マスター・オブ・スケール – VMWare創業者兼CEOダイアン・グリーンのインタビュー#2

 

ホフマン:マスター・オブ・スケールです。僕は、レイド・ホフマン、Linkedinの共同創業者で、GreyLock VCのパートナー、そして、あなたのホストです。僕は、最もスケールするアイデアは、しばしば君にとっての脇道ともいえることが多いと考えています。

この理論について、少し掘り下げて話をすると、君は別に、完璧にスケールするアイデアを起業家になった第1日目から手にする必要はないということ。事実、君はスタート時点で、考えているアイデアがどの様なプロダクトになるかなんて全く想像がついていないし、市場参入戦略も見えていなし、ましてやビジネスモデルも見えているわけでもない。

しかし、この脇道をきちんとみる方法をわかっていれば、君は生き残ることができるかもしれない。だからこそ、ちょっと普段、自分が見ていない景色の世界に目を向けることは意味があるということ。

しかし、もちろん、時には、スケーラブルなアイデアが、君の頭のなかにきちんと描かれてることもある。例えば、ジェフ・ペゾスは、Amazonのマスタープランをはじめの段階でほぼ描き切っていた。

しかし、ベゾスの様なビジョナリーな起業家は、稀なタイプだ。大半の起業家は、より大きな市場に向かって、カニ歩きで進んでいく。そして、道を進むにつれて、その潜在市場の全容が見えてきて、なぜ、もっと早くその可能性に気づかなかったのかと思うようになる。だから、今日のポドキャストでは、僕らは、起業家が如何にして、このカニ歩きを高速に、そして、賢くやって行けるかについて、話そうと思う。

このテーマには、ダイアン・グリーンのエピソードが最適だと思う。彼女の起業家としての実績はみんなにとって驚愕とも言えるものだろう。ただ、大事なことは、彼女は、大きなアイデアのマスタープランを持っているわけではなく、そのアイデアに、自分を少しずつ寄せていくことにかけては、とてつもない程優れたセンスを持っているということ。

 

グリーン:そうね、私は実はこういう考え方を持った経験が一度もないのよ。”よし、これをやって見よう。これでビジネスを作ろう”というね。でも、常に何かを作り上げたきたわ。

例えば、私は、ベルモント大学の学生時代、友人たちと、アイスホッケーチームを立ち上げたんだけど、これは、今でもとても優秀な女性のアイスホッケーチームになっている。以来、常に何かを始めて、何かを作り続けているわ。

ホフマン:彼女は、ニーズを認識した、それを解決しようとする。その対象が、ホッケーであれ、新しいテクノロジーの世界であれ。

ダイアンは、まだ彼女の周りの誰も気づく前から、テクノロジーのある重要なシフトが起きることを気付いていた。当時、彼女は、その変化に対して、自分がどの様な役割を果たすかなど全く検討もついていなかったけど、彼女のみている先は、誰よりも的確で、その嗅覚が彼女の未来そのものをその方向に向かって推し進めていくことになっていた。

彼女のこの大きな問題を解決する能力は、一定のマインドセットに由来していると言える。彼女は、金に固執しないし、名誉やプロダクト、もしくはリーダーシップのポジションにも固執しない。彼女は、とにかく、大きく抽象的なアイデアにフォーカスする。この手の問題は、往々にして学術界で扱われる様な、詰まるところ、ビジネスからは距離があるレベルの問題なんだが、この手の問題に対して商業化できるレベルの的確なテクノロジーを作り上げることができることこそ、彼女が、シリコンバレーで畏敬の念を持って評価されていることにつながっている。

 

ダイアンは、UCバークレーでコンピューターサイエンスを学んだ。彼女の夫のメンデルは、スタンフォードでコンピューターサイエンスを教えている。彼女達は、カップル同士がする様に、テニスやサルサのレッスンを一緒にしながら、研究も共同で行い、あるとき、とんでもない大きなアイデアを得る。

グリーン:彼と、一緒にメイフィールドのあたりのレストランだったと思うけど、朝食を取っていて、彼は、”これ、とても面白いと思うんだけど、どう?”と私にいった。というのも、大抵、この手の話をする機会がなかなか二人の間でなかったから。

ホフマン:これは、ダイアンにとって、とんでもない朝食となった。彼女は、コンピューター業界に激震を走らせる様なとてつもない巨大なアイデアを得た。どんなアイデアだったかって? 「サーバーの仮想化技術」だ。この話を聞いて、君がもし飛び上がらないのなら、どれだけすごいアイデアかってことを僕に説明させてくれ。

君が、メールの履歴を検索した利、ドキュメントを開いたり、アプリを立ち上げたりするとき、大半は、君のコンピューターが、サーバーからデータを受け取っている。20年前、このサーバーは、物理的なコンピューターマシンだった。しかしも、このマシンは、特定のコンピューターとしかデータのやりとりができなかったんだ。例えば、君がWindows OSユーザーなら、君のパソコンは、Windows OSフレンドリーなサーバーを必要とするということ。君のパソコンOSがUNIXなら、サーバーもUNIXが必要。UNIX、Windows、それぞれバラバラな隔離された世界になってしまっていた。そして、それぞれ膨大な保守の手間を必要としていた。レストランの世界に例えるなら、ITチームが、各サーバーごとに皿洗いや整理担当がいて、それぞれ作業をしていると行った具合だ。

しかし、想像して見て欲しい。もし、ある一つのサーバーが、あらゆるOSと自由にやりとりできる様なテクノロジーが会ったら?上の皿洗いや整理担当は一切不要になる。

これが、メンデルが彼女に提案したアイデアだったんだ。1つのサーバーで全てのサーバーとやりとりする仕組み。そして、何より、その実現のために特別なハードウェアは一切不要。全てソフトウェアで実現する。事実、VMWareは、数行のコードを既存のサーバーに追記するだけで、彼らをコントロール化におくことができる。そして、Mendelが、このコードの役割を説明した瞬間、ダイアンは、このテクノロジーは、サーバー間をOSとわず、自由にデータのやりとりができる世界に変えることができると考えた。全ては、「仮想マシン」を作り出すテクノロジーへとなっていく。

つづく。

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