スパコン富岳、世界一に想ふ:「戦艦大和」思想の時代遅れの老害たちによって浪費される莫大な税金と若者の才能

スパコンランキング世界1位をとった富岳

日本が最近、世界一をとったスーパーコンピューターの富岳について、多くの日本人の人がわかっておいた方がよい事実として、僕が以下にツイートした内容について掘り下げてお話します。

スーパーコンピュータ開発は、なぜ、完全に時代遅れになってしまったのか?

まず、ここからですね。この点を理解するには、コンピューターのアーキテクチャの基本を理解する必要があります。スーパーコンピュータのような天文学的な計算能力を持ったコンピュータは、非常に中央集権的なアーキテクチャで設計されています。わかりやすい実際の商品でいうと、いまだに金融機関で長く使われているIBMが得意の「メインフレーム・コンピュータ」がそうです。

金融機関や政府機関などでいまだに使われているメインフレームコンピュータ

この技術が最も応用されているのは、金融商品を扱う取引所などですね。秒間、何百万件というトランザクションを処理するためには、中央集権的なアーキテクチャを持ったいわゆるインメモリー型の高速処理が可能なデータベース技術を使う必要があるからです。

別の言い方をすれば「スーパーマン」のような超万能型マシンを一台作ることに全精力を傾けるのが、スパコン開発を支える中心的な思想です。このスーパーマンという発想、あとでもう一度触れるのでよく覚えておいてください。

しかし、今のコンピュータ業界に、どのようなイノベーションが起きつつあるか?僕のブログやYoutubeの購読者であれば、もう理解していると思います。

そう「ブロックチェーン」です。

ブロックチェーンは、スパコンとは、アーキテクチャが真逆です。以下は、このブログになんども登場する既存のGAFAのインターネットインフラに代表されるクライアント・サーバーモデルとブロックチェーンに代表されるP2Pシステムの違いを表した図です。

 

左がインターネットのクライアント・サーバーモデル、右がブロックチェーンのP2Pモデル

 

スパコンは、このクライアント・サーバーシステムを更に強化したものです。中央に圧倒的な処理能力を持ったシステムを構築することで、全体のインフラを支えようという発想です。この結果、僕らが、GAFAに代表される問題や今の中央銀行に代表される問題を抱えるに至ったわけです。

ブロックチェーンは、そこを破壊しに行っています。ブロックチェーンが、パーソナルコンピュータ、インターネットにつぐ第三のIT革命と呼ばれる所以はまさにここですね。

しかし、ここがポイントです。非中央集権的なアーキテクチャで大量のタスクをこなすコンピュータマシンを作るためのテクノロジーというのは、先ほどのスーパーマンを一人作ることにフォーカスしたスパコン開発とは、全く違うものが求められるということ。

代表的なものは、ブロックチェーンの話によく出てくる「コンセンサスアルゴリズム」という話ですね。スパコン開発には、コンセンサスアルゴリズムは不要です。なぜか?

中央集権的なアーキテクチャで動いているからです。わかりやすい話でいうと1台のマシンで動いていると言うことです。実際には複数台を接続して仮想的に1台のマシンとして動かしています。中央のマシンとそこに紐付けられるマシンの関係性は、マスター・スレイブといって、要するに奴隷契約です。主人に対して絶対服従する奴隷としてそのマシンはタスクをこなしていきます。だから、コンセンサス=合意形成という発想が要らないのです。

しかし、マスター・スレイブとは真逆の不特定多数のコンピューターたちが「自由意志」で参加して、タスクをこなしていくブロックチェーンの世界では、このコンセンサスアルゴリズムの精度は、超重要です。みんなバラバラに動いたらシステムとして秩序がなくなり崩壊してしまうからですね。実際の例でいえば、このアルゴリズムが、悪意のあるユーザーにハッキングされたり、乗っ取られないような設計になっていないと、システム全体がダウンしてしまうからです。

ブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムの基本であるビットコインのPoWとイーサリウムなどのBaaSで主流のPoSについては、「こちらの記事」にまとめているので参考にしてください。

また、細かい話でいえば、並列分散処理の技術としてのシャーディングやデータ構造をダグ構造化するなどの技術も該当しますが、この辺りはスパコン開発にも応用できる技術なので、コンセンサスアルゴリズムに比べると、ブロックチェーンのもつ非中央集権なアーキテクチャを決定づけるものとしては価値が低いです。だからこそ、裏切り者が出ようがないシステムという、ビザンチン故障問題を突破したビットコインの根幹技術であるPoW(プルーフ・オブ・ワーク)が、コンピューター・サイエンス業界で「世紀の発明」であると言われる所以はここにあります。革命的な発想なのです。

今、世界のコンピューターサイエンス業界の天才たちは、このブロックチェーンにものすごい可能性を感じて、日々、研究開発を進めて、新たなテクノロジーがどんどん生まれて行っています。PoWに変わるPoSやDPoSなどのコンセンサスアルゴリズムはその代表例ですね。僕が経営していたOrbでも、2015年時点でPoS型BaaSのOrb1を世界に先駆けて世に送り出し、ここに実装したデータコンシステンシーを高めるための「チェックポイント」の概念は、その後、イーサリウムのCaspterで実装が進められていますし、次の世に送り出した世界最速のプライベートブロックチェーンのOrbDLTでは、ブロックチェーンの一気に処理性能をあげることが可能になる「ランダムリーダーセレクション」のコンセンサスアルゴリズムを開発し、この技術は、Facebookの「Libra」のコンセンサスアルゴリズムにも応用され、なにより、世界初のBaaSであるEthereumが、スマートコントラクトの実装をSoridityという開発言語による実装アプローチを採用する一方で、Orb1やOrbDLTでは、中長期でのAWSやGoogle Cloudなどの中央集権型クラウドとの競争を視野に入れて「Restful API」で実装し、Dapps開発者が、ブロックチェーンの仕様変更の影響を全く受けないアーキテクチャを世界に先駆けて採用し、このモデルは、以後、後発のEOSやAlgorandなどのBaaSでは当たり前のアーキテクチャとなっています。これらの革新的なソフトウェア開発にかけた資金は、「たったの5億5,000万」です。この数字、よく覚えておいてください。

追記:これを踏まえても、 僕が編み出したOrbのプロダクト戦略や事業戦略の完コピ以下のLayerXをチヤホヤしている日本人の多さには呆れるばかりです。どこまでバカなのかと。詳しくは「こちらの記事」にまとめています。

一方、Orbが頑張っていた同時期の日本では、今後、全く大して需要もないスパコン研究に莫大な税金を投下し、そこに若いコンピューターサイエンティストやエンジニア達も大量に投下されている。投下された税額は、なんと国費だけで「1,100億円」です。

ハッキリ言っておきますが、ここに参加している若者たちは、完全に無駄な能力を開発させられています。スパコンの開発スキルは、ブロックチェーン時代には、全く役に立たない専門能力だからですね。

しかし、なぜ、こんな事態が起きるのか?

スパコン思想の裏にあるのは今も変わらぬ「戦艦大和」心酔思考の老害たち

ということです。話は、先ほどあげたスーパーマンに戻ります。ここでいうスーパーマンとは、戦艦大和のようものです。戦艦大和を知らない人のために、ウィペディアからの抜粋です。

From Wikipedia – 大和(やまと)は、大日本帝国海軍が建造した大和型戦艦の1番艦。2番艦の武蔵とともに、史上最大にして唯一46センチ砲を搭載した超弩級戦艦であった。呉海軍工廠で建造され、昭和20(1945)年4月7日、特攻作戦に参加して沈没した。大和は、戦艦として史上最大の排水量史上最大の46cm主砲3基9門を備え、防御面でも、指揮系統の集中する重要区画(バイタルパート)では対46cm砲防御を施した軍艦であった。設計はもちろん、ブロック工法の採用など施工においても当時の日本の最高の技術が駆使された。

なんだか、「史上最大の???」や「日本の最高の技術が駆使された」と賞賛しているあたり、富嶽の話とかぶってきますね。笑

この戦艦大和の惨劇から日本人が学ぶべきは、2点です。

1点目:そもそも全く需要がない

最大のポイントは、ウィキペディアの説明にもある巨大な大砲で、長距離でありますが、天気が快晴でないと狙う打ちできないという使い物にならない代物でした。だから、そもそも技術者と軍人のマスターベーション的な産物ということ。そして、何より大事なことは、当時の時点で海戦における戦艦自体の戦略的な重要性がどんどん低下していたこと。これは2点目に通じてきます。

2点目:戦闘機と魚雷機によって沈没させられたという「時代の変化」への無頓着さ

大和は、最後、アメリカ空軍の大規模な空挺部隊によって沈没します。これがまさに戦艦がすでに時代遅れになっていた証拠なのですが、太平洋時代の海軍の決戦は、日露戦争時代の戦艦VS戦艦の戦いから、空挺部隊を有効活用した空母VS空母の戦いに移行していたのですね。この戦術トレンドは現代まで続いています。考えればわかることですが、砲台から何キロも離れた敵地を狙い打ちするより、対空砲ではとても追いきれない超高速の戦闘機を開発して、適地を狙い打ちした方が、精度高く敵の戦略拠点を壊滅できるぐらいサルでもわかる話。

実は、山本五十六という太平洋戦争時の日本海軍のトップは、そこにすでに気づいており、空挺部隊の強化にものすごい力を入れていたのですが、残りの大量のアホな海軍のエリート連中が、いまだに日露戦争時代の勝利条件こそ日本海軍がフォーカスすべきという超時代遅れの主張をし続けたため、山本さん自体が、彼らに無用の長物の戦艦大和の活用を迫られ、旗艦として乗り込むというアホなことになっていました。

富岳とずいぶん話が被ってきますね。笑

つまり、70年以上たっても、全然、学んでいない。技術力を投じる対象が戦争の道具から平和利用の道具に変わっただけのこと。しかも、この富岳開発にいくらの税金を投じたのか? 国費だけで、なんと「1100億円」です。僕が、ブロックチェーン業界の発展に大きく寄与したOrb1とOrbDLTの開発にかけた資金は?そう、たったの5億5,000万です。どんだけ、税金の無駄使いすれば学ぶのか。

老害たちのマスターベーションのために、僕らが払った高い税金がこうして浪費されていく。そこで、そのプロジェクトに参加した若者たちも、全然、これからの未来社会で需要のないスキルと経験を身につけたがため、40才あたりから全然給与が上がらない状況になり、人生に失望していく。

しかし、ここで注意してもらいたいことが、世の中の老人全て老害ではないということ。実に、頭が柔らかく、時代の変化に思考を適応させていく能力を持った年配の人もたくさんいます。

ただし、今の日本の政府や企業にはほとんどいないですね。それは、この富岳を見れば明らかです。僕の目からみて、そのような柔軟かつ本質的なクリエイティビティを持った年配者もいる場所は、「沖縄にあるOIST」のみです。

なぜか?

その答えは「こちらの記事」にまとめています。この記事の写真に出ている新竹教授は、僕がOISTに参画するキッカケになった方で、教授陣の中でも一番仲のいい教授の一人ですが、スタンフォード大で長く研究されていた方で、沖縄の海でサーフィンもしている、すごく頭の柔らかい創造力に富んだおっちゃんです。笑 僕もこのように年を取りたいと思う方ですね。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

追記:スパコンの話で、「量子コンピュータ」の話が上がっているようですが、変なロジックを展開しているバカが多いので気をつけてください。OISTでも研究が進んでいる量子コンピュータが、次世代コンピュータの技術として重要であることは当たり前のことですが、量子コンピュータの貢献対象は、「個々のマシンの性能」です。つまり、それまでのサーバー1台で処理できるトランザクション処理能力やストレージキャパシティの効率性が劇的に向上するということ。これは、僕がここで書いている「コンセンサス・アルゴリズム」とは別の話です。また、今の量子コンピュータ技術は、まだまだ初歩段階で、現時点では量子にデータを安定保持できる状態を取り組んでいる段階なので、実際のコンピューターに実装されるのはまだ先です。

仮にスパコンに実装できる技術レベルに到達しても、スパコンは、あいかわらず1台のマシンによる「超高速な計算能力」という戦艦大和的なことしか追求しない。一方で、ブロックチェーン業界が、量子コンピュータ時代に向けた、ビットコインのPoWやイーサリウムのPoSに変わる新たな「PoX」が議論の対象になるのは、個々のマシンの性能が劇的に上がることで、PoWであれば、ネットワークが乗っ取られるリスクが上がるからですね。PoSの場合は、量子コンピュータが使えるだけでは乗っ取ることはできません。その辺りは、「こちらの記事」にまとめています。

追記:なぜ、こうも日本人は、あいも変わらず、戦艦大和のようなものを作りたがるのか?その答えは、「こちらの記事」にまとめています。

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