NewsPicksとGunosyがいかにして僕のMusavyのプロダクトをパクったか? #1

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以下に、日本のスタートアップ業界が、アメリカのシリコンバレーや中国の深圳のそれと比べて、超低いレベルかを理解してもらうのに、よい事例なので話をしておきましょう。これがわかれば、あなたも、なぜ、日本が「失われた30年」で沈む泥舟と化しているのがよく分かる話です。

僕がシリコンバレーで立ち上げていたMusavyとは?

Musavyのロゴ

2004年からポスト資本主義社会を実現するため起業家になることを決意し、3年間、日本のITベンチャーで修行した後、2007年に独立し、ウェブマーケティングのコンサル事業をしながら、起業準備を進める中で、当時のインターネットで新たに発生しつつあった問題に注目していました。それは、「ソーシャルメディアによる情報洪水問題」です。

まず、2006年にTwitterが登場し、僕は既に2007年ごろからまだTwitterが日本市場に本格進出する前から利用しており、Twitterがもたらした「タイムライン文化」に衝撃を受けました。

 

タイムラインカルチャーのイノベーションを起こしたTwitter

 

まだ、iPhoneが登場する前です。それまで、ブログなどで主流だったRSSにソーシャルの概念を入れて、かつ、140文字と言う表現の制限をかけることで、コミュニケーションのリアルタイム性が増すことができるこのTwitterの世界観は、本当に面白いものでした。友人が今どこで何をやっているのかがわかったり、また、僕はNBAが好きなので、NBAのプロスポーツ選手が試合中にツイートしたりする世界観には感動を覚えました。

しかし、まだ当時のTwitterは、ブラウザベースでしか使うことができなかったので、今のようなタイムライン・カルチャーのインパクトをもたらすほどのレベルではなかったですね。SNS市場で、Twitterの存在感が一気にましたのは、iPhoneの登場です。

 

タイムライン・カルチャーを爆発的に普及させるキッカケになったiPhoneとそれを手がけた伝説の起業家スティーブ・ジョブズ

iPhoneでTwitterを使ったとき、2008年ごろですね。あることを直感しました。「情報の収集の仕方が劇的に変わる」と。

なぜなら、指によるタッチパネル型によるコンピュータ操作が可能な全く新しいユーザー・エクスペリエンスを持ったiPhoneは、Twitterのタイムラインをよりサクサクと楽しむことができるからです。実は、これをキッカケに、それまで、競合のFacebookは、それまで、NewsFeedというテキストなどの投稿機能はなく、ただステータスアップデートしかできないタイムライン機能しか持っていなかったのですが、Twitterの人気に火がついて、一気に危機感を募らせ、Twitterに対抗するため、文字制限を撤廃したツイート機能を実装してきます。

FacebookのNewsFeedのテキスト投稿機能は、Twitterの後発

当時のiPhoneは、まだ当然、通信技術が3Gレベルですから、高品質な画像や動画をソーシャルネットワークで楽しむには難しく、InstagaramやYoutubeがスマホアプリとして人気を持ち始めるのは、一つ上のレベルの4Gが普及しだす、それから4年以上後のことです。

そして、TwitterとFacebookという当時の2大SNSが、このスマホアプリによるタイムライン・カルチャーの爆発的な普及によって、情報洪水問題が発生します。

タイムラインは、すぐに情報が流れてしまうため、タイムラインに流れてくる大量の情報にユーザーが圧倒されてしまっていたのですね。僕は、ユーザーとしてこの問題を2009年ぐらいから感じるようになりました。Twitterは対策として、「リスト機能」と言って使っている人も多いと思いますが、フォローしている全てのアカウントの中から、特定のアカウントの情報だけ別リストとして目的別に振り分けてタイムラインをチェックできる機能です。

しかし、この目的別と言うのが実はやっかいで、整理が上手くできる人もいればできない人もいる。僕は、AIと新たなソーシャル体験によって、そこをサクサクできる世界にできないかと考えていました。

それで考え出したプロダクトが、Musavyです。このネーミングは、英語のMutual Savvyから名付けたもので、Mutualとは「中間点が取れた状態(=バランスの取れた状態)」を意味し、Savvyとは、「その分野にとても詳しい」ことを意味します。要するに、関心のある分野に誰でもすぐに、バランスよく知識を得て、詳しくなることができる、と言うユーザー・エクスペリエンスを実現するためのプロダクトということです。

情報洪水によって、偏った情報でものを見てしまう世界が起きつつあり、検索するときにも、その偏った知識でしか検索キーワードが思いつけない。これでは、どんどん、インターネットのメディアとしての価値が低下してしまうと考え、その解決策を作り出そうと考えました。

CrunchBaseのサイトにプロダクト写真を貼っていましたが、先方のUIデザインの改良で写真がなくなってしまってますね。TechCrunchのイベントで紹介されたときの記事リンクが以下です。

From the Teclosion 2011 Spring Event In Tokyo: 15 Demos From Japanese Startups@TechCrunch

以下が紹介文です。勘のよい人であれば、MusavyがNewsPicksやGunosyと似ているプロダクトであることがわかるでしょう。

Musavy, which makes it possible to start a “debate” on any given topic online, for example by clipping content from a website and asking a question about that content

日本語にすると、「ブラウザ上などから見ている記事をクリップして、Musavyに持ってきて、ユーザー同士で一緒に議論して理解を深めることができる」と言うタイプのプロダクトです。NewsPicksと全く一緒ですね。それはそうです。オリジナルのプロダクトは、全て僕らが考え作りましたから。

TwitterやFacebookのタイムラインから記事にアクセスして、その記事をMusavyが読みこみ、Redditのように議論をしていきます。Redditは、日本人の方は知らない人も多いと思うので、「こちらの記事」にまとめています。日本では、ひろゆきの2チャンネル(現5ちゃんねる)と比較されることが多いですが、ハッキリいいますが、Redditの方が数億倍レベルが高いプロダクトです。リンク先の記事を読んでもらえればわかります。

ただ、この記事のクリッピング作業が結構、面倒なので、それなら、Googleと同じくクローリングしてこようということで、主要なウェブメディアのデータを全てクローリングして、Musavyアプリから直接見れるようにしました。

すると、どうやってこの記事をカテゴライズするかが、次の課題として浮上してきました。そこで、当時のチームで出したアイデアが「トピック・フォロー」ですね。つまり、政治・経済、スポーツなど、カテゴリ別にニュース記事を分類する方式です。まさに、NewsPicksやGunosyが、全く同じことをやってますね。ただ、Musavyはもっと高度な機能をエンジンに持たせており、記事の中の頻出単語をベースに、新たなトピックをリコメンドし、ユーザーが、そのトピックをお気に入りに登録できる機能を持たせていました。つまり、政治・経済など一般的なカテゴリだと、その中でも埋もれてしまう記事が出てしまうことを防ぐための措置です。

そして、議論内容に応じて、常に横に関連記事が出てくるコンテンツリコメンドエンジンも実装していました。また、当然ですが、議論のコメントに対して、Redditと同じUp VoteとDown Voteをできる機能も持たせており、これによって、高評価のコメントが記事の下にすぐ出てくるようウェイティングもかけていました。

そして、ビジネスモデルとして考えていたのが、「トピック型のオークション広告モデル」ですね。Musavyのエンジンは、裏にWikipediaのデータを元に作ったタクソノミー表を持たせていました。タクソノミーとは言葉同士の関連性を定義する情報マップのようなものです。

タクソノミー:https://blog.maromaro.co.jp/archives/7021

それぞれの単語が「トピック」です。このトピックに入札形式で広告を配信すると言うビジネスモデルです。人気の多いトピックは、当然、競争が激しいから入札金額は上がる。一方、ニッチなトピックは、競争が少ないので金額も低い。ただし、NewsPicksやGunosyにあるように、一般的なトピックそのものへの入札をしているのではなく、Musavyが裏で生成しているタクソノミーマップのトピックに入札していますから、そのトピックを言葉として含む記事があれば、広告は表示されます。当然、検索エンジン広告と同じで、トピックと関連性の高い広告クリエイティブを作らなければ誰もクリックしません。なので、広告のクリック率の競争の観点からも、バランスのとれた広告モデルになるということです。

Musavyのプロダクトの解説は以上です。

僕が、Musavyのプロダクト開発に取り組み始めた2009年ごろには、シリコンバレーでも、まだそんなに本格的には、この投資テーマが議論されていなかったですね。2010年に入ってからです。フェイスブックの元CTOがソーシャルQ&AキュレーションのQuoraを立ち上げ、またFlipboard、Pinterestなども登場、ようやく「キュレーション」と言う単語がシリコンバレーから生まれ、一大投資ブームが起きます。僕がシリコンバレーで活動していた2010年から2012年は、「キュレーションこそNext Googleの投資テーマ=Next Big Thing」と言われていました。

それで、僕もシリコンバレーのインナーサークルの一人であるビノット・コースラにプレゼンする機会を得ました。出資は叶わなかったですが、シリコンバレーでも誰もが高い評価である元起業家でありベンチャーキャピタリストである彼と1対1の勝負をすることができたのは、今でもよい人生体験でした。

From Wikipedia – ビノッド・コースラ(1955年1月28日 – )は、インド・プネー生まれのベンチャーキャピタリスト。米サン・マイクロシステムズ社の共同設立者の一人である。

しかし、2012年ごろには、この投資ブームはもう下火になっていましたね。Next Big Thingにならないことが見えてきたからです。なぜ、Next Big Thingにならないかは、後ほど説明します。

つづく。

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