マスター・オブ・スケール –起業家・著者ティム・フェリスのインタビュー#8

 

フェリス:この点は再度確認したい。まさに、テニスにおけるフートフォルト(サーブの際に、ラインを越えてしまい、反則判定になること)と言える。これは、レイドから、彼のチーフ・オブ・スタッフであるベンに伝えられた実際の言葉だ。

“早く動くために、君は、フートフォルトのミスを犯すだろう。僕は、そのエラー率が、10-20%以内であれば許容範囲だと考える。”

そして、ベンはこう考えた:”僕は、この範囲であれば、自由に決められることに対して、すごく力強く感じた。これは、とても開放的なやり方だ”

そして、同様に、Benも持ち込んだ条件についても、僕は強調して起きたい。

”大企業は違う。レイドは、かつて僕にこう話していた。Linkedinのような大企業は、スピードを重要視する戦略は取らない。なぜなら、そこを武器にしてしまうと絶対にベンチャーに勝てないからね。だから、大企業は自分たちのその鈍重さが強みになるような戦略を作る”

ありがとう、ベン。では、もう一度、レイドの十戒の話に戻そう。自分のプロダクトのレベルが自分が当惑してしまうレベルの段階でリリースするということ。これは、シリコンバレーのクラシックなアプローチの一つで、不完全な状態のものを市場に出し、ユーザーフィードバックを得ながら改良していくというもの。基本は、この反復だ。

 

今、改めて思う。この点について、書籍やポッドキャストで触れていても、正直、あまり正確に伝えられているケースはほとんどなくて、大半は、多くの人が、無計画な行き当たりばったりのプロダクトやサービスを提供する格好の言い訳になってしまっている。このアプローチは、特定の初期のユーザーベースに早い段階でアクセスでき、彼らからもらえるフィードバックをベースに改善するための反復活動を行える場合に最も機能する。

例えば、書籍の場合でいうと、このアプローチは全く使えない。本の場合、それがキンドルのような電子書籍でもない限り、機動的に改訂版を出して、一度買ってくれた人が、また自分の本を読み直してくれるような体験を提供することはできないから。

しかし、章ごとに書籍を出すパターンであれば、レイドの言うようなアプローチはできるかもしれない。今、Shopifyを手伝っているのだけど、このようなアプローチに近いと思う。

では、どの起業家がこの点について、最も的確な感覚を持っているか?フェイスブックのマーク・ザッカーバーグだろう。

ホフマン:僕の友人のマーク・ザッカーバーグは、この点について話をしてもらう上で完璧と言える。不完全なプロダクトを出すことに対して全く躊躇をしない人物だ。事実、彼の有名な信念は、”早く動き、そして破壊しろ”だ。そして、これこそがフェイスブックの成功の土台にあるものだ。彼が、チームの動きで常に気にしているのは、彼が、10代のハッカーのような機敏さで動き、全く完璧ではないプロダクトをリリースし、それをユーザーと共に改良していくと言うプロセスが常に行われるかどうかなのだ。

ザッカーバーグ:僕は、フェイスブックの戦略は、僕らのコミュニティ(ユーザー)が、何を望んているのかをできる限り早く学ぶことだと考えている。そのためには、会社のカルチャーとして、人々が早くトライし、テストし、失敗することを奨励するものでなくてはならない。

ホフマン:しかし、マークはどうやって、17,000人超もの社員を、完璧主義の思想を排除して、このカルチャーを維持しているのか。このルーツは、彼らのハーバード大学時代に遡ることで見えてくる。

ザッカーバーグ:僕は、”ローマのアウグストス時代の芸術”のクラスを取った。そして、その最終試験は、アウグストす時代の芸術作品をいくつか取り上げて、その歴史的重要性についてエッセイを書くと言うものだった。そして、ちょうどその頃、僕は、フェイスブックの1st Versionのリリースに向けてのコーディングをやっていた。そして、その最終試験の数日前になって、”うーん、もう無理”って感じになってた。だって、数学の試験と違うからね。試験会場に行って、そこで問題をとけばいいってもんじゃない。この芸術作品の背景や文脈を理解しないとエッセイなんて書けない。

ホフマン:ちょっと待って。そこをもう1回。

ザッカーバーグ:数学の授業の最終試験のように、試験会場に行って、ただ、出された問題を解けばOKと言う話じゃない。

ホフマン:ここにこそ、マークの真骨頂が隠されている。普通なら、コーディングを止めて、試験に集中するだろう。しかし、彼は、この二つを同時にこなすことをやる。

ザッカーバーグ:僕は、このサービスをそのクラスに出ていたみんなに作って、そこで、その時代の芸術作品をランダムに見せて、それぞれ重要と思う背景や文脈についてコメントできるようにした。つまり、クラウドソーシングツールだ。結果的に、その授業を受けていた学生は、みんな歴代最高の成績をもらっていたよ。もちろん、僕も同じく。笑

ホフマン:考えてみて欲しい、もし、マークが、微妙なハッカーで、かつ、より完璧主義者だったら? もし、彼が、コーディングを止めて、ローマ時代の芸術作品の試験に集中することを選んでいたら?_彼は、このユーザーが望むものを高速にリリースして期待に応えるという学ぶを得る機会を逃したことだろう。

しかし、わかっておいて欲しいのは、僕らの多くは、特に高いパフォーマンスを出す傾向にある人材ほど、完璧主義者である傾向が強いということだ。そして、同じことは、学生にも言えて、優等生ほど、下劣な起業家になりやすいということ(日本のスタートアップ業界は正にこれ)

つづく。

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