期化する可能性が高いと見ているからです。2については、「こちらの記事」が参考になると思います。一の場合でも恩恵を受けるのは、僕が他のブログで指摘しているように、ブロックチェーン型インターネットの実現に関わっているプロジェクトで、それ以外のプロジェクトには資金がほとんど流れて来ないと見ています。

いずれにしても、今後の仮想通貨市場は、業界関係者の努力次第というところが大です。自分のために生きるか、他人のために生きるかということですね。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

 

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