マスター・オブ・スケール –起業家・著者ティム・フェリスのインタビュー#4

 

フェリス:十戒その3: スケールさせるためには、スケールしないことをしなくてはならない。この十戒は、マスターオブスケール第1回目のブライアン・チェスキーのエピソードから。実は、この話を聞いて、僕も一気にこのポッドキャストに興味を持った。なぜなら、そこに本当に実際の説得力のある実行可能な例があったからだ。とても逆説的な話だ。スケールさせるためには、汚い手作業を初期の頃にやらなくてはならない。ハンドクラフトな体験を提供できるのは、初期の少数のお客さんだけ。

 

プロダクトやサービスの細部に至る領域をすべて最適化できるのは、そのときだけ。当然、一人一人のお客さんにサービスを提供するとなると自然と、コンシェルジュアプローチになる。しかし、それが実は、プロトタイプするには完璧なモデルケースになる。そこで、君は、どの点に更に燃料を注ぎ込んでスケールさせる火を発見することができる。しかし、繰り返すが、その前に、君は、全ての問題をその場で検証しておく必要がある。だから、君が顧客が求めているものを正確に理解できるまでは、その作業は止めないことだ。それをAirbnbのCEOであるブライアンチェスキーはやっていた。

 

ブライアンは、レイドを、彼がまさにAirbnbのホスト一人一人に会うために、訪問活動をしていたころの世界に引き込んだ。それは、Yコンビネーターの創業パートナーであるポール・グラハムとの2009年の会話から始まる。

 

チェスキー:彼は、僕にこう訪ねてきた。”君のビジネスはどこにあるの?”と。僕は”どういう意味ですか?”。すると、”つまり、君の実績はどこで上がっているの?”。そして、 “僕らはそんな実績はないですよ”。すると、”でも、誰かは使っているんでしょ。”とだから、”New Yorkで数人が使ってくれています”と。それから、彼が言ったことは今でも忘れない。”つまり、君のユーザーは、NewYorkにいるのに、君はまだマウンテンビューにいるんだ”。だから、僕は”そうですが”と。すると彼は、”なんでまだここにいるの?”と。だから、僕はこう答えた。”どういう意味ですか?”と。彼は、”ユーザーのところに行きなさい。彼らを知ろうとしなさい。一人一人のユーザーに会いなさい。”、しかし僕はこう切り返した。”でも、それはスケールしないですよ”と。”もし、僕らが何百万もの顧客を持っていたら、全ての顧客の会うなんて無理です”と。すると、彼は”それが、今まさに君がすべきことだよ。ユーザーが少ない今のタイミングだからこそ、君はそれらの全てのユーザーに会うことができて、彼らのために、直接何かを与えることができる”

ホフマン:ブライアンと彼の共同創業者は、ポールのアドバイス通りに従って行動した。

チェスキー:僕らは、文字通り、マウンテンビューからニューヨークに通った。Yコンビネーターの定例ディナーが毎週火曜にあったから、翌日の火曜からジョーと僕はニューヨークに行った。僕らは、文字通り、全てのホストのドアをノックして回った。住所はわかっていたから。”ノックして、ハロー。僕らはAirbnbの創業者です。あなた達に会いにきました。”と。

ホフマン:事前に通知しないで、いきなりドアのノックするのはちょっと気持ち悪いかもね。

チェスキー:うん、だから理由が必要だった。

ホフマン:だから、彼らが断れないオファーを用意する必要があった。

チェスキー:僕らは、あなたの家の写真を取るためのプロの写真家を家に派遣するよと。もちろん、僕らにプロの写真家を雇うお金なんてなかった。だから、僕らが写真家になった。すると、彼らは、”ワオ、Airbnbってそんな小さい会社だったの!”と。

ホフマン:そして、このお宅訪問が、Airbnbのシークレットウェポンになった。これによって、ユーザーがAirbnbの何を好いてくれているのかを学ぶことができた。

 

チェスキー:彼らと共に時間を過ごすことは大変じゃない。大変なのは、その体験の中から10人の人が好きになってくれる共通のポイントを見つけ出すことさ。何か、とてつもないことを作り出したいなら、僕は、君と時間をただ過ごすよ。そして、こう尋ねる。”こんなのどう?これはどう?これならもっと嬉しい?”みたいにね。

ホフマン:この質問から、”ハンドクラフトの体験”手法が生まれた。

チェスキー:僕らは、発見したんだ。 ”私は、ゲストと一緒にいることはあまり快適じゃないわ。だって、彼らが誰かも分からないでしょう。” ならば、”でも、もし、僕達がゲストのプロフィールを持っていたらどう?”と。”そうね、それなら写真が欲しいわ”。”いいね、他には?”と。”ゲストがどこで仕事しているかとか、どの学校に行ったとか”かな。”OK”と。そして、僕らは、それぞれのタッチポイントを具体的にデザインしていく。ゲストとホストの双方向のレビューシステムや、カスタマーサポート、全て、ユーザーと会うだけでなく、彼らと生活を共にすることで作り出して行った。僕はたまに冗談交じりに行っていたよ。スティーブ・ジョブズは、iPhoneを君が買っても、君の家のソファーで寝泊まりしにこないだろうけど、僕はしたんだよって。笑

ホフマン:そうだね。笑 その中でも、特に思い出に残っている体験はある?

チェスキー:あるよ。数人のホストに会ったときのこと。冬だったね。外は雪が降っていたから、僕らはスノーブーツを使っていた。いつも通り、ホストの家の写真を撮りに行くためだった。”僕らは、この写真をウェブサイトにアップする予定だよ。他に何かフィードバックはありますか?”すると、彼は、一度奥に行ってから、一冊の分厚いバインダーを抱えて戻ってきた。なんと、それは彼がまとめたAirbnbのプロダクトロードマップだったんだ。僕らは、この機能とこの機能を持つべきだと。そして、僕らは、”これは、すごいロードマップだ。彼は僕らの顧客だからこそこれが見えたんだ”と。本当にこれは忘れられない。なぜなら、僕らが作るべきプロダクトのロードマップは、実は、お客さんの頭の中にあるってこと。

フェリス:Airbnbの成長過程において、ブライアンが、このハンドクラフトのユーザー体験手法を決して止めることはなかった。1点、Airbnbの将来を描く上で、彼と彼のチームは、”11スター・チェックイン体験”なるものを生み出した。これこそ、僕がもっとも着目していることで、僕が手伝っている他のスタートアップや自分のプロジェクトにも応用していることだ。

だから、ここで、そのブライアンのこの手法に関して、アンカットバージョンでお届けしたい。

つづく。

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