マスター・オブ・スケール – InterActiveCorp会長バリー・ディラーのインタビュー#7

 

ホフマン:ここで改めて、リスナーのみんなに強調しておきたいことがある。多くのCEOが、無限に学び続ける人々だが、それは同時に、彼らが、急激に興味を失うことも意味している。この点については、Crisis Text Lineのナンシー・ルービンの言葉から引用しよう。

ナンシー・ルービン:私は「有事のCEO」なのよ。一つ物事が上手く進むようになる、つまり、平和のときが訪れると、私はとたんに退屈になってしまう。そうなったら、次のプロジェクトに進む。

ホフマン:ナンシーもバリーと同じタイプだ。

ディラー:僕は、難問に挑んでいるときほどエキサイトするんだ。ただ、一旦、出来上がってしまうと、そこから興味を失ってしまう。

ABCのマネージャ達は、僕をTVシリーズの担当に昇格させたんだけど、それは、正に従来型のTVコンテンツそのものだったから、僕は、興味が持てず、完全に失敗した。

なんでかって、僕にとって何の学びもないからなんだ。そう言うものに対しては、もはや、僕は、睡眠状態だ。そのような事業対象については、僕は全く能力を発揮できない。

ホフマン:強みと弱みは、ある種、表裏一体と言えることがある。無限に学び続ける人材にとって、一旦、退屈な状況になると、彼らのパフォーマンスは劇的に低下する。これは、僕の場合も同じだ。端的に言って、僕は、雇われる立場としては、全くもって”悪い被雇用者の代表格”と言えた。月曜から金曜まで、毎日、オフィスに行って、同じデスクに座って仕事を続けるのは、退屈で仕方がない。僕は、自分のパフォーマンスなど全く気にもかけなかった。僕は、常に、チャレンジし続ける状態を好んだ。だから、学び続けられる仕事を選んだ。それがない仕事には、すぐさま集中力を失ってしまう。バリーの場合は、それがなおのこと激しい。一旦、その状況になってしまうと、彼の脳は思考停止になってしまう。

ディラー:気質によるものだと思うが、僕は、「得体のしれない対象」に対してのみ興味を持つんだ。僕が、理解ができない対象に対して、過去の知識や経験を応用しながら、それを理解しようと努めるプロセスを続ける中で、僕は、いい仕事ができるタイプだと思う。

ホフマン:僕も、彼と全く同じ経験をしている。たとえば、僕が富士通でプロダクトマネージャをやっていたころは、いい従業員亜だっと思う。しかし、一旦、PMとしての仕事を全てこなせるようになってしまうと、一気に、集中力が切れた。その問題を解決するため、僕は、毎日、大量のコーヒーを飲んでいた。

この経験も踏まえたアドバイスは、毎日、大量のコーヒーを飲まないと集中力をキープできなくなった場合、その仕事はもう離れるよいタイミングだということだ。そして、バリーの場合、幸運にも、彼の友人が、彼に次のチャレンジの話を持ち込んできた。

ディラー:そのときは、31か32歳だったかな。パラマウント社オーナーのチャールズ・バラドーンに声をかけられたんだ。彼は60年代から70年代にかけてのアメリカの工業界をリードした人物で、彼が、パラマウント社を買ったんだが、僕は彼のことを知っていた。なぜなら、僕が彼からパラマウント社の映画の版権を購入したからね。彼は、パラマウント社を買った後に、ABC社に映画の版権を売りにきたんだよ。その際に、僕は彼に、”パラマウント社の映画はどれも酷いものばかりだ。買わないよ”と答えた。といいながらも、僕と彼は、本当に素晴らしい人間関係を築いて行った。そして、7年ぐらい経ったときに、”パラマウントにこいよ。ここでTVコンテンツの事業をやらないか”と言われた。その時点では僕は、”いや、そのオファーは受けられないよ。TVはやらない”と答えた。

ある日、彼は僕に電話してきて、”パラマウントに、取締役会長兼CEOとしてこないか?”と行ってきた。映画制作会社の経営なんかやったことがない。これには興味が湧いた。だから、この話に乗ることにした。そして、今度は、僕は映画業界で、”逆張り派”としてやっていくことになる。

つづく。

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