ポストドル時代の通貨システムについて想定される4つのシナリオとは何か?

さて、この点も気になっている人が、多いと思うので、僕の予測をまとめておきます。

こちらの内容はYoutubeにもまとめています。合わせて参考にしてください。

まず、現時点で、世界の様々な経済取引の約60%は、ドルで決済されています。日本円も1980年代は、ドルを凌ぐ基軸通貨になるというような議論もありましたが、失われた30年と今尚、沈下が続いているので、ほぼその可能性はなくなりました。ユーロが代替として検討される話がちらほら出てきています。中国は、経済規模の割に決済通貨として使われていることはほとんどなく、この原因は、保護貿易を行なっているからですね。以下のIMF
がまとめたグラフは参考になるでしょう。世界の中央銀行が保有する国際決済通貨の保有率の比較です。左から2009年、2015年、そして2019年です。青がドル、オレンジがユーロ、グレーが中国元。黄色が日本円。そして、青がイギリスポンドです。

https://www.coindesk.com/in-race-for-2030-currency-supremacy-the-dollar-is-its-own-worst-enemy

しかし、コロナショックの影響もあり、国家経済は、完全に崩壊の道を歩み始めています。となると、当然、世界経済にとって最重要のテーマの一つは「ポストドル」です。

パターン1 – ポストドル覇権を巡ってブロックチェーン化された法定通貨が競争

まず、最も可能性の低いシナリオから話をします。まず、これは起きないですね。なぜか? 全てドルと同じ国家経済の信用によって支えられている通貨システムだからですね。それが中国元、ユーロ、日本円だろうと全て共通です。コロナショックで、国家経済は、地域問わず、瀕死の状態に入っていますから、このシナリオが、まともな検討レベルまで育つことはまずないでしょう。

パターン2:地域通貨の価格をベースに参照価格を算出し、それを元にした通貨バスケット制にしたステーブルコインを運用

これは、MakerDAOのDAIとChainLinkの組み合わせで考えています。まず、これから主流になっていく自給自足型の地域経済が、地域内の経済取引を行うための地域通貨を持ちます。ある程度、国際間での経済取引も発生するでしょう。この場合、地域経済ごとに物価水準がバラバラですから、ある程度、標準的な決済通貨があると便利です。

しかし、その決済通貨の信用の裏付けが、今までの法定通貨のように軍事力と経済力が裏付けになってしまっては、人類は過去の過ちから何も学んでいないことになります。なので、資産価値を全く持たない各地域通貨を参照価格にした「通貨バスケット制」に基づくステーブルコインを作り、それを国際決済通貨として利用するというアイデアです。

これに近い動きを取ったのは、フェイスブックが仕掛けたリブラですが、運営モデルが非中央集権的ではないこともあり、市場から敬遠されています。戦略が甘かったですね。リブラについては、「こちらの記事」に詳しくまとめています。

最も可能性が高いのは、MakerDAOのDAIです。現時点では、ドルに対するソフトペッグ型のステーブルコインとして運用されています。ですから、ドルの代わりに、「通貨バスケット制」を採用すれば、DAIが、新たな国際決済通貨になる可能性があります。MakerDAOは、組織運営の非中央集権制にもきちんと力を入れているので、支持を得られる可能性は高いでしょう。

もう一つこのパターンで理解しなければならないのは、バスケット制の対象となる地域通貨の参照価格をどう決めるか?という課題です。DEXが普及しているので、実際のところ、地域通貨間でも価格はバラバラになるでしょう。中央銀行が目指してきた「一物一価」というのは、ブロックチェーンによって現実化する自律分散型の経済システムにおいては、ほとんど実現することはないです。SSRを経済指標とする自給自足型の経済システムが新しい経済システムのベクトルなので、生活者は別に「一物一価」ではなくても何も困りません。

この参照価格を決める上で、貢献できるプレイヤーは、ChainLinkになるとみています。いわゆる「Decentralzied Oracle」ですね。いくつかのユースケースを追いかけていますが、ほぼ、特定のトークンの「参照価格」を決めるユースケースが最適なソフトウェアであることが見えてきていると思います。

MakerDAOのDAIが通貨バスケット制を採用し、かつその採用されている全地域通貨の参照価格をChainLinkが提供することで、ある一つの「ポストドル」時代の通貨システムの可能性が見えてきます。

その上で、理想論を展開すると、DAIは、MakerDAOのガバナンスが発行量の上限を決定し、安定手数料とDSRで金利がコントールされていますが、このDSRを排除することですね。すると、安定手数料のみでかつ支払いを受けた安定手数料を常にソフトウェア側で焼却する仕様にすると、DAIは、地球環境にとって最も相性のよい自然減化型ステーブルコインになるからです。ビットコインは、このような柔軟設計にはなっていないので、DAIほどの役割を期待することはできません。

この点は、非常に重要です。今後、コロナショックの影響で、僕がOrbのホワイトペーパーにもまとめているように「自給自足型経済」がいよいよ本格的に立ち上がりを見せていくわけですが、その流れの中における、国際決済通貨の役割を深く理解する必要があります。ゴールドやドルやビットコインがこれにふさわしくないのは、一極集中を生み出すからですね。「これさえ持っておけば安心」は自然のメカニズムがもつ作用と照らし合わせた場合、全く健全ではない。とうにビットコインのように供給制限がかかっていると、資産価値を持ってしまうため国際決済通貨としての役割にネガティブな影響が出ます。買い占めようとする連中が出てくる。だから、分散的な方が望ましい。DSRの機能を持たないDAIは、MarkerDAOに担保を預けることで手に入る自然減価型のステーブルコインになります。毎月支払う安定化手数料をMakerDAO側が消却することで、自然減価の機能性を獲得します。つまり、資産価値がゼロになるわけです。使わないとどんどん損をするようにできているからですね。ゲゼルマネーです。つまり、担保対象が多様化すれば、その分、DAIのステーブルコインとしての利便性はより安定化していきます。MakerDAOは、すでにその布石となる「マルチコラテラルDAI」の機能をリリース済みです。

特に、自給自足型経済の初期段階で、DAIの利用が最も進むのは、分散型コマースになるとみています。コミュニティ経済単位でのシェアリングエコノミーですね。なんでもそうなのですが、オフラインよりオンラインの方が拡散性が高いからです。この辺りは、Origin Protocolが抑えにかかっています。

MakerDAOのトークンMKRの投資評価については「こちらの記事」にまとめています。

ChainLinkのトークンLINKの投資評価については「こちらの記事」にまとめています。

Origin ProtocolのトークンOGNの投資評価については「こちらの記事」にまとめています。

DAIがゲゼルマネー化すれば、世界の金融インフラが一気に、地球の自然経済システムに即したものに生まれ変わるので、Orbのホワイトペーパーにまとめた人類の「4大問題 – 人口爆発、環境破壊、経済格差、戦争」は一気に解決が進みます。

そして、このゲゼルマネー化したDAIを活用した「ベーシックインカム制度」を導入すれば、人類の文明社会は、劇的な進化を実現することができると考えています。その点については、「こちらの記事」を参考にしてください。

パターン3: ステーブルコインなし

最後のパターンです。これもあり得ます。国際決済通貨を放棄するというパターンです。僕が提唱するSSRの自給自足型経済とDEXが普及していくことで、かく経済ユニット間で、地域通貨が使われて行くとみていますが、国際間の決済通貨はあえて作らず、国際取引もDEXの思想通り、各々の経済的条件に任せるという発想です。

世界的なインフラになる非中央集権型インターネットを支えるブロックチェーンプロジェクトのトークンが、各地域通貨間の需給関係によって、取引されるモデルです。対象となる仮想通貨は、世界をまたくインフラである非中集権型インターネットを支えることになるBATやDENT、NKN、OGNなどが有力でしょう。

ただ、この場合も参照価格が必要になってくるとは思います。なぜか?取引で揉めないためです。その点は、「こちらの記事」を読めばわかります。物価に対する参照価格があるだけで、経済取引はかなりスムーズになります。その点から、このパターンでも、ChainLinkは必要になってきます。

BraveBrowserのトークンBATの投資評価については「こちらの記事」にまとめています。

DENT ExchangeのトークンDENTの投資評価については「こちらの記事」にまとめています。

NKNのトークンNKNの投資評価については「こちらの記事」にまとめています。

以上になります。

最後に、改めてですが、ビットコインは、国際決済通貨になるか?というと、答えは「絶対にならない」です。なぜか?供給制限型だからです。ビットコインを国際決済通貨にしてしまうと、いわゆるビットコインマキシマリストがそうであるように溜め込む輩が絶えない、つまり、資産価値を追い求めてしまうことで、物価が安定しません。つまり、本来の目的である国際決済通貨としての機能が働かなくなります。ビットコインは、仮想通貨・ブロックチェーン市場を育てるためのドル信用不安に資金が流れてくるようにするための「デジタルゴールド」としての存在が最も最適なのです。詳しく理解したい人は、僕がまとめた「こちらのポートフォリオ戦略」について読んでみてください。理想は、DAIがそうであるように、自然減価型など、今後の人類のSSR型の経済システムに即した柔軟な設計モデルが構築できる方が理想的ということです。

この辺りは、今後、コロナ危機によってポスト資本主義が加速化していくことで具現化して行くと思います。この流れを的確に捉えた人は、素晴らしいリターンを得ることになるでしょう。僕のその点の未来予測については、「こちらの記事」にまとめています。

現時点では、パターン2とパターン3はどちらもありえると見ていますが、人類の4大問題を一気に短期間で解決することを目指すなら、パターン2の方が望ましいです。人類の4大問題に関心のある方は、僕のまとめた「Orbのホワイトペーパー」を参考にしてください。

ポストドルの通貨システムの普及にかかる時間は最大25年程度か?

最後に、参考までにいうと、ドルが世界の基軸通貨としての地位をそれまでのイギリスのポンドからリプレイスにかかった時間は約25年です。これは20世紀初頭におきました。

その点を踏まえると、まず25年は最大でもかかるということです。なぜ、最大と考えているか?というと、インターネットの普及によって、世界への情報伝達速度が加速することで社会の変化スピードが早くなっているからですね。その点は「こちらの記事」にまとめています。なので、ポストドル社会の具現化も早くなるでしょう。僕は最低でも1/2程度になるとみています。つまり、12年程度です。「ドルの信用不安」が発生してから12年程度と見ています。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

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