マスター・オブ・スケール – InterActiveCorp会長バリー・ディラーのインタビュー2 – #5

 

ホフマン:ここに、IACが、この言葉に表現しがたい奇妙なビジネスモデルを成立させているポイントがある。詰まり、バリーは、買収したそれらのオンライン・デート、トラベル、ニュースメディアなどのビジネスを理解する段階に達すると、それらの会社をICAが独立させる。たとえば、2008年だけで、IACから、Home Shopping Network、Ticketmaster、そしてLending Tree.comが独立した。

 

IACは、要するに、コングロマリット企業ではないのだ。多くの人は、この点を正確に理解はしてくれない。言い換えるならば、IACは、インキュベーターのような存在で、巣立つタイミングは、バリーがその企業に対する興味を失ったタイミングと言う仕組みだ。だから、IACのポートフォリオは、バリーの学びたい意欲、学ばない意欲の2つの意欲の間で変化していくわけだ。

 

ディラー:僕らは、過去、合計で9社のスピンオフを実施した。だから、ICAは、正にインキューベーターとして機能していると言える。

 

ホフマン:一つクリアにしたいのは、これだけの数の企業をポートフォリオ管理できる人はまずいない。そして、彼は、会社を買収する際に、きちんと素晴らしいリーダーを連れてくる、そして、そのリーダーの気質は、彼と同じ、無限に学び続けるタイプの人だ。通称、”ディラー殺し” と呼ばれる人物たちだ。ドリームワークス元CEOのジェフリー・カッチェンバーグや、コロンビアピクチャーズ元ヘッドのダウン・スティール、そして、ウォルト・ディズニーの元CEO、マイケル・アイズナーなどだ。

 

彼らは、またテック企業をリードすることもできる人材だ。例えば、Uberが、スキャンダルで、共同創業者で元CEOのトラビス・カラニックが降板することになった際、新たに指名されたCEOは、ディラー殺しの一人、ダラ・コスロウシャヒだ。

バリーの元からは本当に素晴らしいリーダーが生まれてくる。彼は、シンプル哲学に基づく、未来のリーダーを育てる能力にかけては、右に出るものがないと言うほどだ。

ディラー:一言でえば、その人材がバカか頭がいいかなどはどうでもよく、シニアレベルのポジションを雇おうとしているなら、それ時点で間違いだと言うことだ。

ホフマン:この言葉は、僕にとっては予想外だった。さらに詳しく彼が話してくれる。

ディラー:みんな僕のスタッフから育てるんだ。だから、僕は、全く経験のない若者を雇い、育てる。

だから、僕が常に信条としているのは、自分の組織に、若く経験のない人材を登用する。この登用方法は、時々ワークするときもあるし、そうでないときもある。

ホフマン:君は、こんな人材採用方法は、HRのマニュアルで見たことがないだろう。

 

ディラー:君が、誰かを水の中に落としたとき、君は、彼らが溺れる様をみるだろう。しかし、しばらくすると、彼らはゆっくりと水面下に上がってきて、進み始める。

ホフマン:君がもしバリーのこの表現が誇張していると思うなら、ディラー殺しの一人の例を紹介しょう。UberのCEOであるダラ・コスロウシャヒだ。

ディラー:ダラ・コスロウシャヒは、僕らの会社の一つAllen & Companyのジュニア・アナリストだったんだ。けど、僕は、彼をある会社のCFOに抜擢した。もちろん、彼はCFO業務の経験はゼロだ。

ダラ・コスロウシャヒ:全くバリーの言う通りだよ。正直、仕事内容は、さっぱり分からなかった。

 

ホフマン:これは、ダラ自身だ。

ダラ・コスロウシャヒ:当然、監査委員会との仕事の仕方も分からない。僕の会計スキルはお粗末なものだった。けど、バリーは、常に、僕らのような若手にチャンスを与えて、そこからはい上がってくるか、落ちていくか見極めるんだ。

つづく。

関連記事