マスター・オブ・スケール –起業家・著者ティム・フェリスのインタビュー#2

 

トリスタン・ウォーカー:スライド14だね。僕が、Practrivというニキビの話、僕らのビジネスのアナロジーとして最適な例の一つなんだけど、これを説明してたときだ。Neutrogena とProActivの違いは、まさにGillette と Bevelの違いそのものなんだ。この話をしたときに、あるVCが言ってきた。明確に覚えている。”トリスタン、僕には、このニキビの問題が、髭剃りにおける問題と同じレベルには聞こえないよ”と。

 

それで、僕は、こう彼に答えた。”あなたの話は、まあ、分からなくはないのですが、まず、あなたがすべきは、10人のアフリカ系アメリカ人に電話することですね。すると、そのうち8人は間違いなく、「まさに、私が毎日苦労している話です」と答えてくるでしょう。それから、あなたは、10人の白人に電話して、そのうち四人は、同じように答えてくるでしょう。同じことを女性にもやってみるとよいでしょう。結果は、男性の場合とほぼ同じになるでしょう。”と。つまり、これは、悪いアイデアじゃない。彼にとって重要な話ではないだけなんだ。彼は、僕らが取り組んでいることに関するその文脈の必要性を理解する意思がないだけなんだ。それって、単なる「怠慢」だよね。でも、僕にはそれは修正できない。だから、僕は単純に、その文脈を理解できる人に出会うまで探し続けるだけだ。

 

ホフマン:ここで、トリスタンが、いかに次の投資家に気持ちを切り替えているか注目して欲しい。彼は、投資家からの質問の質が低下した瞬間、もう会話は終わり、それ以降は単なるノイズであることを知っている。それらの、中途半端な質問は、エレベーターピッチプロセスにおける、エレベーターの中で流れる音楽のようなものだ。だから、彼らにとっても時間の無駄だ。だから、トリスタンは、柔らかく”かもね”と答えてくる投資家より、明確な”No”を好む。

 

ウォーカー:シリコンバレーの投資はいつもこういうよね。”僕らは、素晴らしい家系の出身で、ものすごく重要なホワイトスペースで、かつとてつもなく大きな機会に挑んでいる起業家に投資したい”と。僕らにとっては、そんな感じで、99%の確率でNoをもらうんだけど、結局、上で話をしたような真実を話さないんだよね。僕は、シリコンバレーはもっとその真実を話すべきだと思うな。

 

ホフマン:トリスタンは、ここでとても興味深い質問を喚起している。実際、投資家の頭の中で何が起きているか?

 

Greylockのパートナーとして、起業家がピッチ後に、その会議室で、何が会話されているかについて話をしよう。

 

僕が、Greylockのパートナーたちに、僕のアイデアをプレゼンしたとき、みんな”いいね!やるべきだよ”という感じだった。そして、僕は、”ここにこんなに超頭のいい人々がいるのに、誰も、「ここに気をつけろよ」とか言わないのかよ。” 簡単すぎるな。アイデアが良すぎると、至るところに競合が出てくる。一方で、君は、会議室の中の全員がこういうことは望んでいない。”レイド、君の頭はおかしいよ。”と。スリと君は”あれ、クール・エイドを悪飲みしすぎたかな?”と考えてしまう。

 

君が望んでいるのは、一部の人が”狂っている”と言ってくる一方で、別の一部が”なるほど分かるよ”ということだ。

 

僕が、Airbnbへの投資を決めたとき、David Sze(Greylockのパートナー)は、こう僕に言った。

ホフマン:”全てのベンチャーキャピタリストは、自分が経験したことがない領域のディールに投資する経験が必要だ。Airbnbは君のものだ”と。David Szは、本当に優秀なVCで、Linkedinに投資し、Facebookに投資し、Pandoraに投資した実績がある。彼個人、Greylocknパートナーとして、2,500億円を稼いだ実績がある。僕は、彼こそ、スマートマネーと呼ぶにふさわしいVCだと思う。僕は、彼の反対意見にはとても注意を払う。もし、Davidほどの賢い人が僕の考えに反対をしてきたら、僕は不安になるね。

 

しかし、僕は同時にとても興奮している。それは、なんか感情のローラーコースターみたいな感じだ。だから、こんな議論が裏で繰り広げられているからこそ、実は、起業家にその場でハッキリと”No”というのは本当に難しいんだ。理想は、YesとNoのトーンを同じで言えることなんだけどね。

 

フェリス:だから君は、”モジモジしたNo”を聞きたいんだよね。”モジモジしたNo”は、君は、何か重要なものに取り組んでいる可能性を示唆している。しかし、正直になった方がいい:”No”と言われるのは決して楽じゃない。苦痛で厄介なものだ。だから、レイドは、何人かの起業家に、どうやってそのNoに対処しているか、そのNoからどう学んでいるかについて尋ねた。

ホフマン:だから、君は、その一連のNoから自分自身を守らなくてはならないんだ。いくつかの起業家は、単純に、顔面の皮膚を分厚くする。あとは、仕事の一部だと考える。朝起きて、歯を磨いて、君の夢をぶち壊す人の話を聞いてみたいな。人生の一部にするような具合で。

しかし、別のもっと理想的なアプローチがある。僕らのプロデューサーのDanは、何人かの、見た目は馬鹿げたアイデアに取り組んでいる起業家の何人かにインタビューした。例えばGlobal Citizen YearのAbby Falikは、彼女のNPOは、高校生から大学生の若者を1年間、国際協力機関のプロジェクトに送りこんでいる。2008年、彼女は資金調達に苦労していた。そして、彼女が世話になっていたリーダーシップコーチにアドバイスを求めた。僕らは、そのアドバイスの内容について教えてもらうことにした。

ABBY FALIK:Noは、実は、ギフトだって。

ホフマン:彼女は、本当に、ギフトだって聞いたんだ。

FALIK: このアドバイスをもらってから、次の2週間後に彼に会うまでに、世界中のNoを集めてきてと言われたのよ。今、振り返って見れば、今までもらったアドバイスの中で、もっとも貴重なアドバイスだったと思う。

ホフマン:最も成功する起業家は、そのNoの内容に注意を傾ける。Noの中から、ヒントを見つけ出すのだ。148回、投資家に断られたKathryn Minshewに、その断った理由を教えてもらうことにした。

MINSHEW: “まだ、投資を検討するには早いね” “月間アクティブユーザーが10万人に達したら、電話をくれ。” “馬鹿げているよ。高すぎる。スケールしないと思う” “それは、プラットフォームビジネスになるとは思えない” ”彼らが、30歳になって、子供を持ったら、ユーザーを全て失うとは考えないの?” ”ニューヨークやサンフランシスコなどの海外都市には、君のプロダクトを使ってくれるユーザーがいると思うけど、それ以外ではアメリカにユーザーはいないと思うよ”。この人たちのことを考えながら、こう思ったわ:”一体、彼らは女性の何をわかっているというの”ってね。

ホフマン:Kathrynには、この質問をする権利がある。彼女は、多くの投資家の誰よりも、女性のことをよくわかっているし、彼女のビジネスのこともよくわかっている。起業家は、その厳しいピッチプロセスの中で、投資家が何を理解しているのかについて知る努力をしなければならない。

つづく。

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