マスター・オブ・スケール –Zyngaの共同創業者マーク・ピンカスのインタビュー – #9

ホフマン:この話は、データのもつ意味を理解し続けることがいかに大変なことかを的確に表現している。データモデルの標準化は、専門家にとっても落とし穴が多い作業なんだ。しかし、その努力は取り組み続ける価値がある。なぜなら、正しいデータモデルに辿りつくことができたら、自分の直感やアイデアを的確にテストしていくための強力なツールになってくれるからだ。そして、これこそがマークがチームに求めたことだった。彼は、チームのこれらのデータと格闘するように指示した。

ピンカス:このデータ標準化を通して、僕らのチームは、共通のメトリックスで、共通のテストを実施し、かつそれを他のチームに瞬時にシェアする仕組みを整えて行った。

ホフマン:彼らは、その寄せ集めのデータの中から、貴重なインサイトを得るデータ貯蔵庫を作りあげて行った。彼らのチームは、ユーザーが最後のクリックから何をしているのか分析し、ユーザーが何を求めているのかデータから正確に把握できるようにして行った。そして、それらの発見は、Zyngaの他のチームに瞬時に共有できるようになっていた。

これは、理論的には素晴らしいのだけど、数十のプロダクトチームが、何百というアイデアを毎日テストしている状況を想定すると、とてつもなく莫大なデータと格闘しなければならなくなる。そして、マークは、この仕組みを実現するために、全く持って非常識な採用方針をとった。他の多くのゲーム会社が、プロダクトマネージャやゲーム開発者を積極採用する一方で、Zyngaは、大量のデータ分析ができるエンジニアを採用し始めた。これは、まさにZyngaにとっては大きな賭けとなった。そのターゲットにしたゲームタイトルこそ、Farmvilleだった。しかし、マークは、このデータドリブン型の開発に賭けることこそ、競合に対して圧倒的な優位性の獲得することにつながると考えていた。

ピンカス:僕らは、競合が、Google Analyticsレベルの分析ツールしか使っていなかったときに、全クリックデータを収集して分析する仕組みを強力に押し進めた。周囲からは、馬鹿げていると散々言われていた。”Zyngaは、50名のチームサイズで、10人ものエンジニアにデータ分析をやらせている。300人のサイズに成長したと思ったら、20もしくは50人のエンジニアにデータ分析をやらせている”とね。周りから、データ分析に過剰投資しすぎていると言われていた。

ホフマン:彼らは、そう長くは、”バカ”とは業界関係者から言われなかった。やがて、このZyngaのアプローチが、圧倒的な成功を納め始めたからだ。一方で、伝統的なゲーム会社は、このZyngaのやり方にほとんどついてくることができなかった。

ピンカス:創業者や起業家にとって、取り組んでいる事業において、最も嬉しいことの一つが、始めた当初は、誰も信じてもくれないし、見向きもしてくれなかったことが、やがて、彼らが必死になって僕らに注目してくるようになったときだ。

つづく。

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