マスター・オブ・スケール – Endeavor CEO リンダ・ロッテンバーグのインタビュー#1

Master of Scale(マスター・オブ・スケール)は、シリコンバレーのインナーサークルの一人、レイド・ホフマン(ペイパル・マフィアの一人でもある)が、彼が親しくしているシリコンバレーの起業家たちを招き、「スタートアップを成長させるためのノウハウ」について、インタービューを通してリスナーに伝えていくポドキャストの番組です。

ペイパルマフィアについては、「こちらの記事」にまとめています。

この内容は、そのポドキャストの内容を翻訳したものです。若い起業家の方は、参考にしてください。また、原文やポドキャスト合わせて使うことで、英語学習にもなると思います。ぜひ、上手に役立てください。オリジナルリンクはこちらです。

THE NEXT SILICON VALLEY – Linda Rottenberg CEO of Endeavor

リンダ・ロッテンバーグ:1990年代の終わりにラテンアメリカに住んでいたわ。そして、このときはまさにNetscapeとYahoo!が急成長しているときで、アメリカでインターネットブームが席巻しているときだった。けど、ラテンアメリカでは、誰もスタートしていない。「なぜ?」と思ったわ。

レイド・ホフマン:それが、リンダ・ロッテンバーグだ。Endeavorの共同創業者でありCEOでもある。EdeavorはNPO組織で、30カ国以上で起業家と現地の投資家をつなぐ活動を行なっている。君は、なぜ、このような事業モデルが成立するのか疑問に思うかもしれない。投資家と起業家はそもそもお互いを必要としているからだ。だから、見えない手がお互いを引き寄せる。しかし、いつもそれが起こるわけではない。何より1990年代のラテンアメリカはまさにそうだった。リンダは、ブエノス・アイレスの街中をタクシーで通りながら、それを直感した。

ロッテンバーグ:タクシーの中で、ドライバーが自分は工学部の学位を持っていることを話してくれた。そして、私はこう思った。”まさにこのようなタイプの人がインターネットのビジネスを始める人”と。彼は、しきりにこう言っていた。”Empresario”、この言葉の意味は、スイス銀行に口座を持ち、政府のコネクションを持つ人のみが、大きなビジネスができる、ということ。

私はこう切り返した:”違う、違う。その言葉じゃないわ”と。そこで考えて見たら、スペイン語に、”起業家”を表す言葉がないことに気づいた。そして、私はこう思った。”その単語がないなら、実際にそれになれば良いだけのこと。そして、自分の両親に、自分が起業家の一人だと話せばよいわ”と。

ホフマン:これは、単なる一つの単語を訳せる訳せないというだけの話じゃない。要するに、マインドセットそのものの話だ。君は、これをシリコンバレーの精神を表すものだと考えるかもしれない。なぜなら、起業家がシリコンバレーに惹きつけられるのは、新たな神話を作りたいがため、あらゆる起業家があらゆる産業を破壊することできる。たとえ、その産業が、empresarios軍団によって率いられていてもだ。

君は、投資家と人材は、君に向かってまるでフラッシュモブのように群がってくる集団だと信じなければならない。そして、君にとって最大の競合を圧倒しなければならない。政府とのコネクションとスイス銀行の口座は全く不要だ。しかし、これはシリコンバレー以外の世界の人々にとってはなかなか受け入れがたい話となっている。

ロッテンバーグ:つまらない話に聞こえるかもしれないけど、私はマサチューセッツ州ニュートンで普通の女の子として育って、自分はスティーブ・ジョブになれると考えた。しかし、そのように思うことができない環境で育っている人が数多くいることは私にとっては受け入れがたいことだった。その現実をみて、私は根拠なくこう考えた。なら、私がそのシステムを変えれば良いわと。

ホフマン:同感だよ。君はそのマインドセットを変えることができる。君は別のシリコンバレーを世界のどこかに作ることができる。しかし、それは本当に大変なことであると理解しなければならない。なぜなら、君は、マインドセット、メンター、そしてその他をシリコンバレーを支える要素を全てそこに再現しなければならない。だから、いつ、どこでそれが起きるだろう?今日は、まさにその話だ。次世代のシリコンバレーについて話をしよう。

ホフマン:マスターオブスケール。私はレイド・ホフマン。Linkedinの共同創業者で、Greylockの投資家、そして今日のあなたのホストです。私は、シリコンバレーのスタートアップをスケールさせるための集合知は、現時点ではほぼ再現不可能だと考えている。しかし、同時に、世界のどこでもそれは作り出せると考えている。ただ、本当に大変であるということ。スタートアップがいるだけでは足りないからだ。この実現のためには、起業家、アイデア、資本、そして、大中小の全ての会社が必要になる。シリコンバレーを作り出すために、全ての要素が必要になる。

その点を十分理解してもらうために、シリコンバレーの成功のレシピをわかりやすく説明しよう。まず、シリコンバレーの人口は300万人だ。世界人口の0.1%以下。しかしながら、世界で最も価値のあるテック企業の50%以上を生み出しており、その時価総額の合計は10兆円以上にもなる。

彼らの本社は、サンフランシスコからサンノゼにかけての50マイルほどの距離の中に集約されている。つまり、車で約1時間ほどで全てを通過可能だ。ロスガトスにあるNetflix本社に到達したらツアーは終わりとなる。

しかし、シリコンバレーは、それらテック企業の集積地以上の存在だ。深くインターコネクトしたエコシステムであり、それこそが君にとって必要なものだ。君は、アイデアを持った起業家を必要としている。その通りだ。しかし、同時に君は会社の成長ステージに応じた人材も必要になる。エンジニアやプロダクトマネージャだけでなく、弁護士や会計士、マーケッター、リクルーター、オペレーションの天才たちなど。君は、彼らをそこに集め、そしてアイデアを共有し合う仕組みを必要としている。君には、優秀な若手人材を継続的に送り込んでくれる世界クラスの大学とベンチャーキャピタリストが必要になる。そして、最も重要なのは、世代をまたいで恩送りをしていく起業家の存在だ。それが、シリコンバレーが全く歩みを止めることがない状態を作り出している。今までのところは。

では、どの町が、次世代のシリコンバレーの候補となるだろうか。

この質問の問いに的確に答えることができるのは、リンダ・ロッテンバーグを他においていないと言える。エンデバーのCEOとして、彼女は、過去20年以上のもの間、30ヶ国以上で、シリコンバレーのようなエコシステムを作ることに関わってきた。彼女は、完璧なネットワーカーだ。ビジネスSNSのLinkedinの思い描いた姿そのものと言っていい。世界のどこの国に彼女を落としても、彼女はすぐにコネクションづくりを始める。

しかし、彼女はそのコネクションづくりの途上で、慢性的にコネクションが途切れてしまうことも経験した。彼女が訪れた場所の多くで、若手の優秀な起業家と投資家の間に、大きな隔たりが存在していることに気づいた。それがまさに、先ほどの南アメリカのタクシーの中で起きた会話を象徴とする世界だったのだ。

ロッテンバーグ:ブラジルとメキシコとチリに旅行した。それぞれの国の裕福なTop10の家族出身者以外で起業する若者はゼロだった。そして、彼らはみな政府の仕事につきたがった。私は思ったわ:”何が楽しくて政府でなんか仕事がしたいの?信じられない。”と。

このことを掘り下げていくと、彼らの現状が見えてきた。”聞いて。10ドルや50ドルのマイクロローンを組むことはできるけど、それでは大したビジネスなんてくれない。50億円の投資が受けられるのは、さっき話をした富裕層の家族の出である人だけ。要するに、私達は、そもそも起業家になるには誤った苗字の生まれなのよ”ということ。

だから、私は、彼らにApple共同創業者のスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックの話をすることにした。今でも覚えているけど、その話をブラジルで話をしたとき、”リンダ、それは素晴らしい話だと思うけど、私の人生にどう関係しているの?”と。ラテンアメリカでは、私のクレイジーなアイデアにお金を与えてくれる人なんていないわ。さらに言うと、私はガレージすら持っていない。これが私に一つのことを気づかせた。彼らには、ロールモデルが必要なのよ。

つづく。

関連記事