マスター・オブ・スケール – InterActiveCorp会長バリー・ディラーのインタビュー2 – #3

 

ホフマン:マッチドットコムは、大型デートアプリの第1号になった。しかし、バリーはここで止まらない。バリーは、オンライン・マッチメイキングのあらゆるジャンルを抑え、さらにそれ以外のオンライン事業にもカテゴリを広げた。以下が彼が経営する会社の一覧だ。

Match.com.

Tinder.

OKCupid.

Plenty of Fish.

BlackPeopleMeet.

Expedia.

TripAdvisor.

UrbanSpoon.

Vimeo.

Ask.com

The Daily Beast.

College Humor.

Daily Burn

Dictionary.com

Angie’s List

つまるところ、多くの人にとって、彼のもつ会社のサービスを使わずにインターネットを使うこと自体が難しいと言うのが現状だ。

しかし、一つ疑問が浮かぶ。インターネット業界にはたくさんの会社がある。IACがどれを買うべきでどれを買わないべきか?バリーはどう判断しているのか。彼にそのことについて尋ねた。

ホフマン:あなたは、どうやって、そのインターネットの巨大な空白ページを埋めていくプロセスを作っていったのですか?

ディラー:最高のものは常に一番目にくると言う感覚で見ているが、それ自体も常にリセットするつもりで、絶えず、オープンな感覚でいる。けど、たまに、四番目や五番目のものでも、”いいね、これこそ僕らがやるべきものだ”と言うのが出てきたりする。実際のところ、世の中で全てを把握している人などいない。それは僕も含めてね。だから、そのような感覚で世の中を見ている。しかし、数は少ないけど、多くのことを知っている人はいるわけで、僕らは、彼らのような人材をテコに自分たちの専門領域を構築しながら、プロダクトポートフォリオを拡充して行っているんだ。

だから、全然的な進め方は、とても自然だ。自分たちでビジネスを立ち上げることもあれば、いろいろなステージの会社を買うこともある。このようなやり方に慣れていっている。

ホフマン:会社を買ってから、どうやってそれを上手く回すかを考える、これは結構、リスクの高いゲームだ。とたんにこのポートフォリオの運営が機能しなくなることは想像に難くないだろう。しかし、バリーには、圧倒的な強みがある。それは、彼自身、この彼のポートフォリオ企業にとっては新参者なんだ。実際、みんなもそうだけど。この言葉、覚えているかい?

ディラー:僕は、常に、自分も含めて、あらゆることを理解している人はいないと言う前提に立って考えている。

ホフマン:この言葉は、非常に意味深い。まず、第一に、彼は、他の誰よりも、これらのポートフォリオ企業を経営するノウハウを長く構築してきて、そして、成功させてきた。

そして第二に、彼は、自分が何を知らないかを知っている。この哲学が、彼を常に、初心者のマインドセットを持たせることに通じている。常に新しいアイデアに心を開き、好奇心を持ってのぞむ。

そして、最後に、彼は、自分が、生涯、学び続ける人であることに対して自信を持っている。この自信は、フェイクでありようがない。なぜなら、自分で、自分は、無限に学び続ける人であるなど宣言することができないからね。学び続ける人であるならば、君は、常に、無数にある産業の中から、自分が賭ける対象を決める前に、深く学び続けることと、高速に学ばない領域を見極めることが求められるからだ。もし、君が、ビジネスはこう回すべきと言うような先入観を多く持ちすぎると、それ自体が、君にとっての負債となる。

ディラー:知れば知るほど悪くなっていくと言っていい。事実、単純な疑問として、知ろうとすることはいいアイデアなの?ってこと。

既存の会社、買った会社のことだが、その会社を知るために、多くの時間を費やして、学びすぎてしまうことで、頭が回らなくなってしまう。実際、僕はこのような状態を僕の会社で何度も見ている。

後知恵は後知恵なんだよ。しかし、一年や二年経過して、”何が悪かったか?”と振り返る。当然、うちの会社にもアナリストのチームがあるから、それが彼らの仕事なんだが、データに便りすぎることで、いいアイデアを潰してしまう。結果、誤った方向に会社が向かってしまう。

ホフマン:これの話をしている、まさに”ベンチャー”ステージのまだ未熟な会社に大きなリスクを追って投資するときの瞬間を思い出させる。当然、僕らのチームの中にもアナリストやデューデリチームがいて、僕らのスタートアップ創業者としての死にそうな経験とそれらの分析を合わせていく中で、正直、投資すべきかどうか見えなくなってしまう。

しかし、重要なことは、結局、僕らは無限に学ぶ人材であると言う姿勢が取れていないってことで、もっとシンプルにとらえるなら、僕らは、自分以外の他の無限に学び続ける人材に投資するビジネスをやっていると言うこと。僕らは、信用しているのは、その厄介な未知の世界を学び続けることができる起業家。詰まるところ、そのビジネスに関わるリスク全てを学ぶと同時に、それらを全く無視すると言う矛盾した行為が求められると言うことだ。

つづく。

関連記事