マスター・オブ・スケール – Endeavor CEO リンダ・ロッテンバーグのインタビュー#2

ホフマン:ここにリンダが普通の人とは異なっている点がある。彼女は、それらの国々の若い起業家達が直面している課題について過小評価していたことを彼女は、ある程度、合理的な結論づけてしまったかもしれない。彼らは、どうやってその不公平な世界で、富裕家族と競争することができるのか?これは、実際のところ、富の再分配を取り仕切る政府の仕事と言える。それでも難しいかもしれない。しかし、リンダは違っていた。

彼女は、一つのローカルの成功ストーリー、つまり、南アメリカにおけるジョブズとウォズニアックのような成功話を生み出すことができれば、この議論をかわすことができると考えたのだ。シリコンバレーに移住しなくても事業をスケールできるという生きた証拠となる起業家を一人生み出せばよい。もし、それが正しいければ、1000のシリコンバレーが生まれても不思議でないのではないか?シリコンバレーも何十年もかけて事業をスケールするための人材プールを作り出してきた。リンダは、彼女が関わるコミュニティ全てにおいて、ゼロからそれを行った。しかし、どこからか始めなければならない。リンダと彼女の共同創業者のピーター・ケルナーは、キッチンテーブルからそれを始めた。

ロッテンバーグ:ええ、実際に、私の両親のキッチンテーブルにやってきてEndeavorのビジネスプランについてナプキンテストをやったわ。私の両親は、ビックリしてた。実際に、私たちが、新興国で優秀な起業家を支援するグローバル組織について議論しているところをまともに聞かれてしまったから。

私の母親は、父親に「あの子を止めてよ」と言っていた。そして、父親は私に、とても穏やかな口調で、経済的な自立の必要性について話をしてきたわ。もちろん、このプロジェクトは、収入の保証なんてほとんどなかったけど、私の中でひるむ気持ちは全くなかった。

私は、このエピソードを”キッチンテーブルでの出来事”と名付けている。なぜなら、これは多くの起業家が直面することだから。誰にとっても、自分の家族に、型破りな取り組みの話をすることは度胸のいる話よ。そして、この二つの選択を迫られる:道筋の見えた安全な道をとるか? それとも未知の世界に飛び込むか?

ホフマン:リンダは、高い可能性を持った起業家は、世界中におり、皆この”キッチンテーブルでの出来事”を乗り越えてくるものだと考えた。

ロッテンバーグ:私にとって、大きな問題は、最高のアイデアは決して市場の中で死ぬことはないし、研究所の中でもそう、しかし、シャワーの中では死ぬことがある。なぜなら、多くの人は、周囲の人がそのアイデアにどう反応するかを恐れて、シャワールームの中で生まれたそのアイデアをシャワーから出て、ナプキンに書こうとしない。多くの人は、”まあ、それはただの狂った発想だよ”と言われるのを恐れてやらない。

ホフマン:全てのビジネスは、何かしらのリスクを包含する。しかし、最もスケーラブルなビジネスアイデアは、リスクが高いと見えるだけではない。完全に狂った発想に聞こえるものだ。もし、まだ君が、マスターオブスケールの”Beauty of a Bad Idea”を聞いていないのであれば、ぜひ、このエピソードの次に聞いてもらいたい。君は、きっとわかるはずだ。シャワールームの中で思いついたその素晴らしいアイデアを、懐疑心うずまく世界の中に持っていくことがいかにキツイことかと言うことを。そして、何より、シリコンバレーと言う場所から離れれば離れるほど、その君の狂った発想を真剣に聞いてくれる人を見つけることは難しいことになるだろう。

なぜなら、シリコンバレーは、狂った発想を持つ人々の黄金狂のような世界がすでにスタイルとして確立しているからだ。はみ出し者の起業家を賞賛する度胸のある投資家がいる場所(日本は、まるで逆。笑)。実際、数は少ないけど、こう言うことをいう人がいる。”シリコンバレー以外で、テック企業をスタートすること自体が、実はものすごいリスクを取っている”と言うこと。

ホフマン:僕は、起業家に対してよく使うメタファーは、崖に飛び込んでいって、落ちきる前に、飛行機を組み立てろと言うことだ。そして、このメタファーをよりシンプルな形で捉えるためのアイデアはたくさんある。その一つは、本気で取り組んでいる起業家は、より成功するために、彼らがいるべき場所に移ると言うこと。なぜなら、すでに大きなリスクを取っていることを分かっているからね。

だから、もし、NYCやLA、ボルダー、または別の場所にいるのなら、”私は、この会社を立ち上げるためにシリコンバレーに移住する”。すると、質問は”なぜ?”となる。

君はこう言うかもしれない。”いいかい、ここには、素晴らしいエンジニア達がたくさんいる。資金も調達できる。リスクマネーの強み、市場参入の強み、そして、人材の強み。シリコンバレーの全てと同じものがある。さらに、私は、これらを活かす天賦の才がある。そして、今、このリスクを取るつもりだ”。これはこれでいいと思う。このような会社のうちいくつかは成功するだろう。Grouponは、シカゴに留まると言う賢い選択をした。なぜなら、Grouponのビジネスにおいては、営業が重要だからだ。そして、セールスは、シリコンバレーの強みじゃない。KickStarterは、NYCのもつアートセンスを有効に活用した。しかし、これらのプロダクトが、シリコンバレーから立ち上がるサービスと同じくぐらいの規模までスケールしたかといえば疑問が残る。

しかし、もし、自分の顧客の近くにいるなど、特段、説得力のある理由がないのであれば、君が自分のテック会社をスケールさせたいならシリコンバレーに来るべきだ。僕は、それが起業家に取ってそれが難しい選択ではないことを願っている。結局、スタートする場所の選択によって、素晴らしい起業家がそのアイデアをスケールさせることができないと、我々は全てを失うことになる。

ホフマン:この不平等な現実が、リンダを駆り立てた。1997年、彼女は、素晴らしい可能性を持った起業家を彼らの国のエリートに繋げるための非営利組織であるEndevorを創業した。

君は、彼女のプランは、優れた起業家を、いわゆるその国にいるスイスの銀行の口座と政治人脈を持ったビジネスマンに対峙する存在に育てることだと考えているかもしれない。実際、彼女がやっていることは逆で、彼らとそのビジネスマン達を結びつけることなんだ。彼女にとって、その組み合わせは、非常に強力であることが分かっていた。しかし、まずはじめに彼女が取り組まなければならなかったことは、彼らビジネスエリートに、見ず知らずの地域の起業家に対してリスクを取るよう説得することだった。

ロッテンバーグ:そのキッチンテーブルでの議論の後に、私はピーターに、NYに行って資金を調達すると伝えた。一方、彼はラテンアメリカに行った。すると間も無く、彼は私に電話をかけてきて、Eduardo Elsztainと私とのミーティングをセットできたと伝えてきた。当時、彼はアルゼンチンの最大の土地所有者で、ジョージ・ソロスから出資を受けたことでもよく知られている。

コンピューターの声:ジョージ・ソロスは、1,000億円以上を保有する資産家で、世界で最も成功している投資家の一人。

ロッテンバーグ:そう、彼は、ジョージソロスに、自分の会社に投資するように説得した。そして、最終的にソロスは、10億円を出資した。Eduardoとは10分しかミーティングしていない。初めの5分で、彼は私をみて、”OK、分かったわ。君はジョージソロスと会いたいのだね。分かったよ。やってみよう。”と。

そして、私は、彼をみてこういった。”いいえ、Eduardo。あなたは起業家よ。私も起業家。Endeavorは、起業家のための起業家による起業家の組織なの。私は、あなたの時間とあなたの情熱を必要としている。そしてそれが、2000万円。””

Eduardoの態度はうって変わって、特に英語で、ときにスペイン語で話しをしながら、彼は私にこう言った。”この子は狂っている”と。

ホフマン:はっきりしておくと、狂っているを意味しているスペイン語には、“esta”と“es”があって、 “esta”は、一時的な狂気のこと言っていて、未来永劫と言う意味ではない。つまり、まだリンダには望みがあった。

ロッテンバーグ:だから、私は、スペイン語で答えた。”私はがっかりしているわ”と。あなたは、ジョージ・ソロスを説得して10億円の出資を引き出したのよね。それに比べたらあなたは幸運よ。私はたったの2,000万でいいと言っているのだから。

彼はそこから出ていった。私は、彼にまた追い出されれると思っていた。これが私の人生、人に近づいて、そして、その人に追い出されると。しかし、彼は、小切手帳を持って戻ってきた。そして、目の前で、2,000万円の小切手を書いてくれた。今になって、Eduardoは、彼がした投資の中で最高だったと言ってくれている。

つづく。

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