AaveのCredit Delegationモデルはスケールするか?

Compoundの競合であるAAVEが、新たにリリースした「Credit Delegation」について、僕の見解をまとめておきます。

 

AaveのCredit Delegationとは?

一言でいえば、「他人から暗号資産を借りて、それを元にお金をAaveのプラットフォームから借りることができる仕組み」です。

例えば、自分の手元に全くお金がないのだけど、車が欲しい。Aaveのプラットフォームの仕組みでは、預け入れている暗号資産の担保評価額の一部からお金を借りることができます。

AaveやCompoundの基本的な仕組みについては、詳しくは「こちらの記事」を参考にしてください。

ですから、現状は担保となるアセットを持たない人は、お金を借りることができない。これはこれで一つのペインポイントですね。

Aaveは、この解決策として、他人から担保を借りることができる仕組みを導入した。上のツイートからの抜粋でいかがその仕組み図です。

簡単に要約すると、Aさんが、車を買うためのお金をAAVEが調達するために、BさんとCD(=Credit Delegation)の契約を結んで担保資産をBから借りて、Aaveから資金を得る。つまり、Aさんは、BさんとAaveのプラットフォームの二つに返済完了までの手数料(ないしは金利)を払い続けることになります。これだとあんまりメリットがないですね。もっと掘り下げて考えていきましょう。

Credit Delegationのメカニズムを既存の金融商品に置き換えてメリットを考えてみる

基本的には、既存のローン商品における保証人制度を応用したプロダクトです。

多分、多くの人にとって身近な仕組みは、家賃保証制度でしょう。家を借りるときに保証人を立てることが求められますね。この目的は貸す側が、借りている側が家賃滞納をした場合に、代わりに誰かに払ってもらいたいための契約合意を予めてとっておくことですね。

昔は、親族から保証人になってもらうことが一般的でしたが、今では、保証会社に手数料を払って利用することが一般的です。家賃のレベルによって手数料は異なりますが、年間、数千円から数万円の支払いでOKな場合が一般的です。これは、日本市場の特徴もあるでしょう。日本人は、あまり家賃滞納する人が世界的に見て低いと思います。だから、保証会社のビジネスモデルとしても、実際に家賃滞納分を支払う必要性が発生するケースが少なく少ない手数料でもビジネスになっているということが想像できます。

しかし、根本的に考えなければならないのは、そもそもAさんとBさんの間で、車を買うに必要な資金分の担保契約が成立しているのに、わざわざAAVEを経由して新たにお金を借りるメリットは何か?ということですね。

仮に、Aさんが返済不能になったなら、彼のAaveでの契約は当然デフォルトし、精算処理に周ります。すると、担保分を貸していたBさんの資産は元本分は戻らない確率が高くなる。しかし、Aさんは、AAVEとのレンディング契約の手数料と、Bさんから資産を借りている手数料を払うことになる。これはAさんにとって、BさんからCredit Delegationを受けるメリットはないです。

しかし、別のモデルも考えられます。投資信託やETFのようなモデルですね。要するに、Aさんと利害一致しているユーザー達が、Aさんに自分たちの資産を託して運用してもらうというケースです。この場合は、Aさんは、不特定多数のユーザーから資産を預かり、それをAAVEを通じて、ときに貸したり、ときに借りたりして運用し、増えた分は、リターンとして返します。託す側は、プロに任せることで手軽に資産をふやすことができる。しかし、当然、託すファンドを見誤ると損するリスクもあります。

この場合、Aさんは、既存の投資信託やETFと同じで、むしろその不特定多数のユーザーから、手数料をもらうことになるでしょう。

AAVE側の意図を踏まえると、こちらのユースケースを想定していると言えるでしょう。これであれば、既存の投資信託市場やETF市場を見れば一目瞭然で、とても大きな潜在市場があります。

Compoundに対抗するプロダクトとしてリリースしてきていると思います。ただ、Compoundが同プロダクトを出すことはそれほど技術的ハードルが高いわけではないので、彼ら自身、タイミングを見てキャッチアップしてくるでしょう。

また、このプロダクトの競争ポイントは、プラットフォーム側の預かり資産額が多いほど、より数多く、そして規模の多い投資信託を顧客として受け入れることができるからです。その点を踏まえると、預かり資産額が大きいCompoundの方が、競争上、有利になりますね。

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

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