マスター・オブ・スケール –起業家・著者ティム・フェリスのインタビュー#10

 

フェリス:レイドが信条として持っているように、君は、自分のファーストプロダクトの仕上がりに当惑するべきなのだ。

ホフマン:”当惑”という言葉が、このキーロールだ。長年、何人かの人々は、僕のこの理論を、手を抜くこと、サボって行動すること、もしくは明確な計画なしに物事を進めることだと勘違いしている。

しかし、注意して欲しい:”もし、君が自分のプロダクトに当惑しなかったならば”と言っているのであって、”君が避難されなかったならば”、もしくは、”君が自分の出したプロダクトでひどく恥をかくようなことがなかったら”とは言っていない。実際、君がプロダクトを早熟な段階で出したことで、裁判沙汰になったり、ユーザーを疎遠にしてしまったり、何も収穫が得られないのにただ資本を浪費してしまっている場合、それは明らかに君のプロダクトリリースは早すぎると言える。

フェリス:十戒その6:意思決定の連続。全ての創業者は、どうのようにして意思決定するのかについて学ばなければならない。特に大切なことは、何も決めなことより、間違っててもよいから決めることの方が大切ということ。なぜなら、大抵の意思決定は後に修正することができるから。この点は、すでに、ベンとレイドのエピソードでも示唆したことだ。そして、この言葉は、Googleの前CEOであるエリック・シュミットからであり、彼の以下の経験によるもの:

エリック・シュミット:パイロットの世界では、いかに迅速に意思決定するかについて、繰り返し教えられる。まさに、”Decide, Decide, Decide”のような世界だ。とにかく決めることがよく、結果を受け入れることが大切。そして、この原則は、僕が、ノーベル時代、とても大きなターンアラウンドを経験したときに、とても役立った。

フェリス:同時、彼は、この原則をGoogleで花開いた自由走行型のアイデア生成のカルチャー育成にも当てはめた。事実、彼は、それが、成功の秘訣であり、継続的に成功する秘訣だと伝えている。生き残り、繁栄するために、規律ある意思決定をできる能力を身につけなければならないと。

シュミット:最も重要なことは、迅速な意思決定をする能力を身につけることだ。もちろん、意思決定のミスはするだろう。しかし、決めて行かなければならない。僕らは、常に、月曜にスタッフミーティングをやっており、ビジネスミーティングを水曜、プロダクトミーティングを金曜にやっている。だから、このスケジュールを踏まえて、すぐにメンバーは出張することができる。そして、全員に、それぞれのミーティングで何が決められたかについて共有される。1週間待てば、必ず、状況がわかるようになっている。

Googleは、今の組織規模でも、様々なケースで意思決定が行われている。一方、多くの大企業においては、多すぎる法律家、意思決定者、不明なタスクのオーナーが大量にいることで、全ての意思決定が恐ろしく遅くなる。たとえば、僕らが以下に高速に意思決定しているかについての事例の一つを話すると、YouTubeの買収はたったの10日で決めた。これは、Googleの歴史において今でも素晴らしい意思決定の一つだ。みんなこのディールにすごく集中して、ボードミーティングを開いてすぐに決めた。

ホフマン:シリコンバレーでは、これらの演習方法として、一つの言葉を持っている。それをOODAループと呼ぶ。戦闘機パイロット用の専門用語だ。それは、観察し(Observe)、適応し(Orient)、決定し(decide)、動く(act)の4つの言葉を意味する。ルールはシンプルで、OODAループを高速に回せるパイロットが勝ち、他は死ぬ。たとえば、ハリウッド映画の「トップガン」を見ると、OODAループがどのように機能しているかについてわかる。

トムクルーズ演じる主人公マーヴェリックの性格は、かなり少ない悪者タイプだ。その一例として、敵の戦闘機部隊のフォーメーションに自分を適応させる。そして、彼は、そこから、クレイジーな飛行の動きを取ることで、敵味方関係なく全員を混乱させる。そして、そこから一気に相手を攻め落とす。僕は、テック企業の幹部に、秘密裏に突風を吹かせるような行為は提案していない。彼がやるべきは、ちょっとクレイジーに振る舞い、高速な演習を繰り返すことだ。

創業者の多くはこう聞いてくる:何が、組織と個人におけるOODAループとは何か? なぜなら、高速に発展している産業では、戦闘機同士のコンバット同様にスピードが問題だからだ。

フェリス:十戒その7 – “計画を準備し、その計画を破壊することに備えよ” – 高速に成長する組織では、リーダーは、常にピボットすることに備えなくてはならない。ピボットする行為は、ときどき全てを取り繕うかのように捉えらている言葉だ。実際、僕のポッドキャストのエピソードでマーク・アンドリーセンへのインタビューを通じて伝えた、”僕が始めたとき、当時は、そんな素晴らしい言葉はなかった。だから、とりあえず、僕らは、それを「しくじったやつだ」と呼んでいた”

にも関わらず、君は常に、新たな競合、新たな脅威、もしくは新たな機会と対面している。つまり、君は、順応性を高くしなければならないという事だ。全てのことは、変化することが当たり前である。レイドは、このコンセプトについて、フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグでのインタビューで掘り下げている。

ホフマン:スケールするための道のりは、常に、不幸にも、いくつかの約束を反故する事になる事を、シェリルはすぐに気づいた。全て、つまり、面接から始まり、オフィスのスペースなど、全て会社の成長と共に変わっていく。そして、ほんのちょっとの取り消しもチームによっては問題なのだ。

サンドバーグ:別の事例として、私が、バカだと考えていないバカな事例を話しましょう。それは、誕生日。私たちは、毎日、みんなの誕生日を祝っていた。そして、人数が増えたら、週次になって、やがて、3ヶ月ごとになった。そして、私がチームを去るとき、その規模は4,000人になっていて、みんなの名前がそこに書かれていた。問題にはなってないように見えてきたけど、実際は問題になっていた。いかんせん、みんなの誕生日を祝うルールでスタートしたものだから、やがてそれ自体が問題になって行った。だから、私がここで言っているのは、”誕生日を祝うな”ということじゃない。”このやり方を想定したら、どういうことが将来的に予想されるかを頭に入れながら、現在の物事を取り組む”ということ。

フェリス:サンドバーグの優れた能力の一つは、フェイスブックが引き続き優れた歩みを続けていく上で、過去に機能していたものが、現在のチームカルチャーが生産性にフィットしなくなっているかどうかを見抜くことだ。創業者は、プログラムやプロジェクトで、機能しなくなっているものをカットしていく能力を身につけなければならない。これは、頻繁に起きる話で、ソフトバンクの創業者も指摘している点で、組織のサイズが2倍、3倍となるたびに、一連のシステムやプロセスを作り変えて行かなければならない。だから、チームサイズが、9人から27人、そして、100人から1,000人になるに応じて、組織全体のシステムとプロセスを頻繁に更新して行かなければならない。

Zyngaの創業者のマーク・ピンカスは、機能していないものを止める点で非常に優れたセンスを持っている。

ホフマン:MarkがZyngaを立ち上げたとき、彼は、自分のアイデアに固執している事に危機感を持っていた。そこで、彼は、自分の優れた直感力と、自分のアイデアが常に優れているわけではない点を切り分けて考えるようになった。

ピンカス:僕は、なんでもトライするし、なんでもキルするし、何よりすぐにキルする。でも、いい直感を感じるアイデアをキルすることはしない。本当にコアのアイデアは、僕はまだ考えて続けているし、起業家としても実践しながら、学び続けている。

ホフマン:マークは、徒弟のアイデアを直感に基づき、機能していないアイデアのどれをキルするべきかを切り分けて捉えることができる。そして、このアイデアを殺す意思が、イノベーションを実現する上で、とても基本的なことなんだ。

つづく。

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