マスター・オブ・スケール – スラック創業者兼CEOスチュアート・バターフィールドのインタビュー#2

ホフマン:僕は、レイド・ホフマンです。リンクドインの共同創業者で、GreyLockのパートナーであり、そして今日のあなたのホストです。僕は、ベンチャーにとって、失敗の崖っぷちから成功の道へと至るために「ピボット」することはとても大切なことだと考えている。しかし、条件が一つ。君の残り全てのビジネスを捨て去ること。

シリコンバレーにおいては、起業家は、この種の大胆なピボットを称賛する傾向がある。そこにチャンスがあると考えているからだ。彼らは常に前に進むことを考え、後ろは振り向かない。後になって、彼らは、それをカエサルのガリア戦記のように話をする。”来た、見た、征服した”と。しかし、実際はそんな単純なものではない。

ピボットを踏む世界は、一気に左ハンドルを切る以上のものがある。まず第1に、ピボットをする先にチャンスがある。しかし、君は、そこにきちんとナビゲートすることができるか? つまり、他のチームメンバーを説得して一緒に向かわせることができるか?

そして、君は、君の古いアイデアから完全に自分を切り離さなくてはならない。これは、とてつもなく難しいことだ。人間性に関わることだ。人間は、普通、古いアイデアを簡単に手放せたりはしない。君は、これに対して、当然、君の共同創業者や、君のスタッフや、そして、君の投資家、ユーザーからの相当のネガティブな反応を覚悟しなければならない。これは、ある種、君のリーダーシップスキルをテストする上で最も最適なケースとなるだろう。なぜなら、君のリーダーとしての信頼性そのものを厳しく評価されるからだ。君を果たして信用できるのか?

この理論については、僕は、ステュワート・バターフィールドに話をしてもらうことがベストだと考えている。なぜなら、彼は、過去、2つの尋常ではないレベルのピボットを見事やり遂げているからだ。彼は、2度、ゲーム会社を起業して、二つとも、ゲームチェンジャーとなるコミュニケーションプラットフォームを作るためにピボットを踏んだ。一つは、写真シェアリングのパイオニアであるFlickr、もう一つは、チーム間のコミュニケーションプラットフォームであるSlackだ。信じられないと思うが、この二つのプロダクトともにオンラインビデオゲームの中から生まれた。

まず、この話は、ちょっと飛躍した話に聞こえるかもしれない。しかし、ステュアートの話を聞くと、納得感がある。一つ知っておいて欲しいのは、ステュアートは、ビデオゲームは好きだ。しかし、彼は、”超好き”というわけではない。

バターフィールド:僕はゲームは好きだけど、自分のことをゲーマーだと思ったことはない。まず、ゲームコンソールとかは買ったことがない。大抵、楽しむゲームと言えば、iPhoneアプリのゲームなど、手軽に遊べるものが多い。

ホフマン:彼は、ボードゲームやカードゲームなど、みんなで集まって楽しむオールド・スタイルのゲームが好きだ。そして、彼は、このゲームUXをビデオゲームの中に持ち込みたかった。その上で、ステュワートについて、君たちに一つわかっておいてもらいたいのは、彼は、コミュニティ活動の経験がとても豊富だということ。

ということでまずはその話から始めよう。

ステューアートは、カナダにある漁業の村、Lundで育った。101ハイウェイをずっと北に行ったところにある村だ。その通り、”Lund: 101の終着点”であり、”Lund: 101の出発点”なんだ。Lundの住民は、オープンマインドな人が多い。

Lundは、19世紀の後半に入植活動が始まり、1960年代には、アメリカのヒッピーたちが住むようになった。そして、ちょうどその頃に、ステュアートは生まれた。彼の生誕名は、なんと、「ダルマ」。彼は、12才のときに、ステュアートと名前を改めた。僕の知る限りは、ステュアートは、ヒッピーとしてのライフスタイルをとんとん拍子で歩んで行ったように見えるのだけど、その過程について彼に聞かなければならない。

ホフマン:君は、君の両親と水道もないログ・キャビンに数年一緒に住んでいたわけだけど、その経験がが、自分を起業家として形作ったと思うかい?

バターフィールド:”水道もない。電気もない”生活が、かつてのアブラハム・リンカーンのように、僕が何かを人生で成し遂げたいと思うような人生を歩みたいと考えることに影響を与えたと、とらえることもできなくはないと思うけど、僕自身、それが実際のところ確かなものかどうかわからない。

ホフマン:つまり、彼は、自分がアブラハム・リンカーンのようになれるとは思っていなかったかもしれない。しかし、ログ・キャビンでの生活は、彼に世の中をある角度から見る目を養った。それは、彼のゲームに関する考え方で、どうやって人々を集めてくるか?という能力だ。

バターフィールド:僕の父親は、ブリッジというカードゲームをするのが大好きだったんだけど、コンピューターでそのゲームをすることは嫌っていた。コンピューター相手にゲームをしてもつまらないと考えていたんだ。同時に、彼は、いつもの同じ三人を、彼の家に、なんの目的もなしに集まってもらうということもしなかった。父親は、その三人をブリッジをするために集めて来たんだ。そして、そこにマジックがあった。それは、ある意味、君の脳のトレーニングになると思うけど、仲間意識を作ったり、トラッシュトークをしたり、そこに一定以上の競争があった。

つづく。

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