マスター・オブ・スケール – Crisis Text Lineの創業者兼CEOナンシー・ルービンのインタビュー#5

 

ホフマン:ナンシーの自分の周りにある全てのリソース、それは新人社員も含めて、上手く活用するというスキルは、スケールさせる能力をもったリーダーとしての隠れた強みと言える。このナンシーのリーダーシップによって、DoSomethingは、新たに500万の10代の会員を獲得した。それから、彼女は、新たな大胆な試みを開始した。Crisis Text Lineという彼女にとって三つ目のNPOの立ち上げを開始したんだ。しかも、DoSomethingの仕事を続けながら。

ルービン:フルタイムジョブを2つ同時に抱えるのはあんまりオススメできないわね。

ホフマン:ナンシーが、この非常に重要な仕事を二つ同時にやっていることを楽しんでいないことに注目して欲しい。しかし、君には、同時に、彼女のこのモティベーションも理解して欲しいんだ。要するに、彼女は問題を知覚したら、すぐに解決に動くということ。問題が大きければ大きいほど、それに対する解決策が具体的であればあるほど、彼女は、よりその問題をすぐに解決したいと考える。

彼女の、ちょっとこのCrisis Text Lineを同時に立ち上げようとした無鉄砲さは、ある10代の子からのテキストメッセージだった。見ての通り、DoSomethingでは本当に全てのコミュニケーションをテキストメッセージでやっている。もちろん、ボランティアメンバー側もテキストで返信している。全てのキャンペーンで、善意と勇気が解き放たれていく。しかし、そこに必ず、数人の10代の子たちが、助けを求めるメッセージを送ってくる。

ルービン:そう、20数通ぐらいのメッセージには、必ずこういう内容があるの。”イジメられている”や”親友が麻薬中毒になってしまっている”など。だから、私たちは、その重症度を判断しようと考えた。

ホフマン:ある日、ナンシーは、頭から離れないような深刻なメッセージを受け取った。それは、DoSomethingのキャンペーンを実施中にあった一つの返信だった。

ルービン:そのメッセージにはこう書かれていたわ。”彼が、私のことをレイプすることを止めないの。彼は、私のお父さん。彼は、他の誰にも言っては行けないというの”、そして、”私の話を聞いてる?”

分かる? あなたは、CEO。誰かが、あなたのデスクにきて、”この問題は一体どうしたらいいか分からない”とくる。ボディブローを食らったような感じよ。本当に恐ろしいと感じたわ。本当に人間がやっていることだと信じられない。この問題をDoSomething内にどうやって共有すべきか?だから、その答えとして、私たちは、Crisis Text Lineを立ち上げることにしたのよ。本当に彼女のために。

ホフマン:ここにこそ、「度胸」の源泉がある。君は、ミッションを持たなくてはならない。そう強力なね。だからこそ、それはまるで、君が霧の日に地雷群の中を歩いていくような世界だ。靴紐をしっかり結んでいないと命に関わる。

だから、ナンシーは、Crisis Text Lineを、アメリカ国内で起きている様々なこのような隠れた社会問題のホットラインになることを描いた。10代の子達が、匿名で電話を通じて、このようなことを正直に話すことができる空間を作った。

ナンシーは、DoSomethingの運営予算の一部を、このCrisis Text Line用に取っておくことにした。DoSomethingは、すでに、企業からの寄付で年間6億円の予算を確保できていた。

ルービン:私は、寄付してくれている企業の取締役会に行って、”ここに来たのは、Crisis Text Lineを立ち上げるため”と告げた。だから、DoSomethingとのブランドの誤認を避けたいと考えた。DoSomethingは、希望のある世界で、ボランティア活動に幸せを感じて欲しいための存在。一方、Crisis Text Lineは、全く別のもの。危機に陥っている子を救うためのもの。

それから、長くこの二つのことを一緒にやっているわ。思ったよりもずっと大変だった。なぜなら、2年間の間、Crisis Text Lineを立ち上げるための資金調達を続けることになったから。

とにかく、資金調達のために電話を続けたわ。私の友人の一人が、”私のオフィスに毎日1時間来て、そして、私の名刺ボックスを調べて”と言ってくれて、そのちょうど3周目ぐらいのころ、電話口で5分ぐらい、Crisis Text Lineについて話をしたら、彼が、”分かったよ。話は理解した。500万円寄付する。私は君と会う事はないと思うが、このお金を有効に使って欲しい。そして、私の寄付は匿名にして欲しい”と。

私は、彼のことを、Mr.Xと呼んでいる。けど、もう名前を明かしていいと思うわ。彼の名前は、Peter Bloom、DonorsChooseの会長。彼は、Crisis Text Lineのような社会を変えていくアイデアに、何の見返りも求めず投資することを続けている人物。本当に素晴らしいと思う。

そして、このお金があったお陰で、Crisis Text Lineの話は現実になった。私は、CTOとチーフ・データ・サイエンティストを雇うことができた。予算は500万円だけだったけど。だから、彼らを長く雇い続けることはできない。だから、残りの予算を獲得するためにまだ動き続ける必要があった。

つづく。

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