なぜ、沖縄に、東アジア最大規模の米軍基地があるのか?

最近、ますます米中関係の緊張感が高まってきているため(まあ、原因の大半は、トランプ大統領の言動にあるのですがw)、この点について、きちんと触れておこうと思います。

答えは、「台湾」を守るため。

です。中国は、台湾を「国家」としては認めていないことはよく知られていることですね。だから、中国は、台湾の国連加盟に反対しています。国家ではないというのがその理由です。

しかし、日米やヨーロッパ諸国は、台湾を「国家として認めるべき」と中国に伝えています。この背景を理解する上で、簡単に、台湾=中華民国の設立経緯についてウィキペディアからの抜粋をまとめておきます。

From Wikipedia – 台湾は、東アジアに位置する島嶼(台湾島)、中華民国の通称、あるいは台湾島を中心に定義される幾つかの地域としての名称である。

1945年、当時台湾を統治していた日本が第二次世界大戦に敗れたことを受け、台湾は澎湖諸島と共に当時中国大陸を本拠地とした中華民国の施政下に編入され(台湾光復)、中国の一地方となった。1950年、党国体制を採る中国国民党の国共内戦敗北で中華民国が中国大陸と海南島の国土を喪失したため、台湾は中国大陸から移転した中央政府(台湾国民政府)所在地、かつ1955年以降も中華民国が実効支配する地域(台澎金馬)で面積の99%以上を占める事実上の本土となった。

少し、上の話を噛み砕いていうと、まず、台湾は、元々中国(当時は清王朝)の属国であったのですが、日本の帝国主義時代に、一旦、日本の統治下に入ります。そして、その後、日本が、第二次世界大戦で敗北したことを受けて、元の中国の領土に戻るわけです。しかし、この当時は、清王朝は滅亡していましたから、中国国民党率いる中華民国の統治下に入ることになります。

そこで、更に、新たな混乱が発生します。中国国内における内戦ですね。正確には、米ソの冷戦の延長と言っていいです。当時の中国国内の政治勢力は二つ。蒋介石率いる中国国民党と毛沢東率いる中国共産党でした。第二次世界大戦中は、対日本との戦争で、この二つの勢力は、一致団結し、「国共合作」という形で、共同戦線を構築して戦います。

しかし、第二次対戦が終わると、共通敵がいなくなってしまったことを受けて、民主主義路線を行く中国国民党と、共産主義路線を行く中国共産党では、国家運営に関する考えが真逆ですから、対立することとなり、内戦が発生します。中国国民党はアメリカから支援を受け、中国共産党は、ソ連(現在のロシア)から支援を受けて、闘うことになります。

そして、結果的に、国民党は敗北します。それで、敗北した国民党の人々はどうしたか?というと、台湾に逃れて行くのですね。そうして、台湾に、中華民国が成立します。

それで、なぜ、「一つの中国」という話が、中国政府側から出てくるかと言えば、要するに、この内戦がまだ終わっていないという話です。台湾は中国の一部であったが、国民党が内戦の流れで、臨時政府を台湾に樹立した状態。というのが中国政府側の解釈です。

ただし、台湾に拠点をもつ中華民国側は、内戦は既に集結しており、お互い別の国家としての道を歩むべきという考えです。

だから、話が決着していないのですね。

そして、これが、米国が沖縄に、東アジア最大の軍事拠点を維持している理由に直結しています。当然、軍事機密情報ですから、どの程度の戦力が保持されているかの正確な情報が出てくることはありません。が、基地の規模から見て、東アジア最大であるというのはよく知られていることです。

目的は、仮に中国が軍隊を動かしてきたときに、「台湾を守るため」です。台湾は、民主主義国家です。だから、同じ民主主義国家のアメリカは台湾を守ります。だから、台湾に最も近い沖縄に最大規模の軍隊をおきます。これが、他の日本の地域では、全く意味を為しません。なぜか?

「中国軍の動きに間に合わないリスクがあるから」です。以下は、台湾周辺のGoogle Mapの地図です。

 

赤いフラッグが立っているのが、台湾です。すぐ左横には中国本土があるわけです。台湾の少し下には、フィリピンがあります。フィリピンも、米国軍が駐留しており、政治的にもアメリカの影響を強く受けています。沖縄と同じです。ただし、細かい話でいうと、台湾の政府機能がある台北からの距離は、フィリピンよりも沖縄からの近い上、沖縄は台湾の横に位置している一方で、フィリピンは、台湾の裏側にあるので、正面からくる中国軍に対しては、横に位置している沖縄から軍事力を展開した方が、中国の台湾に対する軍事活動をすぐに抑止できます。これは、いわゆる「地政学」にも関わる話です。詳しくは知りたい人は「こちらのブログ」を参考にしてください。

以前、小泉政権時代に、沖縄の米軍の一部、海兵隊を地図の右下にあるアメリカ領の「グアム」に移動させるという話が当時のブッシュ・ジュニア政権との間で持ち上がりましたが、結局、いろいろな理由がついて話は消えました。ただ、僕にしてみると、そもそも米側は本気で移動させる気はないと思っていました。理由は、「台湾から遠すぎるから」です。

軍隊の移動時間が長いほど、兵士の疲労も増え、補給路の維持にもコストがかさみますから、近くの沖縄やフィリピンから即戦力を展開できるというのが、戦略拠点として非常に重要だからです。

では、だったら、アメリカは、台湾に軍事基地をもてばいいじゃないか?と考える人もいるでしょう。そんなことは、国際政治学上、ありえない判断です。そんなことをすれば、中国政府は、「アメリカが中国領土の一部に侵略した」と主張して、間違いなく軍事行動に出てくるでしょう。なぜなら、中国政府は、台湾を国家として認めておらず、中国領土の一部と考えているからです。

アメリカ側もそれをわかっているから、中国側を過度に外交的に刺激しないために、台湾には米軍基地を持たないのです。

台湾の人々の意識は着実に変わってきている

そして、その上で、もう一つ知っておくべきは、台湾の人々のこの問題に対する捉え方ですね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE

これも、ウィキペディアからの抜粋ですが、国立政治大学の定点調査でわかっていることとして、世代交代と共に、自分達は、「台湾人」であると考える人が増えてきているということです。そして、自然、自分達が中国人であるという意識も薄れてきています。基本的に、政治は世論で動くものですから、毎年この数値が上がっていることを踏まえると、いずれ、中国政府側もギブアップしなければならない時期がくるとは見ています。台湾と何かと中国情勢で比較される香港の場合は、そもそも英国が当時の清王朝から100年の土地借款をする契約をして成立していた特別地域(つまり、100年後には返還されることが決まっており、それが1997年で実現)でしたが、台湾の場合は、共産党と対立する国民党によって作られた独立政府なので政治的な経緯が違うのですね。

特に、今回の香港騒動で、民主主義を支持する香港人の大半は、すでにビジネス交流の深い台湾に流れることが多く予想されるため、中国=中華民族による共産主義国家、台湾=中華民族による民主主義国家というアイデンティティがより一層強まっていくのではないかと見ています。

台湾が、徴兵制を導入せずに済んでいる背景は、沖縄に、東アジア最大の米軍基地があるから

また、台湾には徴兵制がありません。2018年から完全に志願制に移行しています。その背景は、沖縄に、東アジア最大の米軍基地があるからです。だから、日米同盟がなくなることもないし、沖縄の米軍基地が縮小することもないというのが僕の考えです。なぜなら、アメリカにとって、今、最大の要注意の大国が中国であるからですね。アメリカ社会にとってのルーツであるヨーロッパのユーロは、細かい面での課題は抱えつつもアメリカと協調路線ですし、第2の中国として注目を集めているインドは、英国の植民地支配が長かったことを受けて、英語教育が発達しているため、そもそも欧米社会に近い社会システムが形成されてきているからです。唯一縮小できる要因があるとすれば、AIを使ったロボット軍がどんどん進化することで、そもそも人員を大量に配置する必要性がなくなる時代になってからでしょう。

ですから、僕は、沖縄の人は、もっと、この「現実」を友好活用すべきだと考えています。確かに、騒音問題など、軍事基地が近いことで色々と嫌な想いをすることもありますが、発想を変えれば、これは、沖縄にとって、ものすごいチャンスになるからですね。特別予算や特別な法規制など、日本国内で最大規模の米軍基地を受け入れているからこそ、実現可能になる話です。

そして、沖縄に最も近い台湾についても同じことが言えます。台湾は、昔から、アメリカの大学に行かせる教育が発達している点も踏まえて、非常に優秀な人材が豊富にいます。僕も仮想通貨業界を一緒に立ち上げた親しい台湾の友人もスタンフォード大学を出て、シリコンバレーのテック企業でキャリアを積んだ非常に優秀な起業家です。更に、政府もしっかり機能しており、今回の新型コロナを素晴らしいリーダーシップで乗り切り、かつ、香港騒動によって、香港で育った優秀な金融人材で、民主主義を好む人々も最も台湾に流れていくでしょう。沖縄ー台湾の交流関係も、今後の沖縄の発展に不可欠の要素だと見ています。ということで、僕は、早速、中国語の勉強を始めています。笑

以上、みなさんの参考になれば幸いです。

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