マスター・オブ・スケール – スラック創業者兼CEOスチュアート・バターフィールドのインタビュー#6

 

ホフマン:Glitchのチームは、成功する要因を全て備えているように見えていた。そして、スチュアートは、17億円を調達し、4年の歳月をかけて、45人のチームでGlitchを世に送り出した。Glitchは、1万人程度のユーザーファンを作り出すことができたが、プロジェクトとしては失敗していた。

バターフィールド:この時点で、僕は、Glitchが、商業的に成立するプロダクト出ないという感触を得ていた。とてつもなく少数のユーザーにだけ刺さっていた。このユーザー達は、週に20時間以上プレイしてくれて、本当、質の高いコミュニティだった。しかし、大半のユーザーは、97%がサインアップ後、5分で離脱していた。

ホフマン:Glitchは物凄い勢いで資金を消費して行った。スチュアートは、またも起業家としてライフラインが必要になった。

バターフィールド:最後の18ヶ月は、もう実験の連続で、”この機能を実装したら、どうか?これも試してみないか?”という具合だった。

僕らは、ユーザーの注目を集めることに対してはかなり得意だった。メディアからは高い評価をもらっていて、かなりの記事が流通していたからね。ただ、何か上手く行ってないだけで、次の一手でどうにかなるのじゃないかといつも考えていた。

ホフマン:スチュアートの言葉を聞いただろう。彼は、この時点でまだなんとかなると考えていたんだ。彼の言葉は、正に、多くの起業家が、心の中で自問自答する言葉の一つだ。

後になって、成功する起業家は、自らが実行した大胆なピボットの逸話についてよく話をする。ただ、多くの場合、創業初期時点のしくじった事実や過ちを置き去りにして話をする。実際、多くの起業家は、事業の足場を見つけるまで、多くのピボットをやる。ときに、君は、そこから成功の道を見つけることもあれば、できないこともある。

バターフィールド:ある晩のこと、僕は自信を失った。15ぐらい考えぬいた最高のアイデアを試したけど、事態は改善せず、16番目のアイデアでどうにかなるとは思わなかった。

ホフマン:ステュアートは、この数字が自分に何を伝えようとしているのか分かっていた。彼は、人生の2度目のチャレンジで、プロダクトをたたんで、チームを解散しなければならないと考えはじめていた。

バターフィールド:本当に辛かったよ。だって、CEOの仕事っていうのは、この世界を変えるようなことを実現するストーリーを考えて、優秀な人を集めるんだ。同じように投資家も説得する。メディアに対してもそう。将来的なチームメンバーもそうだし。顧客もそうだ。

それで、その人を説得して、チームに入ってもらい、そのために彼らの仕事をやめてもらって、株をわたす代わりに、安い給与でガマンしてもらって、一緒に頑張る。それが、結果的に何もワークしない状態になってしまう。

ホフマン:スチュアートは、資金が切れる前に、Glitchを解体しようと考えた。

バターフィールド:取締役会での投資家との対話は、かなりしんどいものだった。彼ら自身、このプロジェクトを続けて欲しいと望んでいた。共同創業者との対話も同じだった。彼らも続けることを望んでいた。

僕らは、一連のことについて話をして、そして、全体ミーティングを開いた。会議室に入ると、いつも違っていて、何も事前に伝えてなかったけど、部屋はピリビリした空気で張り詰めていた。それで、僕は、第一声も上手く言えなくて、泣きそうになってしまった。

僕は、一人のチームメンバーだけを見ることにした。彼は、ちょうど3ヶ月前に、バンクーバーから僕らと仕事をするために引っ越してきたばかりだった。彼には、18ヶ月目の男の子と2歳の娘がいた。バンクーバーで家を買ったばかりで、その彼に、もう仕事がなくなってしまうということを伝えなければならなかった。

つづく。

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