マスター・オブ・スケール –起業家・著者ティム・フェリスのインタビュー#5

チェスキー:君が、本当に口コミ効果の高いものを作りたいのであれば、その人の「心の琴線」に触れるような体験を作り出す必要がある。なぜなら、人はその体験を他人に語りたくなってしまうから。僕らは、基本、僕らのプロダクトのある一部分を抜き出し、そこを徹底的にレベルアップさせて、5つ星レベルの滞在体験に持っていく。そして、僕らのアイデアは狂ったものになっていく。たとえば、Airbnbの滞在先でドアをノックしてもだれもいないし、ドアも開けてくれない。これは1つ星。3つ星だったら、20分後に開けてくれる感じかな。本当に開けてくれなくて、君は怒って帰って、返金申請をする、これが一つ星。こんなプロダクト、二度と使わないよね。

だから、5つ星の体験は、君がドアをノックして、ドアが開いて、君を入れてくれる。いいね。これは、大した話じゃない。しかし、君がこの体験で友達に口コミしたい気分にはならないだろう。”この間、Airbnbを使ったんだけど、とりあえず無事だった”ぐらいだろうね。

だから僕らは考えた:”じゃあ、6つ星の体験とは何か?” 6つ星の体験だよ。君がドアをノックして、ホストがドアを開く: “やあ、僕がレイドです。僕の家にようこそ”。このケースでは君がホストです。そして君が、ゲストを案内です。テーブルには、ウェルカムギフトがある。例えば、フルボトルのワインか、キャンディとか。冷蔵庫を開けると、水がある。バスルームに行くと、化粧品がおいてある。全てがすごい。これが、6つ星の体験だ。すると君はこういう: “ワオ、ホテルよりいい感じ。絶対にまたAirbnb使うよ。これは期待以上だった。”

なら、7つ星の体験は? 君がドアをノックする。レイド・ホフマンがドアを開く。何かに入れてもらう。”ようこそ。ここが僕のキッチンです。僕は、君がサーフィンを好きなことを知ってますよ。なので、サーフボードを用意しておきました。あと、レッスンも予約済みですよ。きっと素晴らしい体験になるでしょう。ところで、ここに僕の車があります。使っていいですよ。そして、あなたを驚かせたいことが最後に1つ。あなたのためにサンフランシスコで最高のレストランを予約しました。” すると、”ホア!これはびっくり!”とね。

OK、10つ星の体験はどんな感じか? まずは、チェックインはビートルズ・スタイルかな。1964年、僕が飛行機を降りると、5,000人の高校生たちが、僕の名前を呼びながら、彼らの国に訪問したことを歓迎してくれるんだ。そして、家の玄関の庭園についたら、そこで僕の記者会見が開かれる。絶対に、心をつかむよね。

ならば、11つ星の体験とは? 僕が、空港に到着したら、君はイーロン・ムスクと一緒にいて、こういうんだ:「君は今から宇宙に行くんだよ」この場合、まあステップの9,10,11ぐらいはちょっと実現が難しいかもしれない。けど、君がめちゃくちゃトレーニングを頑張れば、彼らは、君が宇宙に行く扉を開いてくれるだろう。それが11つ星体験のスウィート・スポットだね。要するに、後になって突然思い出されるような強烈な体験をデザインするということだよ。突然、ホストが僕の好みを知らなかったり、家にサーフボードがない状態は、おかしくなくって、当たり前のことだと思う?実際のところ、ロジスティク上は、おかしなことだけど、これがとてつもない体験を生み出すんだよ。

そのプロセスのポイントとして、9,10,11星レベルの体験は実現性がない。しかし、大切なことは、このような狂った発想を続けている、その中から、あるスウィート・スポットが見つかるんだ。そして、その扉を開けて、そこにできた新しい空間に僕は入っていく。そして、君は、この極限のアイデアを現実に戻すことをしなくてはならない。すrると、突然、僕の好みではなくても、家の中にサーフボードがあることは別に狂った発想でもなく、リーズナブルな発想に思えてくる。実際には、これはロジスティック面で考えると狂った発想だけど、これこそが、素晴らしい体験を想像するというプロセスそのものなんだ(これは、僕のアイデア作りの作業と同じで全く同感。)

フェリス:Y-Combinatorの社長であるサム・アルトマンは、この考え方を11つ星体験と呼びスケールさせる上での前提要件の一つだと考えている。標準レベル以下のサービスをスケールすることを考えて欲しい。このようなぬるま湯体験、まあ、言い換えれば、4つ星、5つ星の体験がデフォルトということ。サムは、これに更にフォローアップの話を加えている。

サム・アルトマン:まず、君がはじめにやらなければならないことは、超いいプロダクトを作ることだ。簡単にいえば、すぐに使いたくなって、かつ、友達に話したくなるようなプロダクトだ。このレベルのプロダクトになっていたら、一気にスケールさせることは容易だ。難しいのは、まだそのようなレベルになっていないプロダクトの段階で、一気にスケールさせていくこと。そのスケーリングの場合の作業は、需要を作り出すことだ。

だから、僕が、もっともいいたいことは、一気にスケールさせるより前に、まず、口コミ効果の高いプロダクトを作り出すことだ。Stripe、Dropbox、そして、Airbnbなどの創業チームは、全て、初期の段階でそこに没頭した。”よし、僕らは、オーガニックにユーザーベースが増えるプロダクトまで到達することができた。これで、毎年20%や30%のグロースは見込める。いよいよスケールさせるときがきた。”ということ。多くの起業家は、逆に、”普通のプロダクトを作った。そして、VCから何億円もの資金を集めた。そして、僕らのVCから、喉元を掴まれて、営業をもっと雇ってスケールさせろ”と言われて、それにしたがってしまう。こうして、プロダクトも会社もダメになっていく。

ホフマン:特定の事例はあるかい?

アルトマン:名前は上げたくないが、山ほどあるよ。ありがたいことは、ほとんどはYコンビネーター出身じゃない。例外はいくつかはあるけど、Yコンビネーターからそのような事例が出ないように努めた結果、過去10年で、同様の問題を引き起こしているのは、僕らの外で起きていることだ。

つづく。

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