マスター・オブ・スケール –起業家・著者ティム・フェリスのインタビュー#9


フェリス:だから、君たちは、自分たちがいかに完璧主義者にならないか?について学ぶ必要がある。同時に、ユーザーが言ってくること全てに耳を貸さないことも学ぶ必要がある。なぜなら、その行為は、君を振り回し、君のビジネスを破壊するからだ。レイドはまた別のことも言っている – 君は、ユーザーからのフィードバックに対して、どれを考慮し、どれを無視すべきかについて注意深く選択しなければならない。

ホフマン:成功は、奇妙な方法で、優れた起業家の元に寄ってくる。というのは、成功は、小さなユーザーグループへの献身的な理解とサービスの提供によってもたらされるからだ。多くの人は、このユーザーグループとの親密な関係が、自分たちのプロダクトをマスマーケットに広げてくれることに気づいていない。だから、僕は、起業家には、自分たちが納得行く前段階でプロダクトをリリースすることを勧めている。リリースし、観察し、そしてその反応に答えていく。その反復活動だ。

別にそれは、スピードを重視しているわけでもないし、だらしないわけでもない。むしろ、フェイスブックの小さなユーザーチームと成長するユーザーベースとの間のダンスコンビのような関係と言える。そのユーザーグループは、たいていリードをとるが常にというわけじゃない。ときどきマークは、その今までの振り付けを壊して、スピンムーブを加えたりする。

それによって、ユーザーが実際に何を求めているかを認識することができるからだ。マークの場合、大学ごとにフェイスブックを拡張していく中で、ユーザーが言っていることと実際に行動していることの違いの間にギャップがあることを早くから学んでいた。

ザッカーバーグ:ハーバードでどうやってフェイスブックを始めたかについて僕らが話をしていたときに、その中で、まさにその話が出てきたんだよ。僕らが、イエール大学に拡張したときに、ハーバード大学のユーザーの全員が、”ええ、待ってよ。なんで?”という反応だった。これは、イエールの次にコロンビア大に広げた時もそうだったし、インディアナ州立大学に広げたときもそう。みんな”なんでそんなことするの?”と聞いてくるんだけど、結局、友達ネットワークを広げて納得してた。

ホフマン:ここでマークが学んだことに注目して欲しい。彼は、どうやってユーザーに耳を傾けるかについて学んでいたんだ。各大学のユーザーは、他の大学にフェイブックが拡張されることは望んでいなかった。しかし、新しい大学が加わるほど、ネットワークは強くなって、ユーザーもさらにフェイスブックを好きになった。これこそ、起業家が、ユーザーのどの言葉に耳を傾けて、他を無視するかの素晴らしい例だ。ユーザーは、常に、的確に自分たちのテイストや興味を予測はできない。

たとえば、フェイスブックの基本的な機能として、他のユーザーが君が写った写真をアップロードしようとする場合、彼は、君を写真の中にタグ付けすることができる。だから、君の友達は、君より先にその写真を見るからもしれない。君はそのようなプロダクトが欲しい?YesかNoで答えてくれ。大半の人は、Noと答える。しかし、この機能をリリースした初日からユーザーは大喜びだ。人々はたいてい新しいことに対して構造的に予測する能力はほとんどないと言っていい。

フェリス:効果的に革新させていくためには、実験していく必要があるというのが、このアイデアのコアだ。もちろん、君のプロダクトが成長すればするほど、それは大変になっていく。マークは、Facebookがいかにして大きくスケールして行ったかの詳細について共有してくれているが、会社の成長につれて君はどう革新していくか、どう自分の信念を変化させていくか。レイドはこう説明している。

ホフマン:マークと急成長しているフェイスブックのチームにとって、信条は、”早く動いて、破壊しろ”というスローガンだった。まだ未熟だった段階のフェイスブックにとっては、この哲学はピタリとハマった。しかし、数千もの社員を抱えてるようになってくると、この”早く動いて、破壊しろ”は、誰かがその後始末をしなければならなくなってくる状況を作り出す。マークは、彼のハッカーとしてのモットーである「早く動く」ということと、彼がCEOの役割として、大きな規模で何かを破壊することは避けなければならないという責任との間の緊張関係が日に日に高まっているのを感じていた。そうして、新たな信条が生まれた – “安定したインフラの上で早く動け”だ。

ザッカーバーグ:あんまり、クールじゃないよね。

ホフマン:しかし、最高の信条とは、常に聞こえのよいものだとは限らない。その信条によって、厳しい決断を的確に下せるようになる。

ザッカーバーグ:だから、”早く動け”は、とても面白いと思うんだ。なぜなら、早く動くためには、何かを犠牲にしなくてはならないから。だから、質問は、”じゃあ、何を諦める?”となる。だから、これは、実は、初期の”早く動いて、破壊しろ”の信念に通じてくる。僕らのコミュニティが求めているいるものを早く学ぶためには、多少のバグは許容しなくちゃならない。しかし、早く動くことによって得られるスピード以上に溜まってくるバグや課題を解決するための時間はより多くさくこと必要性も出てくる。

だから、僕は、”OK、僕らが早く動き続けるための新たな戦略が必要だ”と考え、僕らが、早く動くための最高のインフラを整えよう。別の会社などから入ってきた社員が、初日から新しい機能などを試せることができて早く動くことができる、世界の企業でそのための最高の環境を整えようと。それが、”安定したインフラの上で早く動け”に託した文脈だ。しかし、僕らはそれをタダで手に入れるわけじゃなくて、莫大なインフラへの投資が必要になる。つまり、何かを得るには何かを諦めなくちゃならない。タダのものは、世の中には何一つないからね。

ホフマン:マークは、”安定したインフラの上で早く動け”は、不恰好な信条だと認めている。確かに、”早く動いて、破壊しろ”比べれば、そうかもしれないけど、この新たな信条は、新たなステージに到達した会社を守るためのガードレールとして機能してくれている。大事なことは、この信条においても、君は、まだ生焼け・生煮えのものをリリースすることができるのだ。もちろん破壊することもできる、ただ、インフラを破壊しなければいい。なぜなら、インフラは、修復するには恐ろしく時間がかかる。つまり、もし、インフラを破壊してしまったら、全く早く動けなくなる。

この新たなルールと共にマークは、フェイスブックで、とてもつもない巨大な実験ができる環境を整えた。実際、どうやってそれが機能しているか?ここで、君は一つフェイスブックの真実について知るべき点がある。実は、フェイスブックは、複数の顔を持っている。

ザッカーバーグ:ある時点で、稼働しているフェイブックのバージョンは一つじゃない。おそらく、10,000はあるだろう。全てのエンジニアがフェイスブックでは、何かをテストすることができる権限が与えられている。いくつかのセンシティブな事柄については上司の許可がいるけど、多くのことは自由にテストできるようにしている。たとえば、10,000や50,000人ぐらいの特定のユーザーコミュニティ向けに、新機能をテストすることができる。そして、定時で追っているビジネスKPIの変化の結果レポートもすぐに見れるようにしている。例えば、この新機能で新たなユーザーコネクションはどれぐらい生まれか?何人がシェアしたか?新バージョンで1ユーザーあたりのフレンド数はどれぐらい増えたか?などね。当然、収益数値として、この新機能をリリースしたらどのぐらいのコスト効率がもたらされるか?や、どのぐらいの収益が得られるか?などもすぐにわかるようにしている。

だから、新機能テストの後に、このエンジニアは、マネージャに行き、”これが、テスト結果です。さらに全体に適用しませんか?”と。要するに、よくある組織内で、マネージャと部下が、新機能について、実装するしないで議論しているのは時間の無駄だから、それのコミュニケーションコストをなくすために、こうしている。この方が早く動けるだろ。

フェリス:しかし、いつ実験はOKなのか?常に?リスクやコストは高すぎないか?マークは、この点にとても高いバーを設定している。

ザッカーバーグ:日々の意思決定の中で、僕は、常に、自分に対しても含めて、こうみんなに聞いている – “OK、これは会社を破壊することになるか?”と。もう答えがそうでないなら、テストしようと。もし、テストをするためのコストが高過ぎないのであれば、自由にテストさせている。

つづく。

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