マスター・オブ・スケール – VMWare創業者兼CEOダイアン・グリーンのインタビュー#4

ホフマン:ダイアンとメンデルは、すぐに特許を取った。起業家として、君は、まず、競争の原理を的確に理解しなければならない。その競争相手は、大企業とスタートアップの両方だ。もし、君が全く新しい市場を独力で作り上げていこうとしているなら、多くの人は、その考えは狂っているととらえるだろう。その通りだ。しかし、その場合、君には十分な時間が与えられることになる。しかし、もし、そこに競合がすでにきているというなら、その場合、多くは1つの競合であることはまずない。少なくとも5社、ないしはそれ以上の競合はすでにその市場にきているのが当たり前だ。

そして、それは、君のプロジェクトの成功確率が1/5になっていると考えるべきか? Noだ。むしろ、勝率はもっと悪くなっていると言っていい。なぜなら、そのうちの1社が成功することすらままならないからだ。君は、競走の火の海の中に放り込まれていると言っていい。そのうちの1社も、巨大な顧客ベースや人材プールにたどり着けないことの方が多い。投資家だってこう反応してくることがある。”うーん、君らのうちどれに投資すべきか?難しい判断なだな。ならば、そもそも投資しないことにしよう” っということも当然起きる出来事の一つだ。

だから、起業家として、君は、常に、潜在競合が君のその脇道のアイデアにくることについて目を光らせておく必要があり、そして、彼らから自分たちをいかに突き放すかについて迅速な手を打っていかなくてはならない。それはまさに、スタートアップにとって、生死を分けるレベルの話だ。

そして、ここにこそ、僕がダイアンをこのエピソードのインタビューにきてもらった理由がある。この競合環境を把握する能力においては、彼女の右に出るものはいない。僕は、彼女のこの能力は、セーリングの世界で培われたものだと理解している。そこで、その点について、彼女に尋ねた。

ホフマン:あたなは、セーリングで、ある大会のチャンピョンにもなったことがありますね。

グリーン:ええ、全米大会の女性部門のチャンピョンになったことがあるわ。470人の中の二番目。この結果は、オリンピックに出ることができる実績。私の父が、セーリングボートを持っていて、よく行ったわ。実は、2歳からセーリングに出ていた。セーリングのレーシングゲームの世界は、当時の私にとって全てだった。しっかり準備しなければ勝てない。ボートのチューニングも含めて。装備で常に競合に勝っているためにも、常に最高のギアを求めたわ。

そして、当然だけど、練習を積まなくてはならない。もし、チームでセーリングしているなら、チームワークは、相当の練度に到達していなければならない。レガッタのレースにも出たことがあるんだけど、12人で一つの船を乗りこなすレース。この場合は、走行プランを事前に入念に練る必要がある。

わかると思うけど、そこには様々な追うべきパラメーターがある。天気や風を読むのは当然のことで、それだけでなく、競合が常に周りにいるから、どのような競争展開が起きるか精密に予想していなければならない。

そして、レースがスタートしたら、全ては予想通りと異なる展開になることが大半。”あるチームメンバーをヘルプすべきか?このルートに本当にいくべきか?”などなど。 特に、風向きが変わった瞬間なんて特にそう。”待っている時間はないわ。今すぐ決断しなければならない”

だから、常にあなたは、周囲の状況について再評価し続けなければならないし、常に、その瞬間下した決断がよかったかどうかフィードバックをもらわなければならない。だから、私は、常に情報を得ながら、それを評価し、そして、それをもとに決定していくという鍛錬をセーリングをやる中で培ってきた。

ホフマン:つまり、あなたの話しているカニ漁とセーリングの間には、実は深い共通点があるということですね。ただ、重要なことは、その共通点をいかに咀嚼して統合的な活かせるかが、ポイントということですね。

 

グリーン:ええ、子供のころからやってきたことだから、私にとってはごく自然なことなのよね。天気を把握して、当然、それだけではない自然のもつ法則性も把握して、そして、現状を把握して、何より特定のエコシステムにおける競合環境をよく把握するということわね。

ホフマン:これこそ、VMWareがその創業初期から、ダイアンのこの能力によって獲得してきた成長の原動力だ。特許を取ったのち、当時、彼らはまだワシントン州のレッドモンドにいて、競争はまだ穏やかなものだった。VMWareの可能性に気づいているのは、ビル・ゲイツぐらいしかいなかった。

また、彼女は、彼女のアイデアについて、パーティの場で話すこともあった。例えば、ある友人が開催したパーティでの出来事について、彼女に話をしてもらった。

つづく。

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