木村花さんの自殺事件と米黒人暴行死事件が本質的に同じであることを理解できない日本人の狂った人種差別意識とは?

木村花さんとジョージ・フロイド氏

以前からこのブログでは、よく伝えているように、「多様性」は、これからのイノベーションにおいて最重要のキーワードであり、持続的に平和な社会を作り上げていく上でも最重要事項です。今日は、その視点から、日本における人種差別問題に対して僕の考えを述べておきます。

テラスハウスに出演した木村花さんの自殺事件から間も無くして起きたアメリカでの白人警官による黒人フロイド氏の殺害。アメリカでは、全米レベルで人種差別反対のデモ活動が起きています。そして、そのデモ活動には、白人の方々も参加している。

Picture From – https://twitter.com/HowardMortman/status/1269433120618668032

 

この波は、世界へと広がり、ヨーロッパでもデモ活動が起きている。そして、その流れは、日本にも波及し、先日、大阪でも1,000人規模のデモが実行された。

Picture From – https://www.ktv.jp/news/articles/c8b5fb90b46b4b00ac629a7e4a1bdd91.html

日本人の人種差別問題に対する意識の低さは、当然、日本のメディアのこの問題に関するリテラシーの低さそのものに直結しており、結果的に、公共放送のNHKが、本件に関する全く持って無神経なアニメ動画を流したことで、海外メディアから避難が殺到しています。なぜ、このようなことが起きるのか?僕は、アメリカ在住時にアジア人として差別を受けた経験があるので、この問題の本質をよく理解しているので、その背景も含めて、きちんと話をしておこうと思います。

ステレオタイプの「怒る黒人」、レベル低い歴史認識…NHK、米抗議デモ解説動画を削除、謝罪@毎日新聞

木村花さんへの誹謗中傷の中に厳然とある日本社会の人種差別問題

先日、このブログでも、木村花さんの自殺事件の原因について、僕の見解を伝えています。詳しくは「こちらの記事」です。その中でも、きちんと触れているのが、彼女に対する人種差別発言ですね。彼女は、父親がインドネシア人で母親が日本人のハーフです。今やほとんどの誹謗中傷コメントは、投稿したものが削除することで、読めなくなっていますが、僕が当時確認した中にも、彼女がインドネシア人の父親を持つことに対しての誹謗中傷コメントが明確にありました。

上のブログでも伝えていることだが、もし、彼女は、とびっきりの美人ハーフだったら、あそこまで人種差別的な誹謗中傷なされていないでしょう。

しかし、日本のメディアは、ほとんどその点を取り上げませんね。問題の大半は、テラスハウスの制作側にばかり向けられており、日本のインターネットで異常に発達している「陰湿なイジメ」とも言える匿名による誹謗中傷の文化を問題視する言及や、その中に明示的に組み込まれている人種差別発言に対して、問題視する言及がほとんどない。

そして、ほどなくして、日本でも起きたこのデモ活動に対して、メディアもほどほどに取り上げる程度で、そこから、日本社会に行われている社会的マイノリティに対する差別問題を追求する言及もなく、

あげくの果てに、著名人までが、「日本人は黒人を差別していません」と100%事実無根の発言をしている始末。

日本社会に内在する「同調圧」的人種差別

日本社会は、ほとんどが日本人ですね。日本人は表向きはとても温厚な人種だが、別に精神レベルが高いわけでもないので、人種差別も普通にやっています。つまり、日本人の場合は、アメリカで起きたフロイド氏に対する暴力的な差別行為はしないが、代わりに、木村花さんに対する匿名による誹謗中傷のように、陰湿なイジメ的な行為による差別を行う。しかし、結果的に「殺害していること」には全く変わらない。やり方が違うだけ。日本人の多くはこの共通点を全く理解していない。僕から言わせれば、犯人が特定できない日本人の陰湿な差別言動の方がよっぽどタチが悪い。しかし、日本のメディアは、こういう目線でこの二つの事件を取り上げない。どこまで、平和ボケした「茹でガエル」なのか。

そして、この範囲は、実際のところ社会全体にも及んでいる。わかりやすい話、日本に住んでいる外国人の日本での日本人と同等のハードルレベルでの出世の道は、スポーツや芸能や、サービス業などごく限られた職種にしかない。

日本の大企業や政治の世界、そして、社会の将来を担うベンチャー企業など、つまり、日本社会の中枢を担う組織の中で、外国人が重要ポストを取れることはほぼない。この背景にはあるのは当然「同調圧」である。本質的に、日本人以外を信用しないという価値観がその根底にある。以前、ブロックチェーンのDAOの話でも触れているが、これを社会の「排他性」という。カルロス・ゴーン氏の身に起きた事件なども同様ですね。詳しくは「こちらの記事」にまとめています。

僕は、実際に、過去、仕事仲間で、在日朝鮮人の家庭の出身者がいて、彼と色々と話をしたときに教えてもらったが、日本人名と朝鮮人名をもつ彼らの中で、日本社会の中で社会的ステータスを得るための職種として、常に親から勧められるのは、「医者、弁護士、会計士」の3つとのこと。要するに、ここは資格で社会的ステータスが手に入るわけです。

そして、これは、アメリカ社会における有色人種に対する差別と全く同じである。アメリカ社会においても、黒人をはじめとする有色人種の人々の出世コースは、スポーツや芸能に限られていた時期が長く、また、医者、弁護士、会計士などに進むことが手堅いとされてきた。例えば、アメリカで初の黒人出身の大統領となったバラク・オバマ氏が弁護士になることで社会的ステータスを手に入れたというのも、アメリカ社会における有色人種の方々にとっては、現実的な人生選択の一つであるということ。アメリカ社会の中でも、特に多様性を重んじているシリコンバレーでも、有色人種や女性の起業家や人材を重宝する兆候が明示的にでてきたのは、この20年程度の話。

さらにわかりやすい例をいうと、「映画」は、その社会の多様性を象徴する存在と言える。映画もメディアの一つです。ハリウッドでは、長く白人の女優と黒人の俳優がキスをすることは、暗黙に「ありえない」とされてきた。逆のパターンもしかり。これはようやく解消されてきつつあるが、アジア人に対してはまだまだ未解決のまま。最近、ようやく、そこも変化がおき始めたところ。

差別と戦いスターに 米ハリウッドで大活躍を始めた東アジアの男優たち

しかし、これが日本にくると?

全く同じですね。映画の主人公はほとんどが日本人だし、ラブシーンも日本人がメイン。文化的に近い東アジア人が、ようやく2番手で入っている程度です。黒人俳優と日本人女性のキスシーンの映画をあなたは見たことがあるか?ないでしょう。つまり、暗黙の「同調圧」によって、アジア人以外は差別されているわけです。

そこにきて、日本社会では、最もタチの悪い、移民社会のアメリカ社会では発生していないパターンの差別があります。

日本で行われている政府の規制を原因とする社会構造的人種差別

僕は、日本人ではあるが、スタートアップ業界に長くいる中で、明確に日本で起きている社会構造的人種差別について、よく知っているので具体的な事例をお話します。

僕が今OISTでメンタリングしている海外から誘致しているテックスタートアップでこの問題は起きています。東京のスタートアップでも同じです。外国人が代表取締役の会社は、法人の銀行口座や法人クレジットカードが容易に持てないのですよ。ということは、融資や出資の審査も、日本人に比べて圧倒的に不利。

僕が、コロナショックが起きた際に最も懸念していた点の一つがこれで、外国人が経営する会社ほど倒産するリスクが高くなるという点です。

しかし、何故、これが社会構造的な人種差別になっているか?ほとんどの日本人は知らない。原因は、金融庁のKYC運用ルールにある。KYC(Know Your Customer)は、国際犯罪やテロ行為に加担する可能性のある企業や個人に対して、日本の全金融機関が的確なスクリーニングをかけることで、彼らの資金源を断つことを目的にします。ここまでは正論。

ところが、実態は、人種差別に繋がっている。例えば、僕が、OISTで面倒を見ているインドからのディープテック系スタートアップ。オーガニックで作られたポリマー素材を開発したベンチャーで、この素材を使えば、水不足が深刻なインドなどの地域で、化学薬品に頼らず、少ない水で農産物を育てることができます。SDGsの概念に沿った素晴らしい可能性を持ったアグリテックベンチャーですね。創業メンバーの二人も、とても真面目で、お笹馴染みです。

参考までにサイトリンクを貼っておきます。

EFポリマー社

しかし、彼らは、日本の銀行で、法人口座を持つのも大変、ましてや法人クレジットカードを持つことなど更に夢のまた夢。これは、金融庁のKYC対策方針によって、銀行側は、その対象人物や親族の素性を全て明らかにするための一定の調査費用がかかるため、日本人に比べて外国人の方が数倍のコストがかかってしまうからです。クレジットカードは、特にマネーロンダリングに悪用されやすいため、法人口座よりより厳しい基準が設けられています。

つまり、1,000万の融資案件において、金利が同条件なわけですから、日本人経営による会社の方が、外国人経営による会社に比べて圧倒的に審査通過の可能性が高いのは、サルでもわかりますね。銀行側の収入源は、金利なのだから、調査コストがかさむ外国人経営の会社の審査では、利益がでなくなってしまうからです。

要するに、政府の定める規制に基づく社会システム自体が、日本社会の中の社会的マイノリティに対して圧倒的に不利な仕組みで運用されているということ。

一方、移民社会のアメリカの中でも、特に多様性に対して寛容度の高いシリコンバレーでは、この手の問題は起きていません。だから、世界中から最高の頭脳が集まってきます。日本では、例外的にこれが可能になっている場所は、唯一、沖縄にあるOISTです。ここには、世界60カ国以上から、最高クラスの頭脳が集まってきています。ここでは、地銀の沖縄銀行がリーダーシップをとって、色々と日本政府ならではの過保護的な規制の障害はあるものの上手くやりくりしています。

その結果として、OISTは、2019年、著名科学誌Natureの大学研究機関ランキングで、東大の40位を大きく引き離し、世界9位にランクインしました。以下に、差別を徹底排除し、多様性を重んじるカルチャーを形成する社会が、これからの時代、世界をリードできるか、「論より証拠」と言えます。僕が、OISTで負っているミッションの一つは、このモデルをイノベーションの領域まで拡張し、沖縄の地で社会実装していくことです。

本来、日本のメディアは、今回のこの2つの事件をこのレベルで言及すべき。それが、真のジャーナリズムというもの。

そして、人間が何故、お互いを差別したがるか?その深層心理をみなさんは、きちんと理解していますか? 「こちらのブログ」にその答えをまとめています。解決策のヒントは「英語」です。コミュニケーションです。

更に、それだけでは完全解決は実現せず、人種差別のない多様性社会を維持する上で、必要なツールになってくるのが、僕も研究を進めているブロックチェーンによるDAOです。「こちらの記事」にまとめています。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

追記:社会構造上の人種差別は、アメリカの場合でも、黒人やヒスパニック系の人種に対して如実に行われており、その一つは、MITメディアラボの元所長のJOIさんが指摘した「アルゴリズムによる差別」という話と繋がっています。そもそも貧困街に住む彼らは、居住環境で犯罪率が高いことが原因で、保険料を高く払わされたり、一定水準の金融サービスを受けられないでいる。これは、シンギュラリティとも関わってくる非常に重要な話です。この点は、「こちらの記事」にまとめています。

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