マスター・オブ・スケール – InterActiveCorp会長バリー・ディラーのインタビュー2 – #7

ホフマン:バリーは、新しい事業を育てると同じように、新しい人材を育てることができる。開かれた心をもち、常に迅速に物事に反応することができ、偏見を持たないことで。ダラは、バリーほど、授業員の心を的確に読む人物に出会ったことがないという。

ダラ:バリーの、従業員との対話の仕方は、本当にユニークだ。彼は、本当にあらゆる角度で確認を入れてくる。彼は、データから直接その背景を読み取ろうとするし、高い忠誠心を求めてくるし、何より、本当に僕が今まで出会ったことがないほど、従業員が関わっている事柄に対して、粒さに理解してくる。

ホフマン:バリーのこのヒアリング能力、つまり、全ての事柄に対して、学び続ける、またはあえて学ばないなど、ビジネスにおいて、最も本質的なことかもしれない。市場は変化するし、テクノロジーも変化する、ユーザーのライフスタイルも変化する。しかし、従業員ほどは大きくは変化しない。

5つのテック企業のCEOを勤めた経験があり、Date to Disagreeの著者でもあるマーガレット・ヘッファーマンは、最高のリーダーは、全人材に対して、自分の中で予め定めた杓子定規で、人物を見極めるということを決してしないと言っている。それは、彼女は、人材というのは、関わっている環境次第で、上り調子であることもあれば、下降気味になったりすることもあるということをわかっているからだ。真のリーダーは、従業員が出してくるサインから、今の事業環境が正しい方向に向かっているのか、それとも間違っている方向にあるのか、常に学び続けている。

マーガレット・ヘッファーナン:私たちは、よく人材の選別で大きな過ちを犯す。スター選手とそうでない選手に分けてしまうという行為。どんな人材でも、最適な仕事を提供すれば、その人はスターになるという考え方が大切。つまり、キャスティングが重要ということ。映画と同じで、ある映画で脇役として能力を発揮した俳優が、別の映画では主人公としてハマることもある。つまり、あそこで能力を発揮できなかったから、ここでも同じだろうと考えてはいけないわ。

また、完全無欠なリーダーも存在しない。バリーもそうだし、映画監督のスティーブン・スピルバーグだって、どうしようもない映画を作ってしまうこともあるし、スティーブ・ジョブズだって、会社を間違って経営することもあった。だから、大事なことは、自分がスーパースターかそれとも下っ端の人間かなどカテゴリを決めてしまわないこと。

常に、仕事内容に対して、自分が最適な人材か?を考えることが大切ということ。

ホフマン:バリーも、当然、適材適所の人選能力にかなり長けているリーダーだが、それでも、一つ避けられない最重要のチャレンジがある。それは、どうやって、その深い海の中に身を投じても這い上がってくることができる人材を常に見極めるか?ということ。

厳しい現実は、これは本当にほぼ不可能ということだ。たとえば、バリーが、ExpediaのCEOとして、ダラを失うことになった時、つまり、ダラがUberの新CEOになることになったとき、彼は、Expediaの全従業員に、このようなメール文を送った。この文章は、特に、僕の心の琴線に触れた内容だった。

“もし、ダラが本当に僕らの元を去ることになるなら、それは、僕にとっては、本当に大きな喪失感を与えるものだけど、同時に、素晴らしい祝福でもあるんだ”と。

人材に関して、君が学ぶべきポイントは正にここにあると言える。僕は、バリーのこのメッセージには何の異論をもつこともできなかった。ただ、あえて付け加えたいことがある。

つづく。

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