コロナ危機がもたらす社会変革と新たな投資哲学について#2

From WWF – https://www.wwf.or.jp/aboutwwf/earth/

こちらの内容は、YouTubeにもまとめています。合わせて参考にしてください。

コロナショックから見えてくるポスト資本主義の社会システム像

コロナショックは、正に、現代資本主義に突然落ちてきた隕石のようなものです。たった一つの隕石で、グローバル経済を支える中核的存在の都市経済がロックダウンとなり、機能が停止してしまった。

しかし、都市経済が機能停止することで、人類は、新たな社会変革のチャンスを掴むことができた。その変化を予測して動くことが、ポスト資本主義時代の投資哲学の骨子になります。

小国>巨大国家

まずここですね。図体がでかい巨大国家は、コロナショックによって機能麻痺に陥っています。恐竜と同じです。抱える人口が大きすぎるが故、緊急事態に対して末端レベルまでの意思伝達が難しいからです。一方、小国は高い機動力を発揮しています。外出禁止令などはよい例で、インドが国土全体の13億人口のロックダウンを実施しましたが、凄まじい社会混乱を生み出しました。特に、貧困層が、完全に生活が回らなくなり飢餓の状態が発生しています。

一方で、日本政府の指示に従わず、独自の対策を取ることで短期間で封じ込めに成功した「和歌山モデル」はその典型例です。

米紙が新型コロナ対策で”和歌山モデル”を絶賛「日本政府の指針に従わなかった勝利」@Yahoo!ニュース

これからは、小国が有利な時代がやってくると見ています。僕が以前から言っているコミュニティ社会ともつながってくる話です。人口規模も小さく、その分、巨大なヒエラルキーが存在しないので意思決定も早く機動力が高い。これが武器になるということです。グローバリズムの時代においては、彼らは人口が少ないため対した発言力のない極めてニッチな存在でしたが、ポスト資本主義時代には、むしろ大きく活躍すると見ています。彼らこそが「哺乳類」ということです。既得権益も含めて複雑なステイクホルダーをもつ巨大国家は、何かと物事を進めるのに時間がかかるため、このコロナショックが引き起こす経済システムの急激な変化にスピーディに適応することができず、衰退していくということですね。

すでにその萌芽が見えてきており、典型的な例が、台湾ですね。国のトップも社会的マイノリティの女性ですし、今回注目を集めたIT大臣は、トランスジェンダーで、二人とも素晴らしい実績を今回のコロナショックへの対応で出しています。

コロナ危機で活躍、国民の憧れとなった注目の台湾「天才」IT担当大臣はどんな人か

ローカリズム+地域経済 > 都市経済+グローバリズム

都市経済は、先ほどの恐竜とのアナロジーでいうと、「全く資源生産力を持たない経済」であるということ。都市での生活は莫大なエネルギーを消費します。それは、まるでかつての恐竜のようです。しかし、消費するばかりで全く資源生産力は持たない。農業機能もないし、工業機能もない。そのかわりに、高層ビルと大規模な交通インフラを維持するために、莫大なエネルギーを使います。都市経済がいかに資源浪費経済であるからの裏付けは「こちらのブログ」にまとめているので参考にしてください。

一方、これからの時代、小国が有利になるということは、地域経済が有利になるということです。日中人口3,000万人をもつメトロポリタンシティ東京に代表されるように巨大な都市経済を持たない地域経済は、集団感染リスクが低いまま、つまり、はなから経済活動が分散的に行われており、都市のように一極集中が起きていないので、経済活動は今まで通りでも全く問題が起きず、支障がほとんど出ないわけですね。膨大な感染者も発生しないので医療崩壊も発生しない。地域経済の方が、コロナショックにおける生存率が高いわけです。

つまり、経済システムが、それまでの都市経済を中心として「一極集中型」から僕がOrb時代からなんども伝えている「自律分散型」へとシフトしていくことになります。

そうなってくると、この「小国」・「地域経済」・「ローカリズム」・「自律分散型」がポスト資本主義システムの新たなキーワードとして主流になっていくことが見えてきます。次に、これら4つのキーワードから見えてくる、新しいライフスタイルやその核となる経済活動の変化についてみていきましょう。

リモートワーク > オフィスワーク

まず、コロナショックによって都市経済が崩壊するということは、人口過密な都市社会に立ち並ぶ高層ビルにあるオフィスに仕事をしにいくという時代が終わりを告げるということです。これは東京のような超大規模な都市社会に限らず、いわゆる「都市」と言われる世界が消えていきます。分かりやすい話として、下のNASAの衛星写真は参考になると思います。

Photo by NASA on Unsplash

これは、アメリカの夜の時間帯の写真ですね。明かりが集中している地域がいわゆる「都市」です。これがもっとも分散化する時代がやってくるということです。大都市ほどパンデミックに脆いため、この現象が進みます。

すると、当然ですが、昔ながらのオフィスワークスタイルを維持するのは困難です。通勤時間が今までの何倍もかかるからですね。当然ですよね。都市圏内や都市近郊に住むこと事態が、集団感染(クラスター)の原因になるから、分散的に住まないといけない。するとその分、通勤時間が伸びる。となれば、「リモートワーク」を普及させていくしかありません。

場所を問わずに、仕事をしていくスタイルが今後ますます進展していくでしょうし、そこに様々なイノベーションが生まれていくでしょう。

バーチャルイベント > 会場イベント

もう一つ、コロナショックによって起きるのが、「何かの目的で集会を開くこと自体がなくなっていく」ですね。理由はシンプルに、集団感染リスクが上がるためですが、この対象は色々とあります。コンサートやファッションショーなどのライブイベント、様々なスポーツの試合、マーケティング目的の展覧会やコンテストなども該当します。これらは、今後、全てバーチャルイベント化していくでしょう。

と同時に、これは、参加の平等性を与えることになるので素晴らしいことです。コンサートやスポーツ観戦をしたことがある人であれば皆知っていると思いますが、チケット代金にはランクがあるからです。演者に近いほど高い。高いチケット代を払った人ほど何かしらの優遇が色々と受けられる。バーチャルイベントが普及すると、これらの要素はかなり衰退します。多少、バーチャルイベントならではの優遇モデルを仕掛けてくるイベントプロモーターも出てくると思いますが、会場イベントに比べると高い金をだすユーザーに優遇するアイデアがほとんど出てこないと見ているので、大した問題にはならないと見ています。

SSR >  GDP

拡張経済が終わるということは、その成長指標である「GDP」=国内総生産も終わる、ということです。GDPが、拡張経済を加速させてきたから当然です。GDPは、資本の量が大きいほど成長したと皆します。簡単に言って仕舞えばお金の量です。だから、日本のGDPが500兆円とかいうわけです。これが終わります。しかし、代わりに新しい経済成長指標が必要です。それが、僕が提唱している「SSR」=自給自足率ですね。コロナショックと非常に相性がよい経済指標です。僕は、コロナショック発生前は、5-10年ぐらいかけて普及していくとみていましたが、新型コロナウィルスがパンデミック化したことで、一気に普及が加速していくと見ています。これによって、以前から話をしているように国連のSDGsの達成スピードも急速に早まることでしょう。SSRはお金の量では成長は測りません。SSRについて理解したい人は「こちらの記事」に詳しくまとめています。

非営利主義 > 営利主義

GDPが資本の量で成長を測っているのは、企業で言えばバランスシート上の左側の資産や右側の純資産を増やしていくためでしたが、SSRに切り替わることによって、この企業活動行為は完全に無価値化して行きます。当然ですね。GDPにおいては、その国に本社をおく企業が、利益を上げ続ける、増やし続けることで、バランスシート上の資産や純資産が増えるため、結果的にそれらの企業活動の合計値であるGDPが増加するという仕組みになっているからです。いわゆる「右肩上がりの成長」を未来永劫、強制されているのです。

つまり、SSRの世界においては、非営利主義が威力をもつことになります。実は、これは企業活動にとっては非常に有利なことです。なぜか?利益を追求しなくてよくなるので、ずっと経営が楽です。笑

経営者であれば自ずとわかると思います。仮想通貨やブロックチェーンプロジェクトで有力なプロジェクトは、ビットコインやイーサリウムをはじめ全て非営利主義です。この二つともいわゆる「ソフトウェア」事業ですが、マイクロソフトやアップル、グーグルのようにソフトウェア事業自体から利益をあげることは行っていませんし、今後も行う予定はありません。この流れが、他の産業にも普及していくことになるでしょう。

DAO > 議会制民主主義+株式会社

リモートワークと非営利主義が普及していくことは、国家や企業運営に対して、非常に大きな変革の波をもたらします。国家は、国が経済的に豊かになることをお互いの利害一致の底辺におき、その目的を叶えてくれる人を選挙で選び、国会に送り、そして、そこで政策を決めて運営しています。企業もこれは似たようなもので、ある事業に対して、経済的な成功の可能性があると考えている人々が出資し、事業を立ち上げ普及させ、そこから得た利益を配当などの形で分配するという形で運営されていました。これらが崩れるということですね。

なぜなら、僕らは、すでにリモートワークと非営利主義で、社会を支える大きなインフラなどを維持するための運営ノウハウを確立しつつあるからです。その最大の成功例は、このブログにはよく出てくる世界最大のオンライン百科事典の「ウィキペディア」です。僕は、定期的に必ず寄付しています。

ウィキペディアは、非営利団体NPOとして運営されており、正社員は100名以下で、彼らもまたリモートワークです。しかし、世界第5位のトラフィックを誇る巨大サイトですから、膨大な量のコンテンツが日々アップされ編集されています。この品質管理を行う作業は、実は正社員の100名は一切行っていません。全て、世界各地にいる20,000人超のボランティアコミュニティが運営しています。

これがポスト資本主義時代のインフラ運営のモデルです。ただし、完全ボランティアでは生活が成り立たなくなる人も出てきてしまいます。そこに報酬も加えたモデルで、かつ悪意的な行為を完全に除外した方法論がブロックチェーン業界では当たり前に言われている「DAO」です。直接民主主義と株式会社の概念を組み合わせような非中央集権型の組織運営モデルです。ポスト資本主義における社会インフラの維持方法として、主流になっていくことでしょう。

DAOについて、「こちらの記事」と「こちらの記事」に詳しくまとめています。参考にしてください。

自然減価型経済 > インフレ型経済

GDPからSSRに経済指標が切り替わっていくということは、それに応じて、お金の仕組みも変わっていくことになります。拡張経済が終わり、自給自足型経済が主流になるということは、お金が今までのようにインフレする設計になっていると、物価が急激に上がることになります。当然ですね。特定のせまい経済圏内で、全ての物を賄おうとしている中で、お金の量が増え続ければ、そこで売買されるものの単価が急激に上がるのは当然です。なので、SSRの世界では、インフレする通貨は使い物になりません。

最適な物は、自然減価型の通貨です。これは100年前に、すでにシルビオ・ゲゼルというドイツの起業家兼経済学者が発明した通貨で、世界恐慌時に成果をあげています。今でも、世界の一部の地域では運用されています。参考例として、ドイツのキームガウアーで運用されている自然減価型の地域通貨の効果が以下の図です。僕がまとめたOrbのホワイトペーパーからの抜粋です。

自然減価型になるため、インフレが起きない。それでありながら、お金の回転率がインフレ通貨に比べて高いため、自給自足経済の維持・発展する上で重要な役割を果たします。

詳しくは「Orbのホワイトペーパー」にまとめています。ブログであれば、「こちらの記事」も参考になると思います。

ただし、いきなりここに到達することはないと見ています。まだこれらを運用するためのブロックチェーンのインフラが十分育ってきていないからです。過渡期として、「供給制限型の通貨」が威力を発揮すると見ています。死に体の国家経済と中央銀行が、コロナショックから経済を復活させるため、膨大なお金を発行するからであり、それによるインフレ回避策としてのビットコインのような「供給制限型の資産」に資本が流れる必要があるからです。この辺りは、「こちらの記事」にまとめています。

ビットコインを経由して、これからSSR時代に必要なインフラの役割を果たす様々なブロックチェーンプロジェクトが育つことで、ようやく、本格的なポスト資本主義社会の成長期に入っていくことになると見ています。

そして、以上のことが、ここで書いたように達成されていくと、以前からこのブログではよく伝えていますが、今までの現代資本主義が招いた「地球の資源再生力以上のエネルギーを消費してしまう」世界は終わりを告げ、人類の文明社会は、地球の資源再生能力により適合したものへと生まれ変わっていきます。

このデータとして最も参考になるのは、このブログによく登場するWWFがまとめている「エコロジカルフートプリント」でしょう。

WWF – Ecological Foot Print

現代資本主義がそのまま続けば、人類の地球資源の利用水準は上のグラフでいうところ、赤のラインになります。地球が1つでは足りなくなってくるのですね。2050年には、2.5個分が必要になると言われており、2030年ごろから急激に地球環境の悪化が進み、一部の都市では人が住めなくなるほどになると言われています。

それが、今回のコロナショックによって、グローバリズムが衰退したことで、オレンジのラインの流れが生み出されたということです。

では、これらのことを踏まえて、最後に、どのような投資哲学が、これから重要になってくるかについて話をしたいと思います。

つづく。

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