マスター・オブ・スケール –起業家・著者ティム・フェリスのインタビュー#13

ヘイスティングス:カルチャーデックは、10年前にスタートしたものだ。まず、初めの数年は、市場で生き残るために頑張って、2002年にIPOした。この時点で、キャッシュフローもポジティブだったし、生き残れるという感触を持った。だから、次のステップとして、カルチャーについて真剣に考えるようになった。僕らが何者になりたいのか? どのようにこの組織を運用して行きたいのか? それで、数年かけて僕はこのデックを改良しながら、新しく入ってくる社員に活用していくことにした。それで見えてきたのは、何人かの新人社員はとても気に入ってくれたり、何人かは、なんで入社する前にこの話をしてくれなかったのか?という感じだったし、別の人は、全く理解できないという感じだった。だから、このデックは、採用候補者全てに解放すべきだと考えたんだ。それで、2007か2008年だったと思うけど、スライドシェアにこのデックを投稿した。マーケティングのマテリアルのように綺麗に成形されたものではなかったけど。結果的に、いろんな人が見てくれて、1000万PVを獲得し、今も世界の色々なところで見られている。

ホフマン:公開して、予測してなかったリターンは何かあった?

ヘイスティングス:まず、期待していたことは、採用候補者が、僕らのカルチャーについて明示的に知る機会を提供できているということだ。そして、予測してなかった利点は、僕らがそのデックの中に書いている自由と責任に関する内容などに共感して、より多くの人がNetflixに応募してくるようになったことだ。

フェリス:君が、Netflixのカルチャーデックを読めばわかると思うけど、ものすごく明確に、自分たちがどうありたいかについて書いている。特に、僕が好きなフレーズは、”家族”のようではなく、”プロのスポーツチーム”のようにありたいということ。

ヘイスティングス:チームスポーツにおいては、強いチームは、選手間の暖かいムードによって成功していることはない。お互いに助け合うという点を強調している話も多いが、究極的にはそれらは、パフォーマンスを高めるためのものだ。家族の世界では、君は無償の愛を受け取ることができる。例えば、弟がどうしようもないやつで色々とひどいことをやらかして刑務所に行っても、君の彼への愛は変わらない。これはチームスポーツの世界とは異なるものだが、社会の中においては必要なことだ。しかし、僕らは、そうでない。僕らは、インターネットTVという世界をテクノロジーの変化と共に追求し続けるチームであり、この目的を達成し続けるためにあらゆる点で、とてつもないパフォーマンスを生み出し続けなければならない。だから、そのために、常にお互いに正直にフィードバックをする。だから、君はそこから学ぶことができるし、君がなれる人材として最高のレベルに到達することができる。

フェリス:多くのCEOは、成功する会社のカルチャーは、全てのチームメンバーがなれるだけの最高レベルの人材になることであると賛成している。それを実現する上で、最善の方法の一つは、どうやってチームメンバーが競争するか?の環境作りだ。多くの会社は、この点でミスをし、停滞することが多い。5つのテック企業のCEOを勤めたマーガレット・ヘッファーナンはこう話をしている。

ヘッファーナン:多くの成功している競争力のある人材が信じていることは、会社において、お互いが常に白熱した競争環境にあることが、素晴らしいパフォーマンスを生み出すことにつながると考えている点。ハッキリ言って、この考え方は完全に間違っていると思うわ。別にそれは、私が競争力のない人材だということではない。当然、今日より明日の方がより優れた自分でいたいという願望がある。ただし、私はそのためにあなたに失敗して欲しいとは考えていない。

私は、多くの会社がこの点で誤ったことをしているを見てきたわ。いわゆる「ネガティブな競争環境を作り出す」ことが原因で。要するに、会社の他のメンバーが失敗して欲しいと願う。なぜなら、成功されると自分の立場が悪くなるから。ハッキリ言って、このようなメンタリティの横行は、他の組織内のいかなる誤解や語弊にもまして組織にダメージを与えて、時間の浪費に繋がるわ。

私たちは、とても個人主義を重んじる教育システムの中で成長してきている。家庭や大学なども。その中で、常に、”私は常に先んじていなけれればならない”と考える傾向があった。しかし、実際には、成功している人々同士というのは助け合っている。あなたが、私にあるアイデアを持ってきて、”それ、おもしろいわね”とか”これはどう?”みたいな。そして、”この人と話すといいから今度紹介してあげる”とか”このプロダクトを見てごらんよ。新しいインスピレーションが得られると思うよ”など。

もし、君が、お互いに積極的に助け合うような環境を作り出すことができたら、全ての人がお互いに対して寛容的になり、それは、会社の中にオリンピックのような競争環境を作り出すように圧倒的に優れたものになるでしょう。人々のそのような競争意識がどこからやってくるのかは私にもよくわからないけど、間違いなくダーウィンの進化論とは違うわね。

しかし、私が特に若い人々に言いたいのは、お互いに競争することで、みんな早くなることができるとう信条は間違っているということ。それは、むしろカタストロフィの世界。本当にたくさんの会社が、競争の中で、そもそも自分たちが何なのか?どうあるべきなのか?ということへの答えを忘れてしまっている。

ホフマン:完全に合意だ。会社をスケールさせる際には必ず、この問題への対処をしておかなければならない。社員一人一人が、”どう勝つか?”という視点は、カルチャーやパフォーマンスレビューや、報酬などを考える上で、必ず関わってくる課題だからだ。どうやってお互いを助けるか?どうやって、自分が所属するチーム以外の人を助けるか?これに対する自分への問いを必ずしなければならない。

ヘッファーナン:ええ、本当興味深いと思うわ。あるカンファレンスでスピーカーとして参加したときに、Q&Aセッションで、どのようにそのようなことができる人材を見つけるのか?という質問を受けたことがあったわ。私は、必ず、その候補者に、「あなたは、過去のキャリアにおいて、誰にどのように助けられてきたの?」と問うようにしている。もし、誰の名前も覚えていなかったら、かなりマズイサインよね。

そしたら、次のセッションで、どこかのCTOがスピーカーだったと思うけど、彼に、その人が、その質問「あなたは過去のキャリアで誰を助けられましたか?」と。そして、このCTOは誰の名前もあげることができなかった。恐ろしい沈黙がそこにあったわ。

分かると思うけど、これは紛れもない真実として、私たちは、本当に多くの人から常に助けられているということ。そのうちの誰一人として覚えていないってありえる?

そして、大切なこととして、あなたを助けた人は、その仕事を喜んで引き受けているということも忘れてはいけない。

つづく。

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