マスター・オブ・スケール – Netflixの創業者兼CEOリード・ヘイスティングスのインタビュー#3

 

ホフマン:ここで、ちょっと考えてみて欲しい。リードは、プログラマーであり、経験豊富な経営者であった。そして、彼は、当時、経営していたPure Softwareで、18ヶ月の間に3つの会社を買収した。やがれ、会社のカルチャーは廃れていった。

ヘイスティングス:毎晩コードを書き、そして、日中はCEOであることに務め、家に帰ったらシャワーを浴びて寝る。これは、正直、多くの人をリードする上では、あまりいいワーキングスタイルじゃないことがわかった。

当時は、たくさん営業の電話をかけて、出張して、コードを書いて、採用面接をすることで、全てが回っていると考えていた。会社を立ち上げてから、6年後の1997年に、僕らの会社が当時最大の競合に買収されるまでは、自分がそのライフスタイルから逃れることなど考えられなかった。

ホフマン:そう、リードは、1社目で、とても典型的なミスをした。彼は、経営する会社の問題は、ただひたすら一生懸命働くことで解決できると考えていた。ハードワークは、十分どころか、そもそもたくさん仕事をしても本当の回答は得られない。

君がスケールさせる上で重要なことは、組織内の全ての人をテコの原理のように活用することだ。そのためには、君は、そのためのカルチャーを精密に設計しなければならない。それが、リードが経営していたPure Softwareから学んだことだ。

ヘイスティングス:つまり、PureSoftwareで犯したミスとは、彼が、営業の電話で断られるたび、そして、プログラムでバグがでるために、この間違いを二度と犯さないためには、どう自分たちは会社を改良すればいいか?ということだった。

これが実は間違いなんだ。組織の中における平均的な人は、市場環境が変わると適応できなくなる。なぜ、そうなるかというと、彼が、原理に立ち返って考えるよりも、プロセスの方を重視するからだ。

ホフマン:このリードの更なるインサイトに注目して欲しい。Pure Softwareは、誤った社員を雇ってしまい、さらにいうならば、誤った人材を雇う経営判断をしてしまったことで、時代の変化に適応することができなかった。

このインサイトが、リードにNetflixを作る決心をさせた。実は、このエピソードをリリースした直後に、Uberの創業者であったトラビスが、議論紛糾する中CEOとして会社を追われる身となった。これも気に留めておくべきだろう。

リードのPure Softwareでの経験は、いかにカルチャーが会社をダメにしていくかを学ぶ上で比較的に穏やかな事例だった。一方で、Uberはかなりキツイ事例。会社が大きくなってからその組織の振る舞いを変えるのは非常に難しいという例の一つである。

僕らの番組プロデューサーであるDanは、Adam Grantに一体Uberで何が起こったのかについて、話を聞いた。他の創業者が学ぶためにもだ。Adamは、ウォートンスクールの教授で、Give and Takeの著者であり、友人でもある。Uberで起きたカルチャーの崩壊は、創業者が自分の役割を会社の中で定義する上で、とてもよいケースと言える。

ADAM GRANT: 僕は、よく人々の関係を与える人ともらう人の中で捉える。そして、シリコンバレーでは、君が破壊的なイノベーションを起こす起業家としてCEOとしてありたいのであれば、もらう側でなくてはならないということだ。

Uberを例にとるならば、君は、全てのルールを破壊し、タクシー会社と戦わなくてはならない。州や国ごとに違う様々な規制と戦わなくてはならない。

データは何の役にも立たない。これは大きなミステリーの一つだ。もし、破壊的なイノベーションをリードしたいのであれば、君が求めるべきは、反対しつつも与えてくれる人だ。つまり、その人々は、論争を楽しむことができ、既得権益に挑戦することを好み、同時に、組織全体が意義ある目標を達成するために、他の人々に対して献身的に応えられる必要がある。

ホフマン:Adamがここで指摘したことには、先ほどリードのケースで伝えたこととたくさんの共通点がある。偉大な企業とは、君が雇う人々によって、また、君が彼らを留めておくためのカルチャーによって、作り上げられていくものだからだ。Danは、Adamにさらに踏み込んだ質問をした。

GRANT:創業者が、カルチャーを作る場合に、まず自分に問うべきは、”正しい人が乗ってくることはいつでもウェルカムだけど、実際には、相応しくない人をバスに乗せないことの方がもっと重要だ”ということ。これに関しては、Mark Chussilが素晴らしい本を書いている。要点は、創業者、どのような人物を組織の中に入れたくないか?について考えなくてはならないということ。

DAN: このポッドキャストは、たくさんの若い起業家たちが聞いているんだ。この点について、どう考えるべきか?伝えてあげて欲しい。

GRANT: 答えるなら、「昨日」だね。つまり、考え始めることに早すぎるということは全くない。人々の振る舞いを変化させることより、誰を迎え入れるべきかのカルチャーを作り上げることの方がよっぽど簡単だ。

ホフマン:僕らは、カルチャーが会社の命運に与えるケースを二つ見た。一つは、Pure Softwareでこれは割と穏やかなもの。そして、もう一つは、Uberのケースでこれはかなりキツイ。いずれのケースもカルチャーに起因する。君が、自分の会社が、そのようなスキャンダルによって組織をダメにしたくないのであれば、そのような湿地帯にはまらないための対策をすぐに始めなければならない。リードは、Pure Softwareの教訓から、次のプロジェクトは慎重に進めようと決めた。

Pure Softwareは、750億円で売却された。ここでえた軍資金を元にリードは、Netflixを1997年に立ち上げる。当時のサービスは、DVDのメール便サービスだ。そして、このサービスを成功に導いた一つは、「延滞料なし」であるということを忘れてはならない。追加の配送料もゼロ。DVDを無くした場合は?何も問われない。Netflixにとっての最大の競合は、Blockbusterで、すぐにこのサービスをコピーしてきたけど、Netflixのそのスピードには追いついて来れなかった。

Blockbusterは、2010年に倒産した。かつて9,000あった店舗網は、今日は10店舗まで減って、そのうち8店舗は、インターネット接続がよくないアラスカ州の片田舎で細々と経営している。Netflixの完全勝利だ。

しかし、Netflixが、100倍近いレベルまで会社を成長させることができた背景には、とても深い理由があるんだ。それは、競争の物語じゃない。むしろ、協力の物語と言える。全ては、NetflixのHQに、素晴らしいカルチャーを根付かせるための協力だ。そのカルチャーは、まさに、Pure Softwareのそれとは真逆のものだった。

ヘイスティング:Pure Softwareでは時代の変化に適応することができなかった。それは、原理原則で考える人よりプロセスを重視する人々を雇ってしまっていたからだ。

つづく。

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